WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス「サプライズ!」「6打差からの大逆転は、本人も驚く劇的な勝利」 日本の小平智が、RBCヘリテージ(4月12日~15日/サウスカロライナ州)でPGAツアー初勝利を挙げると、アメリカの…
WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス
「サプライズ!」
「6打差からの大逆転は、本人も驚く劇的な勝利」
日本の小平智が、RBCヘリテージ(4月12日~15日/サウスカロライナ州)でPGAツアー初勝利を挙げると、アメリカの各メディアではそんなヘッドライン(見出し)が一斉に並んだ。
PGAツアーで初勝利を飾った小平智
アメリカではほぼ無名に近い小平ゆえ、その大逆転劇はことさらビッグニュースになったのかもしれない。多くのメディアで小平の経歴や人となりが大きく報じられ、そのプレーぶりも細かく紹介された。そして、その評価はおおむね好意的なものだった。
最も評価されていたのは、ショットの精度だ。4日間のフェアウェーキープ率が75%で4位。パーオン率は68.1%で7位。しかも、そのグリーンを捉えたショットのピンまでの距離が平均約9mで、これが全体の第1位だった。
そうした数字を踏まえて、「最終日は悪天候が近づく強風の中で、『66』の好スコアをマーク。それは、小平のショット力の象徴」であると、各メディアで高く評価された。
加えて、「アメリカでは知られていないが、日本ツアーでは国内メジャーを含めて通算6勝。その実力からして、この優勝もフロックではない。どんな悪天候でもボギーを多く打たない力は勝利に必要な条件。初日を除く3日間でボギーが少ないのは、勝ち方を知っている選手」と称えられ、さらに「前週のマスターズ28位を含めて、出場した過去3つのメジャー大会でもすべて予選を通過。今大会は、勝つべくして勝ったものだ」と絶賛する記事が多く見られた。
また、その人となりについては、こう詳細に伝えられた。
「(小平は)礼儀正しい日本の好青年。昨年結婚したばかりで、伴侶となった(古閑)美保夫人は元ツアー選手。日本ツアーの賞金女王にも輝いており、彼女のサポートも大きい」
アメリカのゴルフチャンネルでも、小平の特集を組んで大々的に紹介されていた。その結果、アメリカでも多くの人が、小平の存在を知ることになったに違いない。
ちなみに、SNSでもたくさんの著名人からメッセージが投稿されて、ジャック・ニクラウス(アメリカ)やゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)など、往年の名プレーヤーたちも小平の勝利を祝福。彼らがそのプレーぶりを評価しているのだから、なおさら栄誉なことと言える。
この勝利によって、小平が得るものも多い。まずは、PGAツアーメンバーになる資格を得て、2年間のシード権も獲得した。小平はすぐさまその資格を行使する意思を表明したので、今季はツアーメンバーとして、来季の2018-2019年シーズンと翌2019-2020年シーズンは、シード選手としてフル参戦することができる。
この優勝でフェデックスカップ・ポイントも500ポイント獲得。ランキング上位40位以内まで浮上し、昨年の例からすれば、今季はプレーオフ2戦目のデル・テクノロジーズ選手権までは確実に出場できるだろう。
さらに、今季のプレーヤーズ選手権をはじめ、ディーン&デルーカ招待、メモリアル・トーナメント、ザ・ナショナル、全米プロ選手権、来季のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ、キャリアビルダー・チャレンジ、そしてアーノルド・パーマー招待といった、招待試合や限られた選手しか出場できない試合の出場権も得た。
マスターズを終えた時点では、小平はこう話していた。
「今後は、もちろんPGAツアーに出て”(1シーズン限りの)テンポラリーメンバー”の資格を取っていきたい気持ちもあるけど、まだまだそんな成績にはない。着実に一歩一歩やっていきたいなと思います」
それが今回、一気に2年シードを獲得したのだから、ゴルフとはまったくわからないものだ。
一度、日本に帰国した小平。到着した羽田空港には多くのメディアとファンが出迎える”凱旋帰国”を果たした。
気になる今後のスケジュールだが、連戦の疲れのうえ、肩の痛みもあることから、1週間は休養をとる。その後、日本ツアーの中日クラウンズ(4月26日~29日/愛知県)に出場したあと、再び渡米するという。
「今後、コダイラ・サトシの名前はもっと聞くことになるだろう」と、アメリカメディアからも多くの期待が集まっている小平。
「欲を言えば今季、もうあと1勝したい。そして、メジャーでも活躍したい」
そう言って、PGAツアーでの戦いにも並々ならぬ意欲を見せた。
5月10日に開幕する「第5のメジャー」と呼ばれるプレーヤーズ選手権(5月10日~13日/フロリダ州)から、正式なツアーメンバーとしての、本格的な戦いがいよいよ始まる。