1回に幸先よく2点を先制し始まった今日の試合。誰もが勝てると思った初回の勢いは1回裏には失われ、まさかの4連敗を喫した。つい3週間ほど前まで『優勝候補筆頭』と言われていたが今日の負けで自力優勝はほぼ消滅。悲願の11季ぶり優勝へも厳しい結果と…

1回に幸先よく2点を先制し始まった今日の試合。誰もが勝てると思った初回の勢いは1回裏には失われ、まさかの4連敗を喫した。つい3週間ほど前まで『優勝候補筆頭』と言われていたが今日の負けで自力優勝はほぼ消滅。悲願の11季ぶり優勝へも厳しい結果となった。

戦評

未だリーグ戦勝利がない法政。今日慶大に敗れると、優勝争いから大きく離脱してしまう。優勝のために絶対負けられない大切な一戦だ。

法政の先発は先週の立大戦で初先発を果たした高田孝一(法2)。慶大の先発は菊地恭志郎。1回の表、立ち上がりの菊地を攻め1死三塁のチャンスをつくると、3番福田光輝(人3)の内野ゴロの間に走者生還。幸先よく先制に成功する。続く向山基生(営4)も四球で塁に出ると、中山翔太(人4)が中前安打、そして吉岡郁哉(営4)が待望の中前適時打を放ち追加点をあげ、この回2点を奪い試合の主導権を握ったかに思えた。しかし、その矢先、高田に慶大打線が襲いかかる。

1番小原和樹に中前安打を許し、2死一塁で4番郡司裕也の打席。ファールで粘った6球目、左中間へ上がった打球を中堅手の大西千洋(営4)が見失い中前適時三塁打に。味方のミスで失点すると、続く嶋田翔にも左前適時打を打たれ同点に追いつかれてしまった。

2回からの高田は毎回安打は許すものの、要所を締め、慶大に勝ち越しを許さない粘りの投球。しかし、5回裏に河合大樹に中前安打を打たれると続く柳町達にセーフティーバントを決められる。さらに、暴投でピンチを広げられるとまたも郡司に犠牲打を打たれ勝ち越しを許す。

6回からこれまで好調を維持しているルーキーの三浦銀二(キャ1)を起用するが、3連打を浴び内野ゴロ間に得点をあげられるとたまらず石川達也(キャ2)に交代。後続を打ち取り最少失点で6回を切り抜ける。7回は今季リーグ戦初登板の河野太一朗(文4)が4年の意地を見せ、無失点の好投。続く8回からは、逆転を信じ朝山広憲(法3)がマウンドに上がる。最速145㌔の直球を軸に3人でこの回を抑え、最終回の逆転に望みをつないだ。

一方打者陣は、初回の得点以降慶大菊地に三塁すら踏ませてもらえず。しかし、3点ビハインドで迎えた8回。法大が維持を見せる。リーグ戦初の4番にすわる向山の三塁線を破る二塁打でチャンスをつくると、2死一、二塁で「何とか打とうと思った」と話す中村浩人(営4)。左翼手の頭上を大きく越す左越え適時二塁打で1点差と迫りチームも喜びから盛り上がりを見せる。続く途中出場の小林満平(法4)が意地の振り逃げで出塁すると、打席には代打鎌倉航(法4)。この日1番の歓声が送られるも、結果は無念の空振り三振。同点に追いつけず最終回を迎える。

9回表、法大最後の攻撃。先頭打者の相馬優人(営3)が3球目を振り抜き右中間を破る二塁打で出塁。続く川口が犠打を確実に決め、1死三塁と一打同点の絶好の機会を作る。しかし、続く福田が三振に倒れると、最後は向山が主将の維持を見せられず内野ゴロで試合終了。2連敗で勝ち点献上となってしまった。

これで引き分けを挟み4連敗。未だ勝ち星がなく、自力優勝が厳しい状況だ。「法政は個々の力は強いと周りの方から言われるが、そういう勘違いはやめていこう」と試合後のミーティングで話した青木久典監督。次のカードは昨季悪夢の2連敗を喫した東大だ。たが、 個々の力を過信せず『結束』した法大なら勝ち点をあげられるだろう。今季初勝利に向けて、法大が新たな1歩を踏み出す。

(滝澤智也)

