WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス まさに”タイガーまつり”である。PGAツアーは、久しぶりにタイガー・ウッズ(42歳/アメリカ)の話題で一色となった。 ツアー復帰4戦目のバルスパー選手権(…
WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス
まさに”タイガーまつり”である。PGAツアーは、久しぶりにタイガー・ウッズ(42歳/アメリカ)の話題で一色となった。
ツアー復帰4戦目のバルスパー選手権(3月8日~11日/フロリダ州)。優勝したポール・ケーシー(アメリカ)にわずか1打及ばなかったものの、最終18番まで勝利の可能性を残すプレーに、多くのファンが熱狂した。
ウッズの出場で同大会の入場者数は、過去最多を記録。大会本部からは、「昨年までと比べて、毎日1万人くらい多い人が会場に訪れ、トータルでも昨年の11万2000人を大きく上回る15万人が来場したと試算している」と発表された。
そんな大ギャラリーの中、ウッズは実に鮮やかな復調ぶりを見せた。
ティーショットでは2番アイアンを多用した結果、4日間の平均飛距離は296.2ヤードで37位にとどまったものの、フェアウェーキープ率は59.6%で16位、パーオン率は66.7%で8位。ショットの精度が回復していることは、数字でも明確に表れていた。
加えて、特筆すべきは大会3日目の土曜日、14番パー5でウッズがドライバーを使用したティーショット。その際のヘッドスピードが、なんと129.2マイル(秒速57.75m)を記録したのだ。
PGAツアーが今季計測した中では、ケビン・ツウェイ(アメリカ)の129.02マイルが最高だった。つまり、ウッズはそれを抜いて今季最も速い数値をマークしたわけだ。これには、ツアー全体から驚きの声が上がった。
ちなみに、そのドライバーショットは見事にフェアウェーをとらえた。
現在、42歳。4度の腰の手術を受けたあと、これだけのスピードが出たことに対して、誰よりもウッズ本人が驚いていた。
「(最速を記録したスイングスピードについて)理由はわからないんだ。わかっていたら、正直に話すよ(笑)。以前は、43インチ半のスチールシャフトを使用していて、今は断然軽く、やや長くなったシャフトに変えたけれども、それでもこれだけ速く振れる要因は、僕にはわからない。
これまでは、僕の体内はずっと痛みを抱えていたから、きっと自分でもどこかで動きを抑えていたのかもしれないね。それにしても、今はそんなにハードに振らなくてもこんなにスピードが出ているのだから、自分でも本当に驚いている」
今大会ではショットの他にも、チップショットとパットのショートゲームが際立っていた。グリーン周りにおける寄せの貢献度は、4日間を通して+1.241で8位。パット数は最終日こそ「32」と振るわなかったが、初日から3日目まで「25」、「26」、「28」と好調だった。
今ひとつだった最終日でも、終盤の17番では10m以上の下りのパーパットを沈めた。その瞬間、ウッズが首位と1打差に迫ったこともあって、コース中に大歓声が響き渡った。
数年前に復帰した際には、チップショットに関しては「イップス」と囁かれるほど苦戦していたウッズ。しかしそれも、腰の痛みが原因だったという。ウッズが当時を振り返る。
「(腰の)痛みを最も感じないのは、ドライバーショット。腰をかがめなければいけないチップ、パットが最も大変なプレーだった」
また、昨年4度目の手術を受けたあと、リハビリ中に行なってきたショートゲームの練習が「今、生きている」と、親友のノタ・ビゲイ(アメリカ)が明かす。ビゲイによれば、ウッズが暮らすフロリダ州ジュピターアイランドの豪邸には、裏庭に4つのグリーンがあるそうだ。
「タイガーのチップ、パットのフィーリングが戻ったのは、とにかく毎日、あの(裏庭にある4つの)グリーンでボールを打ち続けていたからだ」
さらにビゲイが言うには、その4つのグリーンのうち、ひとつは今週のアーノルド・パーマー招待(3月15日~18日/フロリダ州)が開催されるベイヒル・クラブ&ロッジと同じコンディションに保たれているという。
しかも、そのグリーンを管理しているのは、「マスターズ・トーナメントが開催されるオーガスタ・ナショナルGCの元管理スタッフのひとりだ」とビゲイ。ついでながら、過去にウッズはパーマー招待で8度、マスターズでは4度の優勝を遂げている。
復調著しいタイガー・ウッズ。右は負傷から復帰した松山英樹
「体は十分に戦える状態になった。今週の戦いが本当に楽しみだ」とウッズ。3月15日に開幕したパーマー招待の予選ラウンドでは、左手のケガから今回復帰する松山英樹と同組でラウンドした。
日本のファンも注目するふたりの、”完全復活”を印象づける活躍を大いに期待したい。