「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(東京都・有明コロシアム・有明テニスの森公園コート/5月23~28日/ハードコート)の大会最終日は、男子1部・2部、女子の順位決定トーナメントが行われた。 男子…

 「BNPパリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(東京都・有明コロシアム・有明テニスの森公園コート/5月23~28日/ハードコート)の大会最終日は、男子1部・2部、女子の順位決定トーナメントが行われた。

 男子1部の決勝は、優勝候補筆頭のフランスが日本を2勝0敗で下し、評判どおりの力を見せつけて2年ぶり7度目の優勝を果たした。

 フランスは、大会を通して1試合も落とさぬ完璧なシングルス陣が決勝でも実力を発揮。2012年から14年まで大会3連覇を果たした強豪国が、ふたたび世界一の称号を奪還した。

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 10時30分からセンターコートの有明コロシアムで行われた男子1部決勝。まずはシングルス2に、フランスのニコラ・ペイファー(世界ランク3位)と眞田卓(フリー/9位)が登場した。

 今大会、日本の2番手を務めてきた眞田は、第1セット0-2からの第3ゲームでペイファーのサービスゲームをブレークするも、そこから4ゲームを奪われて第1セットを1-6で落とす。

眞田卓

 続く第2セットの最初のサービスゲームも落とした眞田は、早々にペイファーにリードを許すが、第2ゲームでペイファーのサービスを3本のリターンエースで攻め立て、ブレークバックに成功した。ここから、眞田自身の持ち味であるストロークが随所に見られるようになるかと思われたが、相手は世界3位の実力者。それほど甘くはなかった。

 ペイファーのコート深くに打ち込んでくるボールに、眞田は最後まで苦しめられた。第2セット1-1から5ゲームを連取され、結局、ペイファーに1-6 1-6の完敗。日本はフランスに王手をかけられる。

ニコラ・ペイファー

 大会開幕から注目を集めた国枝慎吾(ユニクロ/5位)とフランスのステファン・ウッデ(1位)の一戦が、この決勝の第2試合で実現した。

 しかし、1月の全豪オープンを最後に公式戦から離れていた国枝にとって、現世界王者を倒すのは簡単ではない。それだけ、ウッデは強かった。

 第1セット3-3の第7ゲーム、国枝はフォアハンドのエースを炸裂させ、ウッデのサービスゲームを破ることに成功、4-3とリードした。続く第8ゲームも国枝がゲームを支配したかに見えたが、ショットのコントロールに安定感はなく、ウッデに挽回の機会を与えてしまい、キープできずに4-4と並ばれた。国枝は第10ゲームでもウッデにブレークを許して、第1セットを4-6で落とした。

国枝慎吾

 第2セット以降も勝利のチャンスを伺った国枝だが、次第にストロークのテンポを上げていくウッデに防戦一方となり、最後は2-6で敗戦。これでフランスが2勝目を挙げて、2年ぶり7回目の世界一が決定した。

 ウッデは試合後、国枝の手術後のコンディション不足を残念としながらも、「素晴らしい戦いができてうれしい」と語った。そして、観客に向けて、「いいプレーに対して、相手選手にも拍手を送ってくれる。テニス熱もあり、とても感動した。2020年の東京パラリンピックでも戻ってきたい」と語った。

ステファン・ウッデ

 国枝は4月に受けた右肘の手術から復帰した今大会、単複合わせて6試合をこなしてきたが、ウッデを倒すには時間が足りなかった。「この借りは来週から始まる全仏オープンで返したい」と、国枝はウッデへの闘志を燃やした。

 今大会の日本チームは男子、女子、クアード、ジュニアの部に出場し、そのすべてで優勝を逃した。しかし、最終日には約3500人もの観客が有明コロシアムに詰めかけ、会場は大いに盛り上がった。その中で車いすテニスの試合が行われたということは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて意義のある大会だったと言えるだろう。

(テニスマガジン/ライター◎酒井朋子、構成◎編集部)