バランスの良い食事を用意し片付けるだけにとどまらない。毎日顔を合わせる選手を細かく観察することで変化に気づく、健康管理の役割も担っている。田中博さんは”食堂のおっちゃん”の枠を大きく越え、寮父のような存在となっている。選手の食生活を支えるだけでなく、チームを陰から支える田中さんにお話を聞いた。

 

 

ー食堂では日々どのようなお仕事をしていますか。

野球部がオフの日以外の週5~6日、寮にいる選手に朝昼晩3食作ってます。選手は30人。それぞれ性格が違うから、いかに仲良くなるか、仲良くするかが大切。毎日顔を合わせるわけだから、その子の好物とかの話をしてコミュニケーションを取ってるね。あとは女の子の話とか(笑)。本当に和気あいあいですよ。料理はいろいろ作るけど、選手にはアレルギーも含めて嫌いなものは出さないようにしている。試合がある朝は全員のリクエストでうどんとか、そばを出してます。

 

ー食事のあとに選手が「おっちゃんご飯ありがとう!」と声をかけるなど、仲が良い印象を受けました。他にはどんな業務をしているのでしょうか。

ありがとうございます。そうですね、体調管理も俺がしてます。ちょっと調子が悪そうに見えたら、「どっか悪いのか」とか「熱あんのかー」って声をかける。少し太ったとか、体が一回り大きくなったとか、そういうのもこっちから見ると本当に良く分かるんですよ。あとは、慶應の選手はプロテインをシェイカーで飲んでるんだけど、昔カビが生えていたのに使ってた。だから「こんな汚いの使ってたらお腹壊すよ」って、俺が洗ってあげるようになった(笑)。

 

ー様々なサポートをしているんですね。そういえば、慶應野球部がキャンプで着用するようなTシャツを着てらっしゃいますね。

もう5枚くらい持ってるかな。「おっちゃん、着る?」って聞かれて「着る着る~」って(笑)。おととし引退した加藤(拓也=広島カープ)くんからは神宮のリーグ戦でノーヒットノーラン達成したときに、「これあげる」ってグローブをプレゼントされました。引退した子たちとも仲良くさせてもらっていて、たまにあいさつに来るよ。ヤーさん(山本泰寛=巨人)も本拠地が東京なんでたまに来る。岩見(雅紀=東北楽天)はまだ来てないけど、今度来るときはバットを持ってきてほしいね(笑)。

 

ー昨年の秋季リーグ戦で優勝しましたが、その時の心境はいかがでしたか。

めちゃくちゃ嬉しかった。「おっちゃんも優勝パレード出ようよ」って言われて、さすがに断ったけどね(笑)。選手を近くから毎日見ていて、当時はそんなに周囲から期待されていなかった。だけどあれよ あれよと勝っちゃって優勝でしょ。めちゃくちゃハイテンションになったよ。神宮に行くのは早慶戦だけだけど、試合結果や選手の活躍はいつも気にしているし、励みになる。(インタビュアーが明治出身者だったため)特に明治に勝ったとき(笑)。春ももちろん、優勝すればいいなと思ってます。食堂から精一杯サポートしてあげたいです。