強豪国のラグビー協会にとって、ビッグマネーをちらつかせる海外クラブに対抗して自国のスターを手放さないようにするのは難しい仕事に違いない。特にラグビー王国のニュージーランドはターゲットにされ、新たな挑戦を求めるオールブラックス(同国代表)の…

 強豪国のラグビー協会にとって、ビッグマネーをちらつかせる海外クラブに対抗して自国のスターを手放さないようにするのは難しい仕事に違いない。特にラグビー王国のニュージーランドはターゲットにされ、新たな挑戦を求めるオールブラックス(同国代表)のベテランだけでなく、将来を嘱望される才能豊かな若い選手たちも北半球のリッチなクラブとサインを交わすことが珍しくなくなってきた。

 そこでニュージーランドラグビー協会は苦肉の策として、いくつかの海外クラブと協力関係を結び、オールブラックスやそれに次ぐような選手たちを完全移籍させるのではなく短期間預ける、という案を考えた。

 そして、ニュージーランドラグビー協会は3月2日、ロンドンを拠点とするプレミアシップ(イングランド最高峰リーグ)クラブのハーレクインズと協力協定を締結したと発表した。戦略的に、フィールド上と舞台裏でハーレクインズと連携することとなり、ニュージーランド協会は同国出身者の大規模なコミュニティがあるロンドンで商業的機会として活用するだけでなく、「プレイングとコーチングのリソースに協力」ということで選手の交換留学、期間限定移籍を可能にする。もちろん、ハーレクインズの選手がニュージーランド国内大会やスーパーラグビーでプレーすることも考えられる。

 ニュージーランドラグビー協会は海外を拠点とする選手をオールブラックスには選出しないため、かつて、ダン・カーターやマア・ノヌーといった世界的スーパースターたちは、サバティカルという特別に用意された休暇制度を利用して海外クラブで一定期間プレーしたことがある。

 ニュージーランドラグビー協会のスティーブ・チューCEOは今回の合意について、「これはニュージーランドラグビーにとって新しい領域であり、このユニークな関係は世界中でいくつかの有益なつながりを持つきっかけとなるだろう」とコメントした。