出番が回ってきた。

「理由が何にしろ、自分が与えられた出番をものにしたいです。ジェイミー(・ジョセフ ヘッドコーチ)も言っていましたが、ここにもただのパット持ち(練習台)としてではなく、能力をわかったうえで呼んでくれている。期待に応えられるように頑張りたいです」

 サンウルブズの徳永祥尭は3月3日、東京・秩父宮ラグビー場での国際リーグのスーパーラグビー第3節で今季初のベンチ入りを果たす。チームにとっての初戦だったブランビーズとの第2節で、FLの姫野和樹が故障。おもにFL、NO8などをこなす徳永は、ぽっかりと空いた穴を埋めるべく抜擢された格好でもある。

 もちろん、サンウルブズのジャージィを着ることには変わらない。次なる相手のレベルズを見据え、こうも続ける。

「チームメイトに聞く限り、ブランビーズよりもいいんじゃないかという話もあるくらいです。勢いに乗らせないようにして、こちらはスピードと遂行力を持ってアタックしていく」

 身長185センチ、体重102キロの25歳。関西学院大を経て2015年に東芝入りし、接点での激しいプレーとランニング時のボディバランスなどを長所に活躍してきた。2016年には男子7人制日本代表としてリオデジャネイロオリンピックに出場し、15人制への専念を表明してからは同日本代表で8キャップを獲得。今年が発足3季目となるサンウルブズへは昨季初参画し、公式戦6試合に出場した。
 
 国内所属先の東芝では2017-18シーズン、不動の定位置をつかめなかった。それでも日本代表とサンウルブズを率いるジョセフには「彼にはポテンシャルがあります。いいスキル、能力、個性を持っている」と評価される。

 いったい何が、ボスの心をつかんでいるのか。当の本人は「器用貧乏、ではないですが、何でもこなせること」とその理由を見る。

 ジョセフの唱える戦術上、各ポジションの攻撃時の立ち位置や役割は異なる。しかし徳永は、それら個別の役割のうち複数を難なくこなせるのだ。昨年11月25日(現地時間)に出場した日本代表のフランス代表戦でも、リザーブから登場してブラインドサイドFL、LOなどの時間帯ごとに異なるポジションを埋めた(ナンテール・Uアリーナ/△23-23)。

「全体的なレベルはまだまだ皆に足りないし、クリアしなくてはいけない部分もあります」

 マイナーチェンジを重ねる日本代表の攻撃戦術にあって、徳永が熱視線を送るのは現在のNO8の役割だ。
 
 日本代表およびサンウルブズでは昨秋から、NO8はグラウンド中央で他のFWにはない動きを要求されるようになった。PRやLOの選手が複数人によるユニットを作ってパスを呼ぶのに対し、NO8は時に攻防の境界線へ