「将来オリンピックに出てメダルを獲りたい!」。そんな夢を抱くお子さんは多いのではないでしょうか? とはいえ、果たしてどんな競技を選び、誰に指導を受ければいいのか? または現在なにかしらのスポーツに励んでいるけれども、イマイチ成果が出ないなど、さまざまな悩みが存在するはず。

 そこで今回、国際舞台で活躍する選手を輩出する目的で行われている「アスリート発掘・育成事業」の取材を敢行。北海道から九州まで全26地域で行われている事業ですが、今回は東京都の取り組みについて、オリンピック・パラリンピック準備局 スポーツ推進部 事業推進課の河野和久さんと高井賢さんにお話を伺ってきました。

 中学生から競技を始めても、メダリストになれる可能性が十分にありえます。気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!

意外なセレクト!? 東京都で扱うのは全7競技

――アスリート発掘・育成事業で扱われている競技は各地域によって異なりますが、東京都で扱われている7競技は、ちょっと意外なセレクトでした。

東京都では、ボート、ボクシング、レスリング、ウェイトリフティング、自転車、カヌー(スプリント)、アーチェリーを扱っています。これらの競技は比較的競技人口が少なく、途中から転向しても成果が出やすいという特徴があります。

――これから新たに競技を始める人でも、トップアスリートになれる可能性が高いということですね。

学校の部活動やスポーツクラブなどで広く行われている競技は競技人口も多く、メダルを獲るようなトップ選手の中には、幼少期から競技の鍛錬を積んでいる人もいます。その分だけトップになれるチャンスは狭き門となるのではないかと思います。そういった競技に比べ、前述した7競技は優れた運動能力を持ちながら他の競技でトップになれなかった人が、転向後でもチャンスを得やすいと考えています。

競技経験ゼロでもOK! 東京都の中学2年生なら誰でも応募できる

――アスリートを発掘して育成する過程について教えてください。

毎年4月に東京都の中学校に呼びかけ、中学2年生の生徒に「アスリート発掘・育成事業」への参加を促します。その後、200人ほどの応募者に対して体力テストや競技体験、面接を行い、育成プログラムへ参加する約30名を決定。1年間かけて発掘(審査)した逸材を、さらに1年間かけて育成するという流れです。2018年も5月2日(水)まで第10期生を募集していて、5月下旬から実技審査(体力テスト)が開始されます。
※応募の詳細はこちらから。

――競技経験がなくても応募できますか?

はい、経験値は問いません。日本国籍を有し、東京都内に在住かつ在学する中学2年生の生徒であれば、どなたでも応募が可能です。

――どのような生徒が、選考を通過して育成プログラムに参加しているのでしょう?

すでに部活動など何かしらのスポーツに取り組んでいて、身体能力が比較的高い生徒が多いです。また、やる気がある、負けず嫌い、自分自身の可能性を広げたいなど、ポジティブな思考を持つ方を求めています。

――競技は生徒が自ら選ぶのですか?

選考期間に3~7競技を体験してもらい、最終的にご自身の意思で決定していただいています。

1年間、スポーツと学業を両立する生活を送る

――選考を通過した30名ほどの生徒は、中学3年生の1年間でどのような活動をするのでしょうか?

隔週土日に自分が選んだ競技について、コーチから無料で指導を受けるチャンスが与えられます。競技の練習に加えて、アスリートとしての問題解決力や論理的思考、強くなるための食生活などを身につけられるような指導も行います。また、保護者のみなさまへもアスリートを支える家族のサポートについて、学習機会を提供しています。

――1年間、プログラムを受けるなかで、生徒たちがぶつかる壁はどのようなものですか?

技術の習得に苦戦する以外に、中学3年生となると高校受験に備えて学業により力を入れなければなりませんので、学業とスポーツの両立も大変なことの一つだと思います。

――なるほど。競技の上達だけでなく、人間的な成長にもつながりそうですね。

育成プログラムによって、東京都のアスリートとしての自覚や精神力を鍛えられるので、自ら目的を持ってやり遂げるなど、我が子の成長を実感される保護者も多くいらっしゃいます。

国内外で活躍する選手が続々と!オリンピックも夢じゃない!

――過去に育成プログラムを受けた生徒たちは、どのようなシーンで活躍されているのでしょうか?

国内大会をはじめ、世界ジュニア選手権などの国際大会に出場して、好成績を収めている生徒が多くいます。たとえば第4期生として参加したボートの石垣優香選手は、アジアジュニア選手権 舵手なしクォドルプル 優勝(2017)、世界ジュニアボート選手権大会 ダブルスカル 総合11位(2017)という実績を持ち、現在は東京都が認定する※東京アスリート認定選手(平成29年度)にも選ばれるなど活躍しています。
※詳細はこちらから。

▲日本ボート協会 提供(写真右が石垣選手)

彼女は中学生時代、陸上選手として活躍してきたものの、思うような結果が出せず、トップアスリート発掘・育成事業(旧ジュニアアスリート発掘・育成事業)を通じてボート選手に転向しました。新たな可能性を開花させた彼女は、生き生きと活躍しています。

また、同じく第4期生でウェイトリフティングの紙屋十磨選手は、アジアユース選手権 56kg級 5位(2016)、国民体育大会 56㎏級 優勝(2016)の実績を誇り、東京アスリート認定選手(平成28年度及び平成29年度)にも選考されています。また、彼は競技活動と並行して大学で勉学にも励んでいます。

小学生の頃から相撲選手として活躍してきた彼は、相撲が強くなりたい一心でウェイトリフティングを始め、結果的にウェイトリフティングに転向しました。相撲で鍛えた根性でスクワットなど地道なトレーニングを継続し、努力を重ねています。

――東京アスリート認定選手になると、どんな特典が受けられるのですか?

競技団体を通じて国際大会へ参加する際の遠征費用を援助するなど、東京都の代表選手としてさまざまなサポートが受けられます。

――これまでに育成プログラムを受けたのちに、オリンピックに出場した選手はいますか?

現状はおりませんが、ご紹介した選手のように十分に出場の可能性のある選手もおり、2020年を含むオリンピックでメダルを獲得するのも夢ではありません。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ応募を検討してみてください! また、パラリンピックについても同様の発掘事業があり、近々応募が始まる予定ですので、ぜひ事業の公式サイトをチェックしてくださいね。

[参照サイト]
東京都 オリンピック・パラリンピック準備局 スポーツ推進部
https://www.sports-tokyo.info/tokyojrathlete.html

<Text:小林香織(H14)/Photo:東京都 提供(一部を除く)、スポーツTOKYOインフォメーションから掲載>