予想もしない事態だった。期待以上の対応力を見せた。
 サンウルブズのFW第3列、徳永が3月3日の今季第2戦、レベルズとの試合でWTBのポジションに入った。

 前半9分にCTBラファエレ ティモシー。同14分にSOヘイデン・パーカー。BKの選手たちが、相次いで脳震とうでグラウンドを去った。
 さらに同20分だった。今度はWTB山田章仁が同じように頭部に衝撃を受け、ピッチの外へ運び出された。
 この日ベンチスタートとなった8人のうち、BKは田中史朗(SH)ら3人。すでに立川理道はSOに入り、野口竜司もWTBを任されていたから、山田の代わりに投入されたのが徳永祥尭(とくなが・よしたか)だった。不慣れなポジションながら、60分に渡って責任を果たした。

 試合後の会見でジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが、「不慣れなポジションながらよくやってくれた。アウトサイドで、その力強さが生きたところもあった」と評価したそのパフォーマンス。攻守両面、そしてキック処理に走り回った。
「ちゃんとした試合では(WTBでプレーするのは)初めて」
 試合を終えてそう話し、ピッチ上の体感を振り返った。
「WTBは花形でいいポジションだな、と思っていたのですが、本当にしんどいポジションでした。きつかった」
 キックカバー。アウトサイドに走られたときの追い方などなど。「FWでは分からない部分に触れられた」と言った。

 試合中は周囲に助けられた。
「ロビー(FBロビンソン)、(CTB中村)亮土さん、ハルさん(SO立川)に教えてもらいながらプレーしました」
 ベンチともコミュニケーションをとりながら動いた。
 そんな状況だったから、正直、自ら勝負を仕掛ける余裕はなかった。「前半は持ち味出すより、穴にならないように、と。そんな意識でした」と明かした。

 それでも最低限の責任は果たせたから、チームも前半は10-10と踏ん張れた。
 NO8としてキックに備え、下がってプレーすることもある。その感覚でキック処理をした。
 セブンズ代表時、世界を相手に間を詰めたり、キックへの戻りを忠実にこなした。
「それらの経験が活かせたと思います」
 試合には17-37と完敗したが、個人としては、新たに経験値を高められた試合だった。
 アクシデントがない限り、ふたたびWTBでプレーすることはないだろう。しかし、いつもと違う光景の中でプレーしたことは財産になる。

 怪我人とセットプレーの乱れを敗因に挙げた徳永は、「それだけでなく、簡単なミスもあって、それでプレーが途切れることが多かった試合。それではファンの人たちもがっかりすると思う。だからこの先は、もし得点にならないにしても、自分たちのアタッキングをやれるようにしたい」と、まだまだ続くシーズンに目を向けた。
 チームは次の相手であるシャークスと戦うため、3月4日、南アフリカへ向けて旅立つ。
「この先、少しでも多くの試合に出たいですね。自分にとっては、それが2019年(のワールドカップ)にもつながっていると思うので」
 すべてのプレータイムを自身の血肉とする意識は高い。