フランス・パリで開催されている全仏オープン(5月22日〜6月5日)の10日目、女子シングルス4回戦でのことだ。 確かに、彼ら(大会運営陣)は、全仏オープンのもっとも雨に濡れた週に、何とか試合を――ひとつといわず、ふたつも―…

 フランス・パリで開催されている全仏オープン(5月22日〜6月5日)の10日目、女子シングルス4回戦でのことだ。

 確かに、彼ら(大会運営陣)は、全仏オープンのもっとも雨に濡れた週に、何とか試合を――ひとつといわず、ふたつも――終えることができた。そしてその双方が、驚きの結果を生んだ。世界ランキング2位のアグネツカ・ラドバンスカと、6位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)が、数分の差で次々と敗れたのである。  火曜日に起きた4回戦負けのあと、ラドバンスカとハレプの双方が、霧雨、あるいはよりひどい雨が降る中で自分たちをプレーさせた大会運営者の決断に、断固として不満を述べた。雨はコートを滑りやすくし、“土のダンゴ”のようになったボールは、重くなっていた。  「レベルの低い大会ではなく、ロラン・ギャロスなのよ。どうして、選手を雨の中でプレーさせることを許せるの?」 2012年ウインブルドン準優勝者のラドバンスカは言った。 「運営者は私たちが何を考えているかなんて、考慮していないのよ。ほかのことを気にかけてるんだわ」 ラドバンスカは、一年前に右手首を手術をしていて、それが痛んだことも言い添えた。  ハレプも、「プレーするのは不可能だった」と指摘し、「私の意見では、誰も選手のことなんて考えていないのよ。私が今日、この試合に負けたってことは別にいいけど、もう少しでケガをするところだったわ」と、ラドバンスカと同じような口調で話した。  ラドバンスカは、世界102位のツベタナ・ピロンコバ(ブルガリア)に2-6 6-3 6-3で敗れた試合の過程で、10ゲームを連続で落とした。その少し前にハレプは、サマンサ・ストーサー(オーストラリア)との、ふたりの全仏オープン準優勝者同士の対決に6-7(0) 3-6で敗れた。ハレプは2014年、ストーサーはー2010年の準優勝者だ。  悲しいことに、火曜日に予定された「12」のシングルスの試合のうち、終わったのはこのふたつの試合だけだった。世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と第14シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)の試合を含め、男子シングルス4回戦4試合は、途中で中断、延期となった。

 セレナとビーナスのウイリアムス姉妹が絡んだ2試合を含む、4つの女子シングルス4回戦と2つの男子シングルス準々決勝は、始まりもしなかった。

 ハレプは、全仏オープンの運営者たちは、大会を時間通りに終わらせられないことを“恐れて”、雨の中で試合を進めると言い張ったのだろうか、と訝った。月曜日にはすべての試合がキャンセルされて、16年ぶりに丸一日が失われるという事態が起きていた。

 「雨は彼らのせいではないけど」とハレプは言った。「でも決断は、最良のものではなかったわね、私が思うに」。

 ラドバンスカ対ピロンコバの試合は、もともと日曜日に行われるはずのものだった。試合が中断されたとき、ラドバンスカは第2セットを3-0でリードし、勝利まであと3ゲームというところにいたのだ。その試合が、火曜日まで延期され、その火曜日にも、さらなる雨のせいで1時間以上、遅れて始まり、30分ほどプレーしてから、また2時間半ほど中断された。

 雨が多少降っているにも関わらず、プレーが続けられた時間帯があったことは、おそらく驚きではなく、勝ったピロンコバに文句はなかった。 「もちろん、以前にも起きたことよ。私たちはありとあらゆるコンディションの中でプレーしているわ。通常、もしもコートがプレーに適さない状態なら、例えば滑るようなら、大会は試合をすぐにキャンセルするわ」と、初めて全仏オープンの準々決勝進出を決めたピロンコバは言う。

 「でも今日、コートはまだ踏みこたえていて、大丈夫だったわ。プレーできる状態だったし、実際そうしたじゃない」

 ストーサー対ハレプの試合は、日曜日に第1セットの途中で中断された。2011年全米オープン優勝者のストーサーは――彼女は気温15度程度という肌寒さを凌ぐため、淡いグリーンの長袖シャツを着ていた――火曜日を通して、よりよいプレーをした。 「あまり心地いいコンディションではなかったけど」とストーサーは言った。「でも私たちは大丈夫だったわ」

 ストーサーが全仏オープンの準々決勝に進出するのは、これで4度目だ。 「言うまでもなく、始めて、中断して、一日おいて、というこれらすべてのことは、本当にたいへんだった」とストーサー。「コートにひとたび出て、そこで雨が降ってきたら、いいものじゃないけど、でもそうなんだから仕方ないわ」。(C)AP