日本がマリと引き分けたのと同じ日の夜、日本がW杯初戦で対戦するコロンビアは、フランスとの親善試合を3-2で勝利して…
日本がマリと引き分けたのと同じ日の夜、日本がW杯初戦で対戦するコロンビアは、フランスとの親善試合を3-2で勝利していた。
本大会でも優勝候補の一角をなすと予想されるフランスを相手に、しかも、およそ8万人の観衆が詰めかけた敵地サンドニで、0-2の試合をひっくり返してしまうのだから、その強さはさすがと言うしかない。正直、現在の日本代表が勝てる相手ではないと、強く思わされた試合だった。

フランスとコロンビアの親善試合は、3-2でコロンビアが逆転勝ち
コロンビアの戦いぶりのなかで何より際立っていたのは、冷静かつ巧妙な試合運びである。その様子は、「南米のチームらしい勝負慣れ」と表現してもいいかもしれない。
試合は序盤、ホームの大声援に後押しされるように、フランスがボールを支配する展開で進んだ。しかも、コロンビアはGKダビド・オスピナのファンブルという決定的なミスがあり、開始11分で先制点まで許している。
しかし、コロンビアはここから徐々にボールポゼッションを高め、試合の流れを引き寄せていく。途中、攻撃時のバランスの悪さからカウンターを受け、2点目を失うという最悪の誤算があったにもかかわらず、だ。
2失点目の直後にCKから1点を返したコロンビアは、後半に入ると、完全に主導権を握った。特にフランスの攻撃の芽を高い位置で摘み取る守備が非常に有効で、フランス陣内で試合を進める時間を増やしていった。
同点に追いついた2点目も、フランスのボランチ、MFエンゴロ・カンテがパスをつなごうとするところに、MFマテウス・ウリベがプレスをかけて敵陣でボールを奪い、そのまま速攻につなげたものだ。
これでコロンビアは精神面でも優位に立った。攻め急ぐフランスに対し、ポジショニングで先手を取り、ボールをゴールに近づけさせない。コロンビアのDFは世界的に見れば、決して高さやパワーで相手を圧倒できる選手がそろっているわけではないが、完全にフランス攻撃陣を手玉に取っていた。
このまま引き分けで終わっても、”コロンビア強し”を印象づけるには十分な結果だっただろう。だが、最後は途中出場のMFホセ・イスケルドが倒されて得たPKを、同じく途中出場のMFフアン・フェルナンド・キンテロが落ち着いて決めて勝ち越し。親善試合とはいえ、W杯予選10試合でわずか6失点のフランスから3点を奪って締め括(くく)った。
さて、敵地でフランスに勝ってしまうのだから、コロンビアの強さは今さらながらよくわかった。問題は、そんなコロンビアに日本は勝てるのか(あるいは、引き分けられるのか)である。
この試合を見る限り、コロンビアにも当然、スキはある。
4-1-4-1のフォーメーションをベースに、守備では4-5-1のコンパクトな布陣を作り、積極的にボールへ寄せていくコロンビアは、その結果、DFもポジションを離れてボール保持者を潰しに出ることが多いため、DFラインにはギャップができやすい。
また、守備のときに後ろが重くなり過ぎないようにするためか、相手サイドバックが上がってきたときには、MFそのままマークについてDFラインに吸収されるのではなく、後ろのDFにマークを受け渡すのだが、これが曖昧になり、相手をフリーにしてしまうケースが時折見られた。
攻撃時にしても、2失点目のときがまさにそうだったのだが、MFハメス・ロドリゲスが自由に動き回るため、ボールポゼッションのときに中盤のバランスを崩しがちになる。実際、2失点目以外にもいくつか危ういカウンターを受けている。
これについては、前半途中からインサイドMFのハメスと、右MFのウリベのポジションを入れ替える(中央に穴をあけない)ことで改善されたが、攻撃の全権を握るハメスの存在は、コロンビアにとって諸刃の剣になるだろう。
加えて、エースストライカーであり、キャプテンでもあるFWラダメル・ファルカオにはすでに全盛期のキレはなく、ボールロストも目立った。例えば、ポーランドのFWロベルト・レバンドフスキのような、圧倒的な怖さはない。
とはいえ、だ。
これらのスキは、あくまでもコロンビアがW杯本大会で上位に進出できるかどうかを予想するうえでのスキであって、日本がそこに付け入ることができるかどうかとなると、はなはだ疑問が残る。
コロンビアがフランスを下した歴史的一戦(1968年以来、2度目の勝利だという)は、同じ日の昼間に見た試合とは、選手のプレースピードといい、攻守の切り替えの速さといい、球際の攻防といい、まったく別次元の内容だった。
フランスを封じたプレス――強度が高く、狙いを定めるタイミングもいい――を見ていると、ディフェンスのスキを突く以前に、日本の選手がまともにボールを持たせてもらえるのか、不安になる。何しろ、こちらは本家セネガルより数段力が落ちる”仮想”相手に、完全に前からハメられてしまったのだから。
もちろん、一般論として、試合は何が起こるかわからないと言うことはできる。だが、彼我(ひが)の間にある実力差は、絶望的なほど大きい。
すでにわかっていたこととはいえ、あらためて厳しい現実を突きつけられたサンドニの夜だった。