史上3校目の春連覇なるか──。 もうすぐ開幕するセンバツ大会で、最大の注目を集めるのが大阪桐蔭だ。夏の100回記念大会をにらんだ”ミレニアム世代”といわれる3年生は、例年以上にタレントが豊富。2年生だった昨年に優勝を経験した選手が7人いる…

 史上3校目の春連覇なるか──。

 もうすぐ開幕するセンバツ大会で、最大の注目を集めるのが大阪桐蔭だ。夏の100回記念大会をにらんだ”ミレニアム世代”といわれる3年生は、例年以上にタレントが豊富。2年生だった昨年に優勝を経験した選手が7人いる。



昨年夏の甲子園で本塁打を放った智弁和歌山の主砲・林晃汰

 投手、内野手、外野手をこなす根尾昂(あきら)、昨年2年生ながらU-18日本代表入りした藤原恭大(きょうた)の2人はドラフト1位候補だ。

 投手陣はともに最速148キロを誇る根尾と柿木蓮(かきぎ・れん)の二枚看板。さらに身長190センチの大型左腕・横川凱(かい)も完投能力があり、秋の公式戦のチーム防御率は0.99を誇る。

 攻撃陣も藤原を筆頭に根尾、昨年春に甲子園で一発を放っている山田健太、主将の中川卓也ら切れ目がない。不安があるとすれば、藤原がケガで調整が遅れていることぐらい。ただ、昨春のセンバツ決勝で代打ホームランが飛び出したように控え選手層も厚く、死角が見当たらない。

 そんな大阪桐蔭の連覇に待ったをかける一番手は、東海大相模(神奈川)だろう。高校通算46本塁打の森下翔太を中心にした攻撃力が自慢で、昨秋は11試合中8試合でコールド勝ちを収めた。

 チーム長打率、出塁率はともに出場校中ナンバーワン。送りバントよりもエンドランで積極的に仕掛ける持ち味の”アグレッシブ・ベースボール”が展開できれば、前回出場の2011年以来となる優勝も現実味を帯びてくる。

 投手陣も昨秋の関東大会は右手骨折のために登板できなかったエース・斎藤礼二が復帰。昨秋の神奈川大会では7試合に登板して5完封、失点ゼロと抜群の安定感を誇った。ケガ明けは不安だが、逆にいえば、ビデオなどで研究されていないため、秋の不在をプラスにできる可能性もある。控えには野口裕斗、浅海大輝と左腕が2枚おり、斎藤ひとりに頼らずに戦える態勢も整っている。

 智弁和歌山も久しぶりに上位を狙う強力打線に仕上がった。昨秋は夏の甲子園でホームランを放った主砲の林晃汰が右ヒジ手術によってベンチ外。にもかかわらず、チーム打率.371をマークし、11試合中6試合で2ケタ得点を挙げた。

 キャプテンの文元洸成(ふみもと・こうせい)、昨夏の甲子園で本塁打を放った冨田泰生を中心に一発の出る打者が並ぶ。

 また、秋は11試合でわずか4失策。強打で鳴らしていた頃から高嶋仁監督は「ウチは守りのチーム」と言い続けてきたように、練習は守備から行なうのが同校のスタイルだ。2015年夏の津商戦では7失策で自滅したが、今回は守れるチームになっている。

 問題は投手陣だろう。昨夏の甲子園のマウンドを経験したエースの平田龍輝(りゅうき)は最速144キロを誇るが、秋は62イニングで被安打65、四死球24と乱調だった。平田の出来が上位進出のカギになる。

 同じく強打が持ち味の日大三(東京)も上位進出を狙う。例年よりもホームランの数こそ少ないが、長打の出る打線は健在で、選球眼のいいバッターが揃っているのも強みだ。

 投手陣は、中村奎太(けいた)、井上広輝、林玲介の3人でつなぐのがパターンだが、秋は安定感を欠いていた新2年生の井上がひと冬越えて急成長。最速145キロを誇る井上が一本立ちできるようだと安心して戦うことができる。

 打力では負けていないのが、チーム打率.398の確実性に加え、1番から9番まで全員がホームランを打つ能力を秘める東邦(愛知)だ。なかでも注目は、新2年生の石川昂弥(たかや)。東海大会の準決勝で9回二死から同点本塁打を放つなど、長打力と勝負強さを兼ね備えている。

 上位進出のカギは投手陣。エース・扇谷莉(おうぎや・らい)は最速146キロを投げるが安定感に欠けるため、西有喜、左腕・荒島竜太の助けが必要になってくる。秋は登板機会の少なかった荒島が使えるようになると面白い。

 昨秋の明治神宮大会優勝校の明徳義塾(高知)は、例年になくバッティングに力を入れてチームづくりを行なった。馬淵史郎監督も「ここ10年で打撃は一番いい」と自信を持っている。ただ、喫した三振は60個と多く、持ち前の粘り強いバッティングができるかどうかが課題となる。

 明治神宮大会で大阪桐蔭を破った創成館(長崎)は豊富な投手陣が強み。184センチの左腕・川原陸、大阪桐蔭相手に好投した左腕の七俵陸(しちひょう・りく)、上からだけでなくサイドからも力強いボールを投げる伊藤大和、右オーバーハンドの戸田達也と、それぞれタイプの違う投手が揃う。

 もう1校、戦力が充実しているのが日本航空石川だ。大橋修人、重吉翼と140キロ以上を投げる2人に加え、昨夏甲子園のマウンドを経験した左腕の杉本壮志もおり投手陣は豊富。

 打線も186センチ97キロの上田優弥を中心に、チーム打率.379を誇る。「打力が高い選手が揃っているため必要ない」と中村隆監督が言うように、送りバントをしない攻撃ができる強力打線だ。

 はたして、断トツの優勝候補・大阪桐蔭を止めるチームはこの7校の中にいるのか。それともノーマークの学校が金星を挙げるのか。注目の戦いは3月23日から始まる。

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