鳥取県倉吉市にスポーツクライミング3種目の壁を揃えた公営施設が誕生し、今月24日、倉吉体育文化会館にて「倉吉スポーツクライミングセンター」の完成記念セレモニーが行われた。

 倉吉体育文化会館といえば、ボルダリングユース日本選手権が2015年の第1回大会から3年連続で行われていることで知られ、県をあげて“スポーツクライミングの聖地”に向けた環境整備が進められている。今年11月には日本で16年ぶりとなるアジア選手権の同地開催が決定しており、その一環として、2年前に竣工したリード壁に加え新たにボルダリング壁とスピード壁が設置された。

 全高15mを誇るリード壁の隣にできたのが、同じ高さのスピード壁。アジア選手権に向け、今月下旬には国際スポーツクライミング連盟の検査にも合格した。高さ約4m、横幅約35mのボルダリング壁はリード壁裏の室内に設けられ、初心者にも分かりやすいよう課題数は抑えて配置されている。公営で3種目が一つの施設で行えるのは全国でも例が少なく、昨年8月にはスポーツクライミングとして国内第一号となる日本オリンピック委員会(JOC)競技別強化センターの認定も受けている。

 セレモニーでは「スタバはないけどスナバはある」などの名言で有名な平井伸治・鳥取県知事もお祝いに駆け付けると、「倉吉は『蔵のまち』。この施設をきっかけに、クラ(蔵)イミン(移民)する方も増えれば」とこの日も舌好調。最後には「多くの選手がここから巣立っていき、国内外からこの地を目指す方も出てくるようにしていく。そうすることで、鳥取県中部地震からの復興にも繋げていきたい」と話し、その熱をアピールした。

セレモニーには日本山岳・スポーツクライミング協会副会長の平山ユージ(写真右から3人目)や、同県出身の安井博志ナショナルコーチ(写真右)も出席した。

観衆の前でデモンストレーションする平山氏。子どもたちはレジェンドの軽快な登りに目を輝かせていた。

 県の担当者は、「日本がクライミング王国になってほしい気持ちが強い。競技力向上に貢献するため、国際基準を満たした壁を整備した。新たに2種目の壁を作ることが決まったあとに地震が起き、大きな被害を受けたが何とかこの日を迎えることができて感慨深い」と話す。4月2日からは一般開放も始まる予定で、「民間との連携や定期的な体験会を通した地元クライマー育成はもちろんのこと、全国で数少ないスピード壁がある環境を活かし、国内外からの合宿・大会招致もしていきたい」と意気込んでいる。鳥取砂丘コナン空港からは到着便に合わせた倉吉駅への連絡バスが走り、駅からセンターへも徒歩圏内と、交通機関からのアクセスもしやすい。

 また同担当者が「この中から世界を目指す子どもが出てきてくれると嬉しいですね」と話した通り、会場には地元の小学生たちが多く集まった。セレモニーで決意表明を述べた、この春に中学生となる岡森弘倫君、多月萌々菜さんもこの日を待ち望んでいたという。岡森君は「クライミングは今までできなかった課題が登れたり、届かなかったホールドを触れた時が嬉しい。先輩たちが日本や世界で活躍しているのを見てかっこ良いなと思います。良い施設を作ってもらえたので、僕も頑張って練習して早くそうなりたい」と話すと、多月さんは「トップクライマーの登りを間近に見ることができるアジア選手権が今から楽しみ。大きな大会やオリンピックでかっこ良く技を決めて、活躍できる選手になりたいです」とその目を輝かせた。クライミングの聖地化に向け、その文化は着実に根付き始めている。

体験教室では鳥取が誇るトップクライマー高田知尭らが指導役を務めた。

平山氏からサインをもらった岡森君。「気軽に応じてくれてとても優しかった。自分が登れなかった課題をスイスイ登れて、やっぱりすごい」

平山ユージコメント
「太陽が当たる気持ち良い中でクライミングができて、非常に好印象ですよね。ボルダリングルームも以前はなかった窓ガラスができて開放感がある。JOCの競技別強化センターということで、2020年に向けていよいよ始まったんだなという気持ちになります。全国はもとより、世界中のクライマーが倉吉を訪れてもらえると何よりですね」

安井博志コメント
「たくさんの方の協力があってこの日を迎えることができました。今回ボルダリングルームの施工の大半を地元業者で行うという挑戦もしています。鳥取が頑張れることを示せれば、全国各所でうちもやってみようと思ってもらえる。クライミング界全体を盛り上げるために、ここから発信して刺激していきたいですね」



【倉吉スポーツクライミングセンター】
住所:鳥取県倉吉市山根529-2 倉吉体育文化会館内
問い合わせ先:TEL 0858-26-4441/FAX 0858-26-4447
営業時間:平日 12時~21時/休日 9時~20時
休館日:年末年始(12月29日~1月3日)

CREDITS

取材・文

編集部 /

写真

蜂谷浩美