マリ戦、ウクライナ戦を経て、本田圭佑に対して厳しい評価が急増している。 W杯アジア最終予選の前半まではハリルホジッ…
マリ戦、ウクライナ戦を経て、本田圭佑に対して厳しい評価が急増している。
W杯アジア最終予選の前半まではハリルホジッチに重用されたが、2017年に入ると先発を外れることが多くなり、本大会出場を決めた後の10月、11月の親善試合には招集すらされなかった。ところが、移籍先のパチューカ(メキシコ)でコンスタントに出場機会を得て、得点も増えているという好調ぶりが伝わると、一転して本田待望論も巻き起こったいた。
そうして迎えたベルギー遠征だが、限りなくラストに近いと思われる今回のチャンスでアピールに失敗。本田の本大会メンバー入りは微妙だというのが大方の論調だろう。

ウクライナ戦で先発、64分までプレーした本田圭佑
そもそも”縦に速いサッカー”というハリルホジッチの理想と本田のプレースタイルは本来、相性がよくないはずだ。起点となる技術や感覚、得点力を持っている一方、アジリティや走力に欠けるのが本田の特徴だ。現在のように右のアタッカーで起用されても、攻撃をテンポアップさせることは難しい。ワントップに置いて起点にすることも考えられるが、ロングボールを入れるような攻撃には向かない。
マリ戦を前に、本田はハリルホジッチが求める、裏に抜けるサイドアタッカーとしてのプレーが「苦手だ」と語っていた。
「もともと得意なプレーじゃないですよね。でも、監督はチームとして取り組んでいきたい戦術なんですよね。もちろん意図はわかるし、それが結果、怖さになるというイメージも、裏への飛び出しだと思うんですけど、大事なのはやはり絵の描き方。大事なのは本数より質なので、特に僕みたいにそういうのを得意としてない選手は、質がなにより大事になる。
めちゃめちゃスプリントが得意な選手だったら、20本、30本と抜けられるけど、僕の場合、20本、30本抜けたら他のプレーがボロボロになっちゃう。自分の強みを生かしながら監督が求めるものも出して、結果的に点が獲れるという絵を描くのは、ここで話している以上に難しい」
そんな相性の悪さがモロに出たのがウクライナ戦だった。先発した本田は右サイドでひとり遅攻を選択し、周囲と噛み合わずに終わった。シュートは0本。ハリルホジッチは試合を振り返る中でこう語っている。
「中央にいる選手がパワーで対応することも必要だと思うので、私もたくさんのオプションを見ている。ボールを持ったら、瞬発力、スピード、リズムの変化、速いボール回し、前に向かう動きが必要だと思う。今日は引いて(ボールを)もらう動き、相手ゴールに背を向けた動きが多すぎた。そういった面も変えていかないと、本大会ではうまくいかないと思う。我々の特徴に合ったものを実行しないといけない」
中央にいる選手がパワーで対応することが日本代表の特徴に合っているかどうかは、はなはだ疑問だが、指揮官の認識は違うようだ。そして「ゴールに背を向けた動きが多い」というのは、暗に本田を指しているように聞こえた。そしてこうも言った。
「応援している方々は、日本がボールを持って仕掛け続けることを期待するだろうが、そのようなぜいたくなことはできない」
これに対して本田は、発言内容だけをみれば指揮官に真っ向勝負に出るようなことを語っている。
「試合を支配するということが僕は大事だなと思っています。ただ、それがチームのやりたいことかというと明らかに違うと思うし、(考え方の)少なくとも融合みたいなものが、もう少し見つけられないのかなと思っています」
「チームのやりたいこと」とは、すなわちハリルホジッチのやりたいこと、という意味だろう。とはいえウクライナ戦は64分という短い時間での交代に終わり、自身のプレーについては素直に反省の弁を述べた。
「サッカーは90分間でこみこみになる。最初の布石が後半(になって)、より生きてくる場面での交代だったのは悔しい。監督にもっと見てみたいと思わせられなかった自分に非があるというのはわかっています。あとはテストマッチということで、最初から交代を考えていた可能性もありますし……」
ただし、長友佑都はこの試合の本田について、「やっぱり今日、圭佑は起点を作っていた。裏を狙えない場面でためを作る」と、変わらぬ信頼を語っている。それは何より戦い方のオプションの必要性を感じているからだろう。
本田は長友や長谷部誠、川島永嗣とともに、過去2大会の勝利も敗戦も知る存在である。プレーだけでなく、他の選手への影響力を含めた価値は小さくない。しかしハリルホジッチのサッカーとの相性うんぬん以前に、全盛期の動きでないことも確かである。
果たして本田は23人の本大会メンバーに入るのか。今回、かつてより少し物静かになったように見えた本田にできることはもう限られている。その答えを知るのはハリルホジッチだけというところが、歯がゆく、もどかしい。