クローズアップ:朝山 広憲 選手
今日のように終盤での反撃が見られる試合では、リリーフの活躍が勝利の鍵を握るだろう。

この日も終盤の8回に反撃を始め1点差まで追いついた法大。良い流れを引き継ぐべく登板したのは、法大の守護神となりつつある朝山広憲(法3)だ。「絶対3人で終わらせよう」。そう意気込んで上がったマウンドでは慶大の毎回安打を阻止。打者3人で締めると最終回へと望みをつないだ。立大戦第3回戦から3試合連続でリリーフでの登板となり、いまだ防御率0.00の成績を収めている朝山。しかし自分の投球だけに満足はしておらず、「守護神なんてまだまだ甘い。チームが負けていては自分が0に抑えても意味がない」とチーム全体を見据えている。

作新学院時代、1年春からベンチ入りを果たし、エースとして甲子園も経験するも、最後の夏はけがによりマウンドに立つことはかなわなかった。けがを乗り越え法大入学後も、2年春のフレッシュリーグまでは登板なし。順風満帆とはいかなかった。

「来年の春、リーグ戦で投げたい」。昨年秋のフレッシュリーグで述べた目標を実現することとなった今季。後輩から刺激を受けながらもリリーフ陣を引っ張る姿には安心感をも覚える。復活を遂げ、躍進を続ける『最後の砦』は今季の法大野球を支えていくだろう。

(八木原綾乃)

青木久典監督インタビュー

ー慶大戦の総括をお願いします
なかなか頭が整理できていないんですけど。もう負けられないと思っていたので、それを落としたのは素直に悔しいの一言です。

 

ー今日の敗戦で自力優勝は厳しいものになってしまったと思います
厳しい状況だとは思います。他力本願になってしまうんですけど。この春のリーグ戦のためにやってきたんですけど、ここまで流れが悪いというんでしょうか。それはちょっと予想はしていなかったですけどね。もう少しチームが機能していくんじゃないかなとは思っていたんですが、投打の歯車が合わないというのが現状です。

ー昨日、今日と先制してからの逆転負けを喫していますが、要因として考えられることは
今日に関しては、やはり野手が打ち取っている打球を取れなかったりとか、そういった見えない(記録に残らない)ミスというんでしょうか。そういうものがあったがためにチームがもうひとつ乗り切れなかったというところが逆転を許してしまっているんじゃないかなと思います。

ー投手陣に関しては
あまりエースの菅野の状態が良くないので、しんどいといえばしんどいんです。それ以降のピッチャー陣がそれなりには投げてくれてるとは思うんですけど、なかなかこのような形なので、さっきも言ったように投打のバランスが合わないというんでしょうか。そこがバッター陣にも良い方向にはいってないような気がしますね。

ー打線を入れ替えると仰っていた中で2試合とも変えてきましたがどこに留意しましたか
やはり(打線が)つながらないという部分ですかね。あとは、点が入らない、残塁が多いというところで、チームが機能するために打順を今日は特にいじくったんですけど。

ー今日は中山選手が5番。ずっと4番にすわり打率も良い中山選手を4番から外し5番に置いた理由は
いつも、例えば初回であれば1,2,3番で終わって、(2回は)中山から始まってというようなイメージなので、やはり彼の前にランナーを置いて勝負させたいという風にも考えましたし、今一番良い成績を上げている者を上に持っていこうかなと考えて、中山をあえて5番にしてみました。

ー4番ではなく5番に置いたことで効果が出たと感じていますか
初回に関してはつなぎで良かったのかなと思うんですけど。2点取った場面も打ってはないですけどデッドボールでつないでということもしていましたし、まあまあこういう形でも点は獲れるのかなという気はしています。

ー試合後悔しがる選手も多く見られましたが、選手たちにはどういう話をしましたか
試合前や、試合後にもみなさんが「良いメンバーがそろっている」とか「強い」とか「力のある」とか色んな話をしてくれていますし、助監督の真木(将樹)もそう言ってくれましたけど、現状0勝ですもんね。勝ってないんですよ。ということは弱いということですよ。なので、みんなが弱いんだということをしっかり受け止めて、本当に変なプライドも捨てて一からやっていかなくてはいけないのではないかということを言いました。弱いからと言って休んでいる場合じゃないだろうと。やはり法政のためにたくさんの人が応援してくださってるわけだから、休みなく明日からやるぞという話はしました。

ー東大戦まで1週空きがあります。そこまでに調整していきたいことをお願いします
調整というよりも一戦一戦勝っていくしかないですし、そのためにうちは弱いということを認識しながらしっかり練習しなくてはいけないのではないかなと思っています。

中村 浩人 捕手
ー今日の試合を振り返って

勝てなかったことが悔しいです。

ー個人としては3本の安打を放ちました
打つことはできましたが、それでも結果として勝てていないので、何と言ったらいいかわからないです。

ー3本目の安打は1点差に迫る貴重な適時二塁打となりました
チャンスで、ここで打っておかないと駄目だと思ったので何とか打とうという気持ちがありました。

ー先発の高田選手の調子は
しっかり粘りの投球ができていたので、やっぱり勝ちをつけてあげられなかったことが申し訳ないです。

ー河野太選手、朝山選手の好投がありました
自信を持って投げられているので、この調子をずっと続けて欲しいと思います。

ーご自身のリードについては
勝たせられるキャッチャーというのが理想なので、それができていないことが悔しいです。チームを勝たせられるキャッチャーになります。

ーチームとして改善すべき点は
これだけ勝てていないということは絶対に原因があると思います。このままやっていても勝てないと思うので、やるべきことをしっかりやって何かを変えないといけないです。3カード目に向けてやるべきことをしっかりやります。

朝山 広憲 投手
ー今日の試合を振り返って

言葉で表すのは難しいですけど、チーム全体で負けてしまったというか、力不足の一言です。

ー3試合連続の登板となりました
そうですね。自分は後ろを任されているので、1点でもあげてはいけないと思うし、1点でもあげたらチームが負けると思って常にマウンドに上がっています。

ー反撃からの登板となりました
下級生が引っ張っているので、僕も上級生として引っ張らないといけないなと思っています。

ーそれまで毎回安打の相手打線から安打を阻止しました
前の回に1点差に追いついて、かなり流れがこっちにきていたので1人でもランナーを出したらまた流れが相手に傾くと思ったので、そこは絶対3人で終わらせようと思ってマウンドに上がりました。

ー守護神となりつつあるように思います
守護神なんてまだまだ自分は甘いので、そんなこと言えないんですけど。チームがまず負けていて、それじゃ僕が0に抑えても意味ないと思うので。これからあと3カードあるので、しっかり自分の投球も含めて、投手陣全員で0に抑えれば負けることはないので、しっかり0にこだわってチーム全体として投手全員で頑張っていきたいです。

ー次の試合に向けて
1週空けて、この1週間しっかり練習して、応援してくださる方々の期待を裏切らないように(したい)。自力優勝が厳しいんですけど、このまま終われないと思うので、法政らしい野球をお見せしたいなと思います。

高田 孝一 投手
ー今日の試合を振り返って

勝ちがチームに無い状態だったので何としても勝ちたかったんですけど、先制点をもらった後すぐに(点を)取られてしまったことと逆転を許してしまったというのが反省点です。

ー試合への入り方はどうでしたか
気持ちをいつもより入れて試合に臨んだので、入りは悪く無かったと思うんですけど。エラーの後に抑え切れなかったのが悔しいです。

ー2、3、4回は走者を背負いながらも粘りのピッチングでした
先頭打者を出しながらも粘るというのは持ち味なので良かったと思います。

ー5回に逆転を許してしまいました
スタミナ的には大丈夫だったんですけど、甘い球を狙われてしまいました。

ー5回3失点という内容については
勝ちを求めていたので、何失点まで、とかは考えていませんでした。勝てなかったということが力不足だと思います。

ー失点した回は先頭打者に出塁を許しています
先頭を出すと点に絡んでしまうということは分かっていたんですけど、防げなかったので悔しいです。

ー次の試合は2週間後になります。その間に修正したい部分はありますか

一からフォームや球筋を見つめ直して、チームの勝ちに貢献できるよう頑張りたいです。

ー未だチームに勝ち星がありません。次戦に向け意気込みをお願いします
2カードとも勝ち点を取られてしまったので、次は勝ち点が取れるようにやっていきたいです。

先発し5回9安打3失点の高田
チームでオフに取り組んだ犠打を2回ともきっちり成功させた川口凌
初回安打で打点を挙げた吉岡
約1年ぶりに4番ではなく5番として試合出場した中山
今季リーグ初登板となった河野太
8回に二塁打を放った向山は塁上で雄たけびを上げる
中村浩は走者一掃の適時二塁打を放ち2打点を挙げた
9回先頭で出塁し望みを託した相馬