ファウルアウトまで使い続けられるだけの『信頼』川崎ブレイブサンダースのベンチメンバーといえば、リーグ随一のシックスマンとして名高い藤井祐眞、そして日本人ビッグマンである鎌田裕也が注目されてきている。だが、ここに来て徐々に存在感を高めている選…

ファウルアウトまで使い続けられるだけの『信頼』

川崎ブレイブサンダースのベンチメンバーといえば、リーグ随一のシックスマンとして名高い藤井祐眞、そして日本人ビッグマンである鎌田裕也が注目されてきている。だが、ここに来て徐々に存在感を高めている選手として紹介したいのが谷口光貴だ。

3番ポジションの長谷川技、栗原貴宏のコンディション不良という要因もあり巡ってきたチャンスを生かし、このところはコンスタントに1試合平均で2桁のプレータイムを得ている。27日の京都ハンナリーズ戦でもファウルアウトしたが11分28秒の出場。シーズン序盤にベンチを温める時期が続いたことを考えれば、ファウルアウトするまで起用されたこと自体が大きな進歩であり、第4クォーターには、逆転された直後に再び69-68と入れ返す価値あるレイアップを沈めた。

今回はディフェンスでアグレッシブに行きすぎてしまった谷口だが、激しく行くプレースタイルはこれからも不変だ。「試合序盤、ベンチで見ていてディフェンスがソフトな感じだと思っていたので、自分が出た時はハードに行こうと。結果的にファウルが重なってしまいましたが、僕がそうなったところで、あまりチームにとってマイナスにはならない。それより自分がエナジーを出していけば、チームに良い影響を与えられます。あのディフェンスを、ファウルにならずに続けていきたいです」

勝負の第4クォーターでファウルアウトまでコートに立ち続けたことには「第3クォーターでファウル4つになって交代しました。竜青さんがいなかったこともありますが、それでも第4クォーターの出だしから使ってもらったのは自分にとっても自信になります」と語る。

指揮官の称賛「結果で応えてくれています」

北卓也ヘッドコーチは、現在の谷口を次のように評価し、さらなるステップアップを期待している。「もったいないファウルがあってプレータイムを自分で減らしてしまいましたが、彼の持ち味はオフェンスなので、それに期待しています。今日も良いところでシュートも決めています。谷口が出てきて、栗原とか長谷川に『ちょっとヤバいな』という気持ちが出てくれば、チーム内競争が激しくなる。チャンスは与えたいと思っています。それに対して結果で応えてくれていますので、そういうところは大事にしていきたい」

谷口本人も成長の手応えはある。「以前に比べて積極的にプレーできていると実感している部分はあります。得点に絡んだり、ディフェンスでのポジショニングが良くなったことで、前だったらやられていたのを止められるようになってきました」

「最初はプレータイムが少なかった分、なんとかしなければと気持ちばかりが先走ってしまった。それが最近、安定して試合に出るようになってきて、相手との駆け引きを楽しめるようになってきたことも大きいです。試合に出ることでしか分からないことがあり、そこが今ちょっとずつプラスになってきている実感があります」

「まずはノーマークのシュートを決めること」

この調子をキープしていけば、昨年と違い今シーズンのチャンピオンシップでも谷口は起用されるだろう。「まずはノーマークのシュートを決めること。チャンピオンシップになると、相手は辻(直人)さんやニック(ファジーカス)に寄ってくる。そして自分はシュートを打たれてもいいと、捨てられる存在だと思っているので。あと短期決戦ではディフェンスが一番大事なのでチームとして連動して守れるように心がけたいです」

このように来たるべき大一番に向けて意気込みを語る谷口。彼自身が語るように、短期決戦のビッグゲームでは得点源にいつも以上の徹底マークをするのは常套手段だ。逆に言えば、そこで生まれたシュートチャンスを『脇役』が決めていけば、相手はファジーカスや辻に激しいプレッシャーをかけにくくなる。脚光を浴びることはないかもしれないが、谷口がノーマークのシュートを決め切れるかは試合の流れに大きな影響を与えてくる。

そして、本人はこの点について秘めたる闘志を燃やしている。「自分がノーマークを決める、決められないのでは大きく違ってくる。そこにやり甲斐はあります。今まで通り、開いたら思いっきり打つということをやっていきたいです」

レギュラーシーズンは今日を含めて残り4試合。「順位を上げられる可能性がある限りは上を目指していきたい。残り試合で成長していって、もっとチーム力が上がった状態でチャンピオンシップを迎えるためにも、1試合1試合を大切にしていきたい」と谷口は語る。彼のさらなるステップアップは、川崎優勝の可能性をより高める大切な要素となってくるはずだ。