長﨑美柚 Photo:Itaru Chiba


 チームジャパンを挙げての総力戦「世界卓球2018スウェーデン(団体戦)」<4月29〜5月6日/ハルムスタッド>の代表メンバーが3月10日に発表された。注目の顔ぶれは男女とも世界ランクをほぼ反映した大方の予想どおりとなったが、女子は15歳の中学3年生・長﨑美柚(JOCエリートアカデミー)がシニアでは初代表入りを果たしている。




長﨑とは、どんな選手なのだろうか?

水谷隼(木下グループ)、石川佳純(全農)の男女両エースの活躍とともに、10代の若い選手が次々に飛躍を遂げる日本の卓球界にあって、最近頭角を現してきたのが長﨑だ。2002年生まれの15歳で平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)や伊藤美誠(スターツSC)、早田ひな(日本生命)らの2歳下にあたる。平野と張本智和らとは同じJOCエリートアカデミーの所属で、全寮生活をしながら日夜、卓球に励んでいる。

 小柄な女子選手が多い日本では珍しく身長は160cmを超え手足も長い。この恵まれた体格を生かし、威力のある両ハンドドライブを武器にするとともに、中学生とは思えない高い技術も持ちあわせるサウスポーだ。この長﨑の才能について、日本卓球協会強化本部長でありJOCエリートアカデミー総監督の宮﨑義仁氏は代表選手発表の記者会見でこう説明している。

「現在の日本の女子選手の中で一番ボールに威力があり、チキータなどの最新技術も身につけている。またフィジカルも強く速いボールが打てる。中学生でありながら今年1月の全日本選手権ジュニアの部(高校生までが出場対象)で優勝し、昨年12月の世界ジュニア選手権では2016年大会のチャンピオンである中国の石洵瑶を倒すなど、近年の成長著しい日本人離れした選手」

長﨑美柚 Photo:Itaru Chiba


 会見当日はITTFワールドツアーのカタールオープンが開かれている最中でもあり、長﨑もこれに出場。女子シングルスの予選ラウンドで世界ランク22位のサマラ(ルーマニア)、決勝トーナメント初戦で同19位の森さくらといった格上の選手に勝利し、さらに2回戦で対戦した石川佳純にもゲームカウント2-4で負けたものの善戦した。

 こうした好成績を日本代表女子の馬場美香監督も評価しているとのことで、先の宮﨑氏は「17歳の『みうみまひな』トリオの次の世代を引っ張る選手になるのではないかという大きな期待を込めて推薦したい」と馬場監督の意向も会見の席で伝えた。



 ちなみに長﨑は日本卓球協会による推薦によって代表入りしており、女子では早田ひな、男子では松平健太と大島祐哉がやはり協会推薦での代表入りとなっている。

 海外でも評価が高く、日本卓球会の新世代として注目される長﨑。自身初となる世界卓球の大舞台で出番が回ってきた時、どんな戦いぶりを見せてくれるのか。日本の卓球ファンにとってはまた一つ楽しみが増えたと言えるだろう。


<男子代表選手> ※WR=世界ランク。3月最新の順位
丹羽孝希(スヴェンソン)WR7
松平健太(木下グループ)WR10
張本智和(JOCエリートアカデミー)WR12
水谷隼(木下グループ)WR14
大島祐哉(木下グループ)WR27

<女子代表選手>
石川佳純(全農)WR3
伊藤美誠(スターツSC)WR5
平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)WR6
早田ひな(日本生命)WR12
長﨑美柚(JOCエリートアカデミー)WR128

(文=高樹ミナ)