今季J1も第6節が終わり、そろそろ真価が問われ始めている。清水エスパルスが迎えているのは、そんな状況ではないだろう…
今季J1も第6節が終わり、そろそろ真価が問われ始めている。清水エスパルスが迎えているのは、そんな状況ではないだろうか。
J1第6節。前節終了時点で4位につける清水は、ジュビロ磐田との「静岡ダービー」を0-0で引き分けた。
今季の清水は、最終節の勝利でギリギリのJ1残留を果たした昨季から一転、開幕からの4試合を2勝2分けと好スタートを切った。第5節で初黒星を喫しはしたが、6試合を終えて勝ち点9の5位は、どうにか残留圏内に滑り込んだ昨季を思えば上々の成績である。
スコアレスドローに終わった静岡ダービーにしても、清水のヤン・ヨンソン監督は「両チームがとてもイーブンで、いいゲームだった」と、納得の様子で振り返った。

今季からエスパルスの指揮官となったヤン・ヨンソン監督
しかしながら、内容的に悲観するような試合でなかったのは事実だとしても、少なからず手詰まり感が漂っていた試合だったこともまた否めない。
指揮官が「特によかった」と語った前半は、確かに高い位置からのプレスが効果を発揮し、ほとんどの時間を磐田陣内でゲームを進めることができた。8分にMF石毛秀樹のシュートが左ポストを叩いたのをはじめ、早い時間からいくつかのチャンスを作っている。
ところが、ボールを保持してゲームを進めてはいるものの、清水は次第に攻め手を失っていく。横パスやバックパスばかりが目立ち、なかば強引に縦パスを入れてみてもボールを失うだけ。得点が生まれそうな雰囲気は徐々に薄れていった。
磐田のキャプテン・DF大井健太郎に言わせれば、「清水に(ボールを)持たせている感じはあった」という。皮肉にも清水のプレスが機能し、磐田を押し込み続けたことが、むしろボールを持ったときの物足りなさを目立たせる結果となった。
すると、30分を過ぎたあたりから、徐々に試合の流れは磐田へと傾いていく。後半は、磐田の名波浩監督が「圧倒的に押し込むことができた」と振り返ったように、その多くの時間が清水陣内で進められた。
ヨンソン監督が「全員で協力してうまく守れた。流れのなかで崩されることはなく、(磐田の武器である)セットプレーにも対応できた」と語ったように、前後半で試合の流れが大きく変わるなかでも、清水の守備が破綻をきたすことはなかった。
キャプテンのMF竹内涼も、降格圏で苦しんだ昨季との違いをこう語る。
「押し込まれる時間があっても、バタバタしなくなった。この2、3年はそこで苦しんできたが、我慢すべきところでイライラしないでやり続けることが、今は徹底されている。それができるから守り切れているし、そこにはある程度自信が出てきている」
積極的なプレスから相手の攻撃をコントロールし、試合の主導権を握るだけでなく、こと守備に関して言えば、押し込まれる展開を強いられたとしても我慢強く対応できる。その結果が、開幕からの好スタートにつながっているのだろう。
だが、その一方で、いかに得点を取るかに関して言えば、そのパターンは限られているというのが現状だ。
4-2で勝利した第2節のヴィッセル神戸戦、3-1で勝利した第3節のコンサドーレ札幌戦を除くと、清水は4試合で1点しか取れていない。今季チーム最多の3ゴールを挙げているMF金子翔太が語る。
「神戸戦や札幌戦のようにショートカウンターがハマれば点を取れるが、ボールを持ったときに(相手の守備を)崩すバリエーションが足りない。誰かが仕掛けるとか、はがすとか、無理をするシーンがないと得点は入らない」
残留争いを免れるだけでなく、そこからさらに上位をうかがうためには、ショートカウンター頼みからの脱却が不可欠。失点は1試合平均1点を下回っているだけに、どれだけ得点を増やせるかが上位進出のカギとなるだろう。
とはいえ、清水は若い。
静岡ダービーでのスタメンの平均年齢を比べると、磐田の28.64歳に対して、清水は25.36歳。日本人選手だけに限れば、24.28歳である。今季から新たにヨソンソン監督が指揮を執っていることも含め、チームはまだまだ成長途上にある。
あたかも経験の違いを見せつけられるように、磐田の老獪(ろうかい)な戦いぶりに次第に押し込まれていってしまったが、物足りなさは伸びしろと表裏一体。金子は、「(膠着した試合では)何かひとつ”スパイス”がないと点は取れない。自分も違いを作れる選手になりたい」と、力を込めて話す。
率直に言って、静岡ダービーの内容は清水がこのまま上位を争っていくには、厳しいものだったと言わざるをえない。しかし、手詰まり感の漂う試合は同時に、若い選手たちにとって、次なるステップへの意欲をかきたてられる試合でもあったはずである。
可能性を秘めた若い選手たちが、もう一段階ステップアップできるかどうか。清水の上位進出は、その成否にかかっている。