オープン戦での活躍が日々報道され、ますます注目度が高まっているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。ちまたでは早…

 オープン戦での活躍が日々報道され、ますます注目度が高まっているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。ちまたでは早くも「今シーズンの新人王最有力」という声も聞こえてきます。そこで今回は、今シーズンの新人王レースで大谷選手のライバルとして名乗りを挙げてきそうなア・リーグのルーキーを紹介しましょう。



スプリングトレーニングに参加中の大谷翔平

 まず紹介したいのは、ニューヨーク・ヤンキースのグレイバー・トーレス(21歳/右投右打)です。ベネズエラ出身の内野手で、2013年に当時16歳でシカゴ・カブスに入団。その後、マイナーで順調に結果を残していきましたが、2016年7月に「世界最速の男」アロルディス・チャップマンとのトレードでヤンキースに移籍しました。

 トーレスが一躍脚光を浴びたのは、その年に行なわれたアリゾナ秋季リーグです。「メジャーリーグの登竜門」と言われる舞台でヒットを打ちまくり、打率.403で首位打者を獲得。さらに当時史上最年少の19歳でMVPまでも獲得し、イチオシの若手有望株として話題となりました。

 当時ヤンキースを率いていたジョー・ジラルディ監督はトーレスのバッティングを見て、2012年にア・リーグ三冠王に輝いたミゲル・カブレラ(現デトロイト・タイガース)と比較したほど、その潜在能力に驚いたと言われています。ジラルディがフロリダ(現マイアミ)・マーリンズを率いたときにカブレラはその中心選手だったので、同じベネズエラ出身のトーレスに重なるものがあったのでしょう。

 しかしながら2017年6月17日、トーレスはマイナーの試合でホームにスライディングした際、左ひじのじん帯断裂という重傷を負ってしまったのです。結果、残りシーズンは全休となり、ようやく今年になって現場復帰を果たしました。現在は順調に回復しており、ヤンキースのキャンプにも参加しています。

 ベネズエラといえば、幾多の名ショートが輩出したことで有名です。トーレスも本来は遊撃手なのですが、今年はオフにマーリンズへ移籍したスターリン・カストロに代わる二塁手として期待されています。いずれはショートで4番を打ったこともあるディディ・グレゴリウスからポジションを奪う可能性もあるのではないでしょうか。

 今年の開幕時はマイナーからのスタートかもしれません。ただ、パワーがあって広角に打てるシュアなバッティングはすでにメジャーでも通用するレベルなので、早々に昇格するでしょう。

 次に紹介したい選手は、シカゴ・ホワイトソックスのマイケル・コペック(21歳/右投右打)です。彼はテキサス出身の若き豪腕投手で、2014年にドラフト1巡目・全体33位でボストン・レッドソックスに入団しました。しかし2015年、薬物規定違反により50試合の出場停止処分を受けてしまいます。そして処分が明けた後の2016年12月、クリス・セールとのトレードでホワイトソックスに移籍しました。

 昨年はホワイトソックス傘下のダブルAとトリプルAで投げ、合計25試合に先発して9勝8敗・防御率2.88をマーク。そのなかで特筆すべきは、134イニング3分の1で172個もの三振を奪っている点でしょう。最大の武器である速球は最速105マイル(約168キロ)。これは2016年7月にチャップマンがマークした最速105.1マイル(約169キロ)に次ぐ世界2位の記録です。

 スカウティングレポートの数値による評価を見ると、その速球は大谷選手と同じ最高の80点。スライダーも大谷選手に並ぶ最上位の65点でした。コペックは大谷選手よりも2歳年下なので、将来がとても楽しみな逸材です。

 MLB公式サイトが選出した若手有望株ランキングによると、そのなかの右投手部門において1位は大谷選手、そして3位がコペックでした。ちなみに2位はヒューストロン・アストロズのフォレスト・ウィットリー(20歳/右投右打)、4位はタンパベイ・レイズのブレント・ハニーウェル(22歳/右投右打)。ただ、この両者はいずれもアクシデントによって、今シーズンの新人王レースに参加できそうにありません。

 ウィットリーは昨年世界一に輝いたアストロズの若手有望株ナンバー1で、将来のエース候補と目されている逸材です。しかし2月21日、ウィットリーは薬物規定違反で50試合の出場停止処分となってしまったのです。超有望株の違反ニュースは全米で大きな話題となりました。

 一方、ハニーウェルは昨年7月に行なわれた「若手の球宴」フューチャーズゲームでMVPを獲得。今シーズンは早々にメジャーデビューかと思われていましたが、キャンプの打撃練習に登板したときに右ひじを痛めてしまい、じん帯断裂と診断されました。トミー・ジョン手術を受けることになったので、残念ながら今シーズン中の復帰は不可能でしょう。

 そして話は戻りますが、3人目に紹介したい大谷選手のライバルはテキサス・レンジャーズのウィリー・カルフーン(23歳/右投左打)です。カリフォルニア出身の外野手で、2015年にドラフト4巡目・全体132位でロサンゼルス・ドジャースに入団しました。

 ご存知のように、ドジャースといえば新人王を次々と生み出してきたチームです。1990年代に野茂英雄氏を含む5年連続で新人王を出し、2016年はコーリー・シーガー、そして2017年はコディ・ベリンジャーが受賞。カルフーンも期待の若手として入団しました。

 しかしながら昨年7月、ダルビッシュ有投手との交換トレードによってレンジャーズへ移籍。そして9月、メジャー初昇格を果たして13試合に出場し、打率.265・1本塁打・4打点という成績でシーズンを終えました。

 カルフーンの特徴は、パワーがありつつも三振が少ない点です。昨年はマイナーで128試合に出場して合計31本塁打を記録したのですが、一方で三振の数は61個。確実性を兼ね備えたスラッガーなのです。

 また、カルフーンは見た目も特徴的です。身長173cmと小柄ながら、がっしりとした体格で実に個性的。ユニフォームも昔風にダブダブに着こなすので、アメリカでは「まるでベーブ・ルースのような見た目だ」と言われています。

 今シーズンは開幕からレフトのレギュラー候補と期待されているので、同じア・リーグ西地区の大谷選手と対決するシーンも多く見られることでしょう。はたして今シーズン、ア・リーグの新人王は誰が受賞するのでしょうか。