プロ入団4年目、オリックスの宗佑磨(むね・ゆうま)がいよいよ本格化し始めた。3月3日のDeNAとのオープン戦で「1…
プロ入団4年目、オリックスの宗佑磨(むね・ゆうま)がいよいよ本格化し始めた。3月3日のDeNAとのオープン戦で「1番・センター」で出場すると、初回にバリオスから先頭打者本塁打。翌日も初回に、今度は快足を飛ばして先頭打者ランニング本塁打を記録。さらに3月9日の巨人戦でも野上亮磨から特大の一発を放った。福良淳一監督からも「1番として長打もあって、相手は嫌じゃないですか」と大きな期待を寄せられている。

キャンプ中にショートから外野手にコンバートされたオリックスの宗佑磨
昨年、ウエスタンリーグで宗のプレーを見た。9月中旬、阪神との試合だった。この試合で宗は5番を打ち、一軍経験豊富な左腕・岩貞祐太、期待の本格派右腕の才木浩人から3安打を放ってみせた。
とにかく、走攻守においてスピードがハンパない。外野の間を抜ければ迷わず三塁を陥れるし、多少詰まった当たりでもヒットにしてしまう。
昨年ファームで104試合に出場して、シーズン107安打を放ち、打率.279はベストテン6位。まだまだ課題も多いが、ようやくひとつの壁を乗り越えたなと思った。
宗は中学時代、学校の軟式野球部に所属していた。それほど追い込んだ練習もしないままに野球強豪校の横浜隼人に進学。熾烈な練習に体が追いついていかず、ヒザや腰のケガを何度か繰り返していた。横浜隼人の水谷哲也監督はいつもそこだけを気にかけていた。
「野球に対する感性と身体能力についてはまったく心配していません。桐光学園時代の松井裕樹(現・楽天)のストレートとスライダーの両方をヒットにしたのは、神奈川では宗だけですから。心配なのはケガだけでした」
そして昨年、大きなケガもなくファームながら1年間をまっとうした。終盤の9月には一軍に上がり、プロ初安打も記録。ようやく才能が開花し始めた。
だが、宗の守っていたショートのポジションは堅実無比な安達了一を筆頭にライバルがひしめき合っている。いくらファームで好成績を残したとしても、すぐに抜擢されるほどプロの世界は甘くない。チーム関係者は次のように語っていた。
「たとえばファームだったら、2年続けて立派な成績を残して、そこでようやく少しだけ信用する程度。それがプロってものです。ただ、宗の身体能力の高さは誰もが認めるところ。ポジションによっては、チャンスがあるかもしれません」
その言葉通り、今春のキャンプ終盤に宗はショートから外野へのコンバートを打診された。これまで経験したことのない外野挑戦に戸惑いもあったが、「前向きにやるしかない」と決意。そして冒頭でも触れた通り、オープン戦で結果を残している。
教え子のプロでの台頭に、水谷監督のトーンも上がる。
「宗は、横浜高校から日本ハムに入った高濱祐仁(ゆうと)、淺間大基と同期なんです。高校時代は技術もネームバリューも彼らの方が上だったかもしれませんが、身体能力は宗の方が間違いなく上でした。もしかしたら野球に対する感性だって負けていなかったかもしれない」
そしてこんな話を聞かせてくれた。
「あとは努力次第です。プロは天才集団ですから、運と努力で差をつけるしかない。宗は今年4年目ですから、来年は大学に進んだ同期がプロに入ってくる。(ドラフトで)指名される選手よりももっと”上”になってないと、この4年間、宗は努力しなかったことになる。そういう内容のメールを……長い長いメールですよ。ちょっと前に、宗に送ったんですよ」
その”力作”の返信は、いかにも宗らしかった。
「<は~い、がんばりま~す>って、これだけですよ。あれだけ時間をかけて、思いを込めて、長いメールを送って……それだけですから(笑)」
恩師を呆れさせ、大笑いさせたが、今度はプレーで大喜びをさせる番だ。外野手コンバートというチャンスをものにして、不動のレギュラーとなれるのか。宗佑磨にとって本当の意味での”勝負の年”がいよいよ始まる。