フランス・パリで開催されている全仏オープン(5月22日〜6月5日)の大会13日目、男子シングルス準決勝。 世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、全仏オープン決勝に戻ってきた。彼は準決勝で第13シードのドミニク・ティ…

 フランス・パリで開催されている全仏オープン(5月22日〜6月5日)の大会13日目、男子シングルス準決勝。

 世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、全仏オープン決勝に戻ってきた。彼は準決勝で第13シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を6-2 6-1 6-4のストレートで下し、彼の指をすり抜け続けている唯一のグランドスラム、全仏オープンで優勝するためのチャンスをふたたび手に入れた。

 第3セットの序盤、ジョコビッチの最初のサービスゲームでのダブルフォールトは、0-30と彼をたちまちプレッシャー下に置いた。

 ティームはそこから15-40に持ち込んで2本のブレークポイントを握るが、ジョコビッチはフォアハンドのウィナーで最初のブレークポイントをセーブする。

 しかし、2本目のブレークポイントは何もできなかった。ティームがコートの角にウィナーを叩き込み、2-0とリードとする様子をジョコビッチはただ見送ることになる。ティームは次の自分のサービスゲームをラブゲームでキープし、3-0とリードを広げた。

 しかし、ティームの攻撃は長くは持たなかった。その2ゲーム後、フォアハンドがアウトとなり、ジョコビッチが2つのブレークポイントを握る。彼はそのうち1つしか必要とせずそのゲームを取ると、次の自分のサービスゲームをキープして3-3と追いついた。

 ジョコビッチはそこから攻撃に戻り、第7ゲームでふたたびティームのサービスをブレークして4-3。ティームがロブでジョコビッチの裏をかこうとしたときにも、ジョコビッチは何の情けもかけず切り返した。彼はベースラインの後ろに下がってボールを返球しただけでなく、そこからウィナーを打ち込み、拳を突き上げて自らを称えたのだった。

 そして5-4で迎えたジョコビッチのサービスゲームで、ティームは反撃の力もアイディアも使い尽くしてしまったように見えた。

 ジョコビッチは30-30からフォアハンドをネットにかけてティームにブレークポイントを与えたが、ティームはそれを有効活用することができなかった。今度はジョコビッチがマッチポイントを握り、ティームがバックハンドをワイドに外して万事休すとなった。

 ジョコビッチは試合後、6人のボールボーイとボールガールを集め、これまでのほかの試合でもやってきたやり方でみんなで勝利を祝った。彼らは揃って腕を空に向かって上げ、観客たちは『オレ!』と叫んだ。

 ジョコビッチの決勝の相手は、世界2位のアンディ・マレー(イギリス)となった。マレーにとって、全仏オープンでの決勝進出は初となる。

 これまで3度準決勝で足止めされてきたマレーだが、今年の準決勝はフィリップ・シャトリエ・コートでディフェンディング・チャンピオンで第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を6-4 6-2 4-6 6-2で破った。そして、その瞬間、全仏オープンの決勝に進出した1937年のバニー・オースティン以来のイギリス人となった。  マレーは迎えたマッチポイントでワウリンカが上げた弱々しいロブをスマッシュで叩き、最後のゲームをラブゲームで取って勝利に花を添えた。  「決勝を楽しみにしている」とオンコートインタビューで答えたマレー。「(決勝行きを決めたことを)すごく誇りに思うよ」。(C)AP(テニスマガジン)