「無酸素で登るために」先日、宇宙飛行士の山崎直子さんの対談中継に沢山の質問を頂き、ありがとうございました!対談後半に気になる話を聞きました。宇宙に行くと人の価値観や考え方が変わるそうです。そして宇宙に行ったことのある人の精神状態の研究があり…

「無酸素で登るために」

先日、宇宙飛行士の山崎直子さんの対談中継に沢山の質問を頂き、ありがとうございました!

対談後半に気になる話を聞きました。

宇宙に行くと人の価値観や考え方が変わるそうです。そして宇宙に行ったことのある人の精神状態の研究があり、それを「無重力型人間」と呼ぶそうです。

無重力型人間になる前に「無酸素形人間」を目指しています。

エベレスト(8848m)の山頂は、酸素濃度が地上の3分1。高度が上がると大気の酸素分圧が下がり、最大酸素摂取量が下がる。肉体の機能は想像以上に低下し、そこにいるだけでも生存不可能と言われている世界です。

エベレストの日本人登頂者は169名ですが、無酸素で登頂した猛者は6名。そのうち2名の方が下山中に亡くなっている非常に厳しいチャレンジです。

また僕が登る秋はハイシーズンの春よりも気象条件が厳しく、短い好天気に合わせるのがポイントです。

そのために遠征前から低酸素の環境になれやすい身体を作ります。無酸素形人間になる。

それが「リズム」と呼ぶトレーニングでした。

リズムは4つあります。

最大酸素摂取量を増やす。

耐久性のある血液と血管を作り、血栓を防ぐ。

バランス感覚を鍛えて無駄な酸素とカロリーを消費させない。

そして、高い技術の呼吸とストレスに強い脳を作る。

脳は、体内の酸素の3割近くを消費します。無酸素でソロにエベレストに入ると不安や孤独など脳の極度のストレスがかかり、酸素の消費量が上ります。

酸素を無駄に消費しないためには、ストレス無くす精神状態を作り、呼吸法を習得します。

先日のアンナプルナ南壁では、好天気が一日も無く、登山は途中で止めましたが、このリズムの成果を確認してきました。

ちなみにストレスは無くすことはできません。

「ストレスを無くすのではなく、ストレスを感じている自分を認めてあげることが大切」

山から学んだ技術の一つです。

リズムにさらに磨きをかけて万全な状態を作っていきます!

※写真は本日のトレーニング風景です。