各国一丸となって世界王座を争う「世界卓球2018スウェーデン(団体戦)」<4月29日~5月6日/ハルムスタッド>がまもなく開幕する。これまで男女とも銀メダルが最高成績の日本は打倒中国を掲げ悲願の金メダルを狙う。
男子予選グループリーグには手強い相手も
2016年に開かれた前回の世界卓球2016マレーシア(クアラルンプール・団体戦)で日本男子代表チームは39年ぶりに銀メダルを獲得した。今回のメンバーで当時と違うのは世界卓球団体戦初出場の張本智和(JOCエリートアカデミー)のみ。水谷隼(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソン)、松平健太(木下グループ)、大島祐哉(木下グループ)は前回大会以上の成績、金メダル獲得に燃えている。
張本という大きな新戦力が加わり層の厚みを増した日本男子チームで、若いメンバーを引っ張るのはやはりエースの水谷だ。世界卓球出場7回の経験を持ち、国際大会における団体戦の戦い方も熟知する。前哨戦となった2月のチームワールドカップ(優勝:中国、準優勝:日本)には出場しなかったが、今回、その水谷が加わったぶん日本の戦力は充実している。
最大の敵は言うまでもなく世界国別ランク1位の中国だ。世界卓球団体戦で計20回の優勝を誇る卓球帝国。国の威信をかけ世界ランク1位の樊振東を筆頭に馬龍、許キン、林高遠、王楚欽という最強の布陣を敷いてきた。手強いことは確かだが、4月上旬のアジアカップ横浜大会では張本が樊振東を破る大金星を挙げており付け入る隙はゼロではない。まずは予選グループリーグを勝ち抜き、決勝トーナメントで中国との対戦を実現させることが先決だ。
その予選グループリーグで日本は「グループC」に入った。同じグループにはベルギー、ベラルーシ、イングランド、台湾、シンガポールがいる。A~Dの全4グループの中では比較的勝ち上がりやすいグループに入ったと言えるが、チームワールドカップで苦戦を強いられたイングランドや安定した強さのベテラン荘智淵を擁する台湾は油断ならない。日本男子代表の倉嶋洋介監督も「勝っても負けてもおかしくない相手」と警戒を強めている。決勝トーナメントを見据えれば予選グループリーグは何としても1位通過したい日本。それには得点力の高い水谷を柱に丹羽、松平、大島といった中堅が一つでも多く点を稼ぎ、張本のプレッシャーを減らして思い切ったプレーをさせる流れを作りたいところだ。
日本男子代表チームは大会初日の29日にベルギーと初戦を戦う。
女子の予選1位通過は濃厚
前回の世界卓球2016マレーシア(クアラルンプール・団体戦)と前々回(2014年)の2014東京で連続銀メダルを手にしている日本女子代表チームは、今大会も世界国別ランク1位の中国に次ぐ2位の立場で打倒中国に挑む。その顔ぶれはエースの石川佳純(全農)をキャプテンに、世界卓球団体戦2回目の出場となる伊藤美誠(スターツSC)、意外にもこれが世界卓球団体戦デビューの平野美宇(日本生命)、そして伊藤と平野と同い年の早田ひな(日本生命/希望が丘高校)、15歳の長崎美柚(JOCエリートアカデミー/大原学園)も初出場と実にフレッシュだ。
予選グループリーグで日本は「グループB」に入った。同じグループにはウクライナ、エジプト、ハンガリー、オーストリア、アメリカがおり、戦力的に日本は「勝って当たり前」の場所に入ったと言えるだろう。予選を1位通過し、順当に行けば決勝トーナメントの決勝まで中国と当たらないことを踏まえ、キャプテンの石川は「一戦一戦、しっかり勝って、決勝で中国を倒したい」と意気込む。
その中国女子代表チームは世界ランク1位の陳夢と2位の朱雨玲、そして世界女王の丁寧、劉詩ブン、さらに中国の次期エースといわれる18歳の王曼イクという最強メンバーを送り込んできた。この鉄壁とも思える布陣からシングルス3本を取らなければ勝てない日本は平野美宇の調子が鍵を握りそうだ。両ハンドドライブを武器に勢いづくと止まらない得点力を持つ平野。4月上旬のアジアカップ横浜大会でも準々決勝で朱雨玲に敗れはしたものの互角の戦いを見せるなど、ここに来て調子を上げてきている。彼女の爆発力に火がつけば、強敵中国を追い詰めることもできるはずだ。
また、カット打ちに絶対的な自信をつけ戦術の幅を広げた石川と、今シーズン絶好調の伊藤の存在も頼もしい。日本女子代表チームは大会初日の29日にウクライナと初戦を戦った後、同日エジプトと戦う。
(文=高樹ミナ)