WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス いよいよ今季メジャー初戦、マスターズ・トーナメント(4月5日~8日/ジョージア州、オーガスタ・ナショナルGC)が始まる。 WGC(世界戦選手権シリーズ)デルマッチプレーを終えた時…

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米ツアー・トピックス

 いよいよ今季メジャー初戦、マスターズ・トーナメント(4月5日~8日/ジョージア州、オーガスタ・ナショナルGC)が始まる。

 WGC(世界戦選手権シリーズ)デルマッチプレーを終えた時点で世界ランキング50位以内に入った選手、小平智、チェズ・リービー(アメリカ)ら4人を加えて、現在の出場予定選手は87名。これから出場資格を得られるのは、直前のヒューストンオープン(3月29日~4月1日/テキサス州)の優勝者だけとなり、1997年大会に次ぐ少ない出場者数となりそうだ。

 ともあれ、今年のマスターズは例年にも増して話題満載だ。開幕が近づくにつれて、トーナメントへの関心が日に日に高まっている。そこで、優勝候補を含めて、注目すべきポイントを整理しておきたい。

 まず、ここに来て優勝候補に急浮上してきた選手がいる。デルマッチプレーで今季2勝目を挙げたバッバ・ワトソン(アメリカ)だ。

 2012年、2014年と、マスターズでは2度の優勝を果たしているワトソン。持ち前の飛距離と、グリーンを攻める独創性のあるショットによって、そもそもオーガスタ・ナショナルGCを得意としている。復調した今、3度目の優勝があってもおかしくはない。

 これまで、マスターズで3勝以上しているのは、ジャック・ニクラウス(アメリカ)、アーノルド・パーマー(アメリカ)、サム・スニード(アメリカ)、タイガー・ウッズ(アメリカ)、フィル・ミケルソン(アメリカ)など8人。そうそうたる名前が並ぶこのエリートメンバーの中に、はたしてワトソンは加わることができるだろうか。

 昨年のマスターズでセルヒオ・ガルシア(スペイン)と死闘を演じ、惜しくもプレーオフで敗れたジャスティン・ローズ(イングランド)からも目が離せない。

 直近の14試合では、2勝を含めてトップ10入りが12回と絶好調。昨年の雪辱を果たして、悲願のマスターズ制覇なるか、注目される。

 雪辱を果たすという意味では、優勝候補筆頭の世界ランキング1位、ダスティン・ジョンソン(アメリカ)もそれが期待されているひとりだ。

 昨年はこの時期、圧倒的な強さを誇り、その勢いのままマスターズでの活躍も見込まれたが、開幕前日に宿舎の階段で足を滑らせて負傷。欠場を余儀なくされるという憂き目にあった。

 以降、苦しい時期もあったが、世界ランキング1位の座をキープ。今季も年明け早々に勝利を収めるなど、好調を維持している。過去2回のマスターズでは、6位(2015年)、4位(2016年)とコースとの相性は悪くない。今年こそ、世界トップの実力を見せつけることができるのか、必見である。

 アーノルド・パーマー招待で復活優勝を遂げたロリー・マキロイ(北アイルランド)には、4大メジャーすべてを制覇する”キャリア・グランドスラム”達成への期待がかかっている。

 今年は、ミケルソンが全米オープンで、ジョーダン・スピース(アメリカ)が全米プロ選手権で、ともに”キャリア・グランドスラム”達成のチャンスがある。ふたりより先に快挙達成なるか。さらに2011年大会の、4打差リードで迎えた最終日に大崩れした”悪夢”を払拭できるのか、世界中のファンが見守っている。

 WGC メキシコ選手権で5シーズンぶりの勝利を挙げて復調著しいミケルソンにも熱い視線が注がれている。47歳にして、「これまでで最高のプレーができている」というから、なおさらである。

 勝てば、ニクラウスの46歳(1986年)を抜いて、マスターズ史上最年長優勝となる。4度目のグリーンジャケット獲得へ、アメリカのファンも大いに期待を寄せている。

 アメリカ期待と言えば、ともに24歳となるスピース、ジャスティン・トーマスの”ヤングガン”対決も見逃せない。

 トーマスは昨季、全米プロでメジャー初制覇を遂げると、そのまま年間王者にも輝いた。そして、今季もすでに2勝を挙げて、今最も勢いのある選手だ。

 片や、スピースは現在、パッティングが不調でやや精彩を欠いている。とはいえ、オーガスタとの相性は抜群。ふたりの直接対決によって優勝争いが展開されるようなことになれば、アメリカのファンはもちろん、世界中のファンがその戦いに引きつけられることになるだろう。



日本人初のメジャー優勝を狙う松山英樹

 日本期待の”ヤングガン”、松山英樹に対する現地の評判はどうなのか?

 左手のケガで戦列を離れていたこともあり、復帰を果たしながら「リトル・スランプ」と評するメディアもある。その一方で、松山のマスターズにおける過去3年間が5位(2015年)、7位(2016年)、11位(2017年)と好成績を収めているため、それに対する評価は高い。

 とりわけ、アイアンショットの精度の高さは「オーガスタ向き」とされ、上位争いに加わる存在のひとりと見られている。日本勢初のメジャー制覇へ、その注目度は決して低くはない。

 最後になるが、一番の注目を集めているのは、やはりウッズだ。

 ヘッドスピードの速さは今季ツアー1位。トップレベルで戦える状態にあることは、すでに周知の事実である。

 加えて、チップ、パットとショートゲームの巧さが復活。4度の戴冠を果たし、最もコースを知る選手ゆえ、優勝候補の最右翼という声があるのも当然のことだろう。

 3年ぶりの出場で、42歳のウッズが5枚目のグリーンジャケットを手に入れる瞬間を迎えれば……これはもう、ゴルフ界にとどまらず、スポーツ界のビッグニュースとなり、歴史的な出来事になることは間違いない。

 まもなく開幕する「ゴルフの祭典」マスターズ。今年はその戦いから片時も目が離せなくなりそうだ。