WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 今年のマスターズは、タイガー・ウッズ(アメリカ)の3年ぶりの出場に沸いた。開催コースのオーガスタ・ナショナルGCでは、ウッズが行く先々でスタンディングオベーションによって迎えられ…

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米ツアー・トピックス

 今年のマスターズは、タイガー・ウッズ(アメリカ)の3年ぶりの出場に沸いた。開催コースのオーガスタ・ナショナルGCでは、ウッズが行く先々でスタンディングオベーションによって迎えられていた。

 練習場に姿を現すと”パトロン”たちから大歓声が上がり、練習ラウンドでもティーグラウンドに立つたびに「ウエルカムバック」という声がかかった。その熱狂ぶりを見れば、パトロンやファンがどれほどウッズの復帰を心待ちにしていたかは明らかだった。

 開幕前は優勝候補の1番手にも名前が挙がったが、終わってみれば、通算1オーバーの32位。結果としては、やや「物足りない」「残念だった」という評価になってしまった。

 ただ一方で、最終日に「69」をマーク。そのことは、今後のウッズに対する大きな期待となった。

 大会を振り返ってみると、予選ラウンドはショットが安定しない状況が続いた。2日目には一時、予選通過ラインのギリギリまで順位を落として、ファンをヒヤリとさせる場面もあった。

 12番パー3では、2日連続でグリーン手前の池に落としてボギー。ウッズの表情はずっと厳しかった。

 それでも、トップと13打差ながら決勝ラウンド進出を決めると、「60台半ば(のスコア)を2日続けて出せれば、まだまだ(優勝争いの)チャンスはある」と、ウッズらしい強気な姿勢も見せた。

 迎えた決勝ラウンド、3日目は「72」のパープレーで終わったものの、最終日は先述のように15番パー5でイーグルを奪うなど「69」をマーク。随所に好プレーを見せて、パトロンたちを喜ばせた。

 最終的には優勝争いには加われなかったが、再び”メジャーで戦える”ウッズにまで復活した、ということは証明されたのではないだろうか。

 ウッズもまずは「今週は、ティーショットはまずまずだったが、アイアンショットが本当にひどかった。また、最終日も3パットが2回。もっと伸ばせるチャンスがあったのに、うまくかみ合わなかった」と、自らのプレーに対して不満を口にした。

 しかし、メジャー大会で4日間を戦い抜いたことについては高く自己評価。「このレベルで(4日間)プレーできたことは非常に大きいこと。去年の今頃は、歩くことさえできなかったからね」と言って、笑みをこぼした。



まもなく復帰するタイガー・ウッズ

 さて、今後のウッズのスケジュールはどうなっているのだろうか? 

「マスターズのあとは、しばらく休む。僕の選手生活はいつも、マスターズ後の3~4週間はクラブを置いてきた。そこでリフレッシュして、次に向けて調整を開始する」

 マスターズの際にはそう話していたウッズ。そろそろ次戦がいつになるのか、大いに気になるところだったが、ここに来て突如、「休みは終わりだ。戦いに戻るときが来た」と自身のSNSにアップし、ウェルズ・ファーゴ選手権(5月3日~6日/ノースカロライナ州)と「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権(5月10日~13日/フロリダ州)への参戦を表明した。

 その後、すでに出場を発表している、今季メジャー第2戦の全米オープン(6月14日~17日/ニューヨーク州)と、ウッズのファウンデーションが主催するザ・ナショナル(6月28日~7月1日/メリーランド州)の2戦に臨む。

 メジャーに向けてしっかりとピークを持っていくのが、ウッズのやり方。マスターズではうまく調整できなかったが、全米オープンではなんとしてもリベンジを果たしたいところだろう。

 今年の全米オープンの会場となるのは、シネコック・ヒルズ。1995年、アマチュアだったウッズが、初めて全米オープンを戦った舞台である。だが、そのときの同大会では残念ながら、ウッズは手首のケガによって途中棄権している。同じくシネコック・ヒルズで行なわれた2004年大会も、ちょうどスイング改造中の真っ只中にあって、17位に終わっている。

 ちなみに、ここ2年ほどツアー競技から遠ざかっているウッズ。今季(2017-2018シーズン)については、2013年の”プレーヤーズ選手権勝者”という資格(5年シード)によってツアーの出場権を得ている。

 この資格は今季までとなるが、ツアー通算79勝のウッズは通算20勝以上の選手が得られる”生涯メンバー”の資格を持つ。ゆえに、通常の試合については今後も問題なく出場できる。

 ただし、これとは別の出場資格が必要な試合、例えば4大メジャーに関しては、以下のような状況だ。

 マスターズは勝者のため、生涯にわたって出場可。全米オープンは2008年の勝利によって、以降10年間の出場権を獲得しているが、その資格は今年が最後となる。全英オープンと全米プロ選手権はマスターズと同様、過去の優勝者としての出場権を持つ。ただし、全英オープンに関しては「60歳まで」という規定がある。

 現在、ウッズが出られないのは世界選手権シリーズ(WGC)のみ。これらに出場するには、世界ランキング50位以内に入る必要があるが、年明け初のランキングでウッズは656位だった。それが現在(4月25日時点)は91位まで上昇。この調子で結果を残していけば、近いうちに50位以内に入ってくる可能性は十分にあるだろう。

 マスターズが終わったあと、試合に出場することはなくても、ウッズは多忙な日々を送っていた。先日は、ミズーリ州で自身が設計したコースを訪れて、同地ではジュニアクリニックも開催。そこでは、300m超えのショットを披露した。

 そんな状況にあっても、ウッズは次戦に向けて、着々と準備を始めてきたに違いない。復帰戦で今度こそ優勝し、完全復活を遂げるのか。ウッズへの期待は、まだまだ膨らむばかりだ。