石川佳純 写真:アフロスポーツ

 アジアの強豪選手たちが熱戦を繰り広げている「LION ITTF-ATTU アジアカップ横浜2018」<4月6~8日/横浜文化体育館>は7日、第2ステージと呼ばれる決勝トーナメントに突入し、日本人選手で唯一、準々決勝を勝ち上がった石川佳純(全農)が準決勝へ進出。世界ランク1位の陳夢(中国)と対戦し善戦するも、相手の高速バックハンドに押されるなどし、ゲームカウント1-4で辛くも敗れた。準決勝敗退の石川は8日13時開始予定の3位決定戦で鄭怡静(台湾)と表彰台をかけて戦う。



 第1ステージ(予選リーグ)から絶好調で来た石川は今大会の山場である陳夢戦にも盤石の態勢で臨んだ。序盤は先に2ゲームを連取されるも、落ち着いた試合運びで第3ゲームを奪取。とりわけ4-7でリードされてタイムアウトを取った後、「戦術を変えて長いサーブを出し、そこから強気で攻めていけた」と本人が話すように9-9に追いつき、10-10のデュースからツッツキやサーブで相手を崩して1ゲームを奪い返した。

 ちなみに石川は5ゲーム中3ゲームで9-9に持ち込み、あと一歩のところまで陳夢を追い詰めた。だが、デュースに強いのが中国人選手。特に今日の陳夢は「世界一バックハンドが上手いんじゃないかなと思うくらい、先にバックハンドで打たれてしまった」と石川が振り返るように、打点も早くスピードもあるバックハンドを要所で放ってきた。石川も苦しみながらコース変更や台上プレーで応戦したが、ゲームカウント1-3で迎えた第5ゲーム、8-5でリードしていたにもかかわらず逆転を許し、「(あそこで取れていたら)もう少し流れが変わっていたと思う。すごく悔しい」と後悔の念をにじませた。



 しかし、今大会に出場している丹羽孝希(スヴェンソン)、張本智和(JOCエリートアカデミー)、平野美宇(日本生命)らが準々決勝で軒並み敗れ5-8位決定戦に回る中、準決勝進出を果たしたのは石川だけだ。近年は10代の選手たちの活躍が目立つ傾向にあるが、石川もバックハンドの強化やカットマン対策などで進化を見せ、先月のワールドツアー・プラチナのドイツオープン女子シングルス優勝など結果を出している。精神面も充実しているようで、アジアカップでも「相手にリードされても焦らず落ち着いて対処できる」「(状況を見極め)深追いしなくなった」などと、ことあるごとに話しているのが印象的。

「卓球以外の余計なことは何も考えず、目の前の試合を一戦一戦、戦っていくことで好調をキープできている。引き続き平常心でプレーしたい」と石川。大会最終日は3位を決めてワールドカップへの切符を引き寄せたいと意気揚々だ。

(文=高樹ミナ)