WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 今季メジャー初戦のマスターズ・トーナメント(4月5日~8日/ジョージア州)が行なわれた。 4大メジャーの中でも、このマスターズだけはなぜか”特別感”がある…

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米ツアー・トピックス

 今季メジャー初戦のマスターズ・トーナメント(4月5日~8日/ジョージア州)が行なわれた。

 4大メジャーの中でも、このマスターズだけはなぜか”特別感”がある。それは、メジャー初戦だからなのか。毎年同じオーガスタ・ナショナルGCという舞台で行なわれる唯一の大会だからなのか……。

 確かに、同舞台には「アーメン・コーナー」という見せ場があり、「魔女が棲む」とも言われ、毎年数々のドラマが生み出されている。

 そして今年も、豪華なメンバーが集結し、大いに盛り上がった。

 そのうち、日本勢は初出場の2人を含めて4人が参戦。7度目の出場となる松山英樹と初出場の小平智は決勝ラウンドに駒を進めたが、4度目の挑戦となった池田勇太と、念願の初出場を果たした宮里優作は予選ラウンドで姿を消した。

 まずは、2日間で早々にコースを後にしてしまった2人の戦いを振り返ってみたい。



初のマスターズは予選落ちに終わった宮里優作

 宮里は昨年末、土壇場で世界ランキング50位以内に滑り込んで、初出場の切符を手に入れた。その際、明暗分かれて、世界ランキング51位以降に押し出されてしまったのが、小平だった。

 しかし本番では、小平が予選通過を果たす一方で、宮里はあえなく予選落ち。逆に明暗が分かれた。

「経験したことがないことが多く、難しかった」

 そう振り返った宮里が強烈な”罠”にハマッたのは、初日の15番パー5だった。そこまで我慢のプレーをしていたが、このホールでトリプルボギーの「8」。手厳しい”オーガスタの洗礼”を受けてしまった。

 2オン可能なパー5。宮里の第2打は、グリーン奥へと転がった。返しのチップショットは、ボールを上げるか、エッジでワンクッションさせるか迷ったが、ワンクッションを狙って打った。

 しかし、そこで痛い目を見た。ボールは大きくバウンス。そのまま勢いよく転がって、反対の池に落ちてしまったのだ。結局、フェアウェーまで戻って打った第5打をオンさせたものの、3パットして崩れた。

「1番のティーショットはすごく緊張した。体が思うように動かなくて。ショットの調子も悪かったけど、細かいジャッジミスがあった。

 15番は……練習ラウンドでは、あそこはワンクッションで(ボールの勢いを)取られていたのに、今日は(芝生が)硬くなっていた……」

 オーガスタでは”経験が必要”ということが、改めて浮き彫りとなった一打だった。

「なんとかなりそうで、ならなかった」と、初日、2日目も「77」を叩いた宮里。それでも、最後はマスターズでのリベンジを誓った。

「(オーガスタは)攻め方ひとつで、すごく変わっていくなっていうことを痛感させられました。でも、1回はコースを見られた。来年からはここを想定して、これからいろいろなことができる」

 翻(ひるがえ)って、2年連続4回目の出場となった池田も、苦しい戦いを強いられた。結果、出場3大会連続の予選落ち。「準備はしてきたのに、結果は出せなかった」と最後まで厳しい表情だった。

 池田はマスターズまでの1カ月、日本を離れて北米に拠点を置いて準備を重ねてきた。さらにその間、WGC(世界選手権シリーズ)メキシコ選手権(3月1日~4日/メキシコ)を皮切りに、アーノルド・パーマー招待(3月15日~18日/フロリダ州)、WGC デル・マッチプレー選手権(3月21日~25日/テキサス州)、そして前週のヒューストン・オープン(3月29日~4月1日/テキサス州)と、精力的にトーナメントに出場し、マスターズに向けて調整を図ってきた。

 しかしながら、決勝ラウンド進出には4打及ばなかった。

「ここに向けて準備はしてきたのに……思うようにいかなかった。(ショットの)調子は悪くなかったのに、コースにいくと練習場のようには打てなかった。それは、プレッシャーがあるからなのか、いろいろと考えてしまうからなのか……」

 普段どおりのプレーができなかったという池田。5週間、アメリカで過ごして万全の準備を整えてきたつもりだったが、それがかえって、さまざまなことを考えすぎる要因になってしまったのか。

 池田は、「課題はいっぱいある……」と力なく吐露。言葉少なくコースから去っていった。

 初出場ゆえに襲われた災難。4度目の挑戦ゆえに陥った苦境。宮里も、池田も、どちらも自分の力を出せずに終わってしまった。

 だが、選手たちにとっても、マスターズは特別である。ふたりとも、最後にこう言葉を残していった。

「また来年もここに戻ってきたい」