熊本・えがお健康スタジアムで5,190人の観客がドリームゲームを楽しみ、興奮した。
 ラグビー王国ニュージーランドから来た黒衣の男たちが“ハカ”を披露し、華麗なアタッキングラグビーで魅了する。そして、勇ましく挑んだ九州選抜に子どもたちが何度も「キューランダーズ!」と声援を送った。
 コカ・コーラレッドスパークス、九州電力キューデンヴォルテクス、マツダブルーズーマーズ、中国電力レッドレグリオンズの選手で結成された九州選抜、愛称「Q-LANDERS」を率いた川嵜拓生監督(九州電力)は、「九州選抜というくくりは7年ぶり。なかなか、西日本のトップチームの選手たちが集まる機会はなかったので、ラグビーの発展のために新たな可能性を感じた」と語った。

 NZU(ニュージーランド大学クラブ選抜)が3年ぶりに来日した。日本ラグビーと古くから交流がある、もっとも縁の深い海外チームであり、1936年の初来日から数えて15度目の来征となった。

 4月28日におこなわれたNZU来日シリーズの第1戦、九州選抜は競り、後半20分の時点でリードしていたが、31-58で敗れた。
 それでも、序盤にスクラムで押し勝って会場を沸かせた。FL山田有樹(九州電力)がピック&ゴーで先制トライを挙げる。LO園中良寛(九州電力)はキックチャージからファイブポインターになった。CTB石垣航平(コカ・コーラ)が好走を連発し、ビッグヒットでチームを盛り上げる。そして、NO8森山皓太(中国電力)らが果敢なタックルを連発した。
 一週間前に一回練習をして、前日に集まって今回の試合に臨んだという九州のコンバインドチームは、連係ミスもあったけれど、グラウンド外でもしっかりコミュニケーションをとろうと飲み会を開いて結束を高めていて、最後まで声も出て、チーム一体となって奮闘した。

 日本の新シーズンは始まったばかりで、まだ身体づくりの段階というチームが多く、終盤は体力の差が出た。後半20分の時点で31-27とリードしていたが、ラスト20分間で5トライを奪われ、逆転負けとなった。

 川嵜監督は、「前半からかなり激しい当たりあいをしていたので、コンタクトで体力を削られた」と試合を振り返り、キャプテンのCTB中靏憲章が前半9分で負傷交代するなど、BKに怪我人が相次ぎ、終盤はBKの足がもたなかったと語った。

 チームに迷惑をかけたという中靏キャプテンだが、「日頃、練習試合や公式戦で切磋琢磨しているメンバーとチームを組めて、ともに戦えるというのは本当にありがたいことだし、ラグビー王国のNZUと試合を組んでいただいて、我々にとっても有意義で貴重な体験になった」と、表情は明るかった。

 そして、将来の日本代表入りを目指し、NDS(ナショナル・デベロップメント・スコッド)入りやサンウルブズ入りも目標として持っているというCTB石垣は、大きなアピールとなったに違いない。「パスやキックは得意じゃないんですが、フィジカルは強みだと思っているので、コンタクトの部分では負けたくない、貢献したいと思っていました。NZUはひとりひとりのフィジカルが強かったですが、通用した部分もあったので、自信がつきました」とコメントした。

 NZUはこれまで多くのオールブラックスを輩出してきた強豪であり、今回の来日メンバーも若手有望株ばかりだ。九州選抜戦に13番で出場した20歳のジョシュ・ティムは帰国したらハイランダーズに加わる予定で、今後の活躍が注目される。

 NZUはこのあと、5月3日に京都・西京極陸上競技場で関西学生代表と対戦し、同月6日には東京・秩父宮ラグビー場で関東学生代表と試合をおこなう。