侍ジャパン女子代表へ4年ぶりの復帰目指す出口彩香「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」(8月22~31日、米国フロリダ…
侍ジャパン女子代表へ4年ぶりの復帰目指す出口彩香
「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」(8月22~31日、米国フロリダ)で6連覇を目指す侍ジャパン女子代表の第2回強化合宿が13日、高知県安芸市の安芸市営球場でスタートした。
2月に宮崎で行われた第1回合宿に続き、リーダーに指名されたのは、12年、14年の代表メンバーだった出口彩香内野手(ハナマウイ)。2年間プロで過ごした後にアマチュアに戻り、4年ぶりの代表復帰を目指す25歳が、平均年齢19.9歳と大幅に若返ったチームをけん引している。
今回の合宿では代表候補35人が20人に絞られる。その生き残りをかけたサバイバル合宿に、出口は過去2回とは全く違う心構えで臨んでいる。
「以前は学生だったし、自分のことだけをがむしゃらにやっていました。今は、リーダーとしての立場もあります。(年)下の子が力を発揮できるように」と自ら積極的に高校生や大学生に声をかける。球場ではグラウンド整備や球場内の掃き掃除を率先して行い、ミーティングで質問が出ない時には真っ先に手を上げて、意見が飛び交うような雰囲気作りに気を配る。駒沢学園女子高、尚美学園大でも主将を務めていただけに、そんな姿は様になっている。
橘田恵監督が出口をリーダーに指名した理由
侍ジャパン初の女性監督となった橘田恵監督は、出口をリーダーに指名した理由についてこう語る。
「プロとのコミュニケーション、アマとのコミュニケーション、全体のコミュニケーションが図れるんじゃないかなと思って。先頭切って、いい見本になっています」
里綾実投手(愛知ディオーネ)、川端友紀内野手(埼玉アストライア)、三浦伊織外野手(京都フローラ)と国際大会の経験豊富なプロ3人と、若い選手をつなぐ役割も担っている。
2年前の韓国大会。出口は、女子プロ野球リーグ・埼玉アストライアでプレーしており、代表入りは叶わなかった。同リーグの選手が直接日本代表のトライアウトを受験することはできず、メンバー入りするのは最終的に5人程度と限られているためだ。
中学生の時から夢だった日本代表への思いを完全に捨てることはできなかった。お金をもらって野球をやることに馴染めなかったこともある。「私はプロ向きじゃなかった」と16年限りで退団。昨年から企業チームのハナマウイに所属し、デイサービスの仕事をこなしながら、週3、4回、専用球場で練習をこなしていている。
世界大会の怖さ痛感「30分間ずっと守っていました」
二塁手として過去2回活躍した実績があったとはいえ、昨年11月に行われた日本代表のトライアウトを突破できる自信はなかったという。「1回外に出ているし、どうなるかわからないと不安だったので、うれしかったです」。だからこそ、このチームの役に立ちたいという思いは人一倍だ。
高いレベルでもまれたプロでの2年間は決して無駄ではなかった。絶対的な自信を持っていた守備で、打球が飛んだ瞬間に足が止まる捕球イップスに苦しんだ時期もあったが、苦手だった打撃が向上すると、鉄壁の守備も戻ってきた。「バッティングはずっとすり足だったのですが、いいバッターが足を上げているのを見て、盗んでやってみようと。やっているうちに結果が出て、タイミングをつかみました」と攻守ともに4年前よりもレベルアップして戻ってきた。
若いチームにあって、世界大会の怖さを知る貴重な選手だ。12年カナダ大会でのカナダ戦。9-1と大量リードしていたにもかかわらず、2点差まで猛追された場面は今も脳裏に焼き付いている。「どのピッチャーが投げても、全部ヒットになって、30分間ずっと守っていました。エラーは一つもありませんでした。最後は里さんが投げて抑えましたが、海外の選手は乗せると怖い。何点リードがあっても怖いです」と話す。
様々な経験を携え、リーダー格で臨むことになる8月の大会。「絶対に負けられない。どんな勝ち方をしても6連覇」と力を込める。「まずは監督がやりたい野球を一番に理解して、みんなに伝えていきたい。下の子よりもめっちゃ声を出して引っ張る」。強い責任感と広い視野でチームの先頭を走っている。(Full-Count編集部)