自身初のMVPを獲得した、久光のエース・石井優希

 2017-18 Vプレミアリーグ女子は、久光製薬スプリングスの2年ぶり6回目の優勝で幕を閉じた。MVPに輝いたのは、久光のエースとして活躍した石井優希だ。

 石井は2016年のリオデジャネイロ五輪を経験し、今年度も”中田ジャパン”のメンバーに登録されている。

 身長180cmと、日本のサーブレシーブもできるスパイカーとしては大型の選手で、早くから「ポスト木村沙織」の呼び声も高かった。だが、全日本ではなかなかレギュラーに定着できず、リオ五輪出場をかけた世界最終予選では試合の途中から投入されることが多かったために「午後8時半の女」という名をつけられ、石井本人も「正直、悔しい」と唇を噛みしめていた。

 五輪の本大会ではスタメンに定着し、何度かチームのベストスコアラーになったものの、全日本はベスト8にとどまった。その後、恩師の中田久美監督が全日本を率いることになった昨年度は、ワールドグランプリの途中でメンバー落ちを経験し、グランドチャンピオンズカップではレセプション免除の”打ち屋”として起用されることもあった。

 優しい人柄が仇(あだ)となるのか、ポテンシャルの高さゆえに大きな期待をかけられながら、大事なところで崩れる脆さを指摘されることが多かった石井。その欠点を完全に克服したように感じさせる今季の活躍について、石井は以下のように語った。

――2年ぶりにVリーグの頂点に立って思うことは?

「昨季に悔しい思いをした分だけうれしいですし、これまで支えてくださった方々に『ありがとうございます!』と伝えたいです」

――今季はMVPに輝きましたが、これまで久光が優勝しても別の選手が獲得することが多かった賞を、自身が初めて手にしたときはどう感じましたか?

「正直、名前を呼ばれたときは驚きましたが、素直にうれしかったです。この賞を励みに、また頑張っていきたいと思います」

――サーブで狙われることが多かった中で、個人ではレシーブ賞も受賞しましたね。

「試合の中で『(サーブで狙われるのが)嫌だな』と思うことも多々ありましたが、それでも逃げずに練習してきましたし、ディフェンス面は私の強みだと思っています。チームメイトのサポートも大きかったので、みんなと一緒に取った賞だと思っています」




今季は攻守にわたってチームをけん引した

――今季の久光は圧倒的な強さを見せつけ、シーズンで喫した敗北はわずか2つ。その、皇后杯のデンソーエアリービーズ戦と、ファイナル6のJTマーヴェラス戦でチームに変化はありましたか?

「勝ったときも内容を振り返り、悪いところは修正をしてきましたが、負けるとより悪かったところが明確になりました。勝ち続けることで少なからず連勝のプレッシャーがあったので、かえって吹っ切れたのかもしれません」

――今回の優勝とMVP受賞をきっかけに、さらに成長したいところは?

「優勝やMVPを受賞したからといって、大きく何かを変えることはないと思います。より一層、チームの軸となっていきたいです」

――3月には全日本への選出が発表されましたが、抱負を聞かせてください。

「東京五輪が近づいてきているので、金メダル獲得を目指し、仲間と頑張ります!」

 今季はMVPの他にレシーブ賞も初受賞した。サーブレシーブランキング(成功率)は5位。トップ10にはリベロの選手が名を連ねるが、リベロは守備専門の選手のためサーブを受ける数が少なくなり、成功率が高くなる傾向にある。そんな中、石井はトップ10に入った選手で最多となる525本を受けて60.7%の成功率をおさめたのだ。

 これだけ相手チームから狙われれば、石井本人が「嫌だな」と感じるのも無理はない。それを乗り越えてのこのレシーブ賞は、MVPと同等以上の価値があると言っていい。

 かつては木村沙織もサーブでとことん狙われる経験を経て大エースに成長した。今季の石井も多くのサーブを受けながら、攻撃では自らトスを呼び、「ここぞ」という勝負どころで決め切ってきた。

「みんながフォローしてくれることを信じて、ブロックがついても思い切り打っていきました」と語る石井。今年度こそ殻を破って、中田ジャパンのエースとなれるか。今秋に日本で開催される世界選手権に向け、”打ち屋”ではなく攻守にわたる活躍が期待される。