「勝ち点取ったら、一週間おごりにしてやるよ。」東京大学野球部の部員たちと男気のある約束をしたのは、グラウンドの近くにあるうどん屋『こくわがた』の店主・寺尾将幸さん。客の約7割が東大生で、6年前にオープンしてから、東大生の胃袋を鷲掴みにしてきた。お店を経営しながらも、選手たちへのサービスを惜しまない裏には、自身の体育会での経験があった。


 

ー選手にお話を伺ったのですが、とてもインパクトのある約束をされたそうですね。

そうかな。野球部に限らず東大の運動部の子には公式戦で勝ったら次回はご馳走してあげる。昨秋は勝ち点取った時は、1週間おごってあげましたね。野球も含めてアメフトやラクロスの子も来てくれます。真剣にやってる子って応援したくなりますよね。僕も学生の時に先輩に可愛がってもらったし、それは次の代にも順番にしてあげるのが僕らの役目かなって。歳は離れてるけど挨拶もしっかりできるし、プレーで感動させてもらってるし、やっぱりかわいいよね。このお店始めるまではプロスポーツしか見たことなかったけど、学生のスポーツ見たら、熱いプレーでかっこよくて。ハマっちゃいました(笑)

 

ー寺尾さんからしたらみんな可愛い後輩なんですね。

うーん、後輩というか仲間というか。うちのうどんは手打ちで、足で踏んで手で混ぜるんです。結構体力使うんですよ(笑)。でもサービス用のうどんも一生懸命作って、それを食べてもらって身体を大きくしてもらって。そこで、さらに活躍してくれたら最高ですよ。一緒に練習してはいないですが、一体感みたいなものを感じます。僕らも運動部だったので、勝つためにやることがどれだけ大変かわかる。それなのに、彼らは日本一の大学に勉強して入って、他のチームのスポーツ推薦を相手にしてるんです。そこで勝ったら僕らも勇気付けられますし、素直にすごいことですよ。だから応援したくなる。

野球部員がよく注文するしょうゆうどん 麺の量はもちろん鶏天も1個サービスされている

ートップレベルで勉強とスポーツの両立をしているのは素晴らしいと思います。選手たちのお店での様子などは、どうですか。

やっぱり、よく食べますよ!お店のメニューには、大盛りまでしかないんです。でも付き合いのある運動部や応援団の子には、メガサイズって呼んでる並の2.5倍くらいある麺と、たくさん点を取れるようにって気持ちで、鶏天を一個増量サービスしています。それでもペロッと食べちゃいますよね。あとは、勝ってほしいから、明治戦の前はナス入れたり、早稲田はさつまいも、法政はオレンジ渡して食っちゃえって。そういう験担ぎみたいなのもやってる。僕らにできるのはこのくらいなのでね。

それと神宮での試合は、気になるのでほぼ行きますね。ひどい時は店閉めていくので(笑)。バックネット裏にいても、選手たちは気付いてくれますからね。グラウンドから「おーい」って手を振ってくれます(笑)。

 

ー現地にも行かれるのですね。選手たちと本当にいい関係を築いていらっしゃいますね。

みんないい子でね。上級生は、お酒を一緒に飲むこともあるんです。4年生とは、引退した後に慰労会するんですよ。その時に野球部のポストカードにサインして、プレゼントしてくれました。チームのTシャツとかは貰ったことあるんだけど、学年全員で、贈り物してくれたのは、今年が初めてでとても嬉しかったね。卒業生では、地元から東京に来るたびに、お土産持って、お店まで挨拶に来てくれる子もいる。とても律儀なんだよね。だから僕らも、ずっと応援したくなるんです。

 

ー卒業後もそうやって関係が続くことで、現役選手も通いたくなるお店になっているんでしょうね。最後に、今年のチームへ応援の言葉をお願いします。

昨年は、勝利を見させてもらって、とても勇気づけられました。今年は、昨年の主力がたくさん抜けたので、立て直しが大変だと思います。それでもチームで一丸となって、感動をくれる戦いをしてくれることを期待しています!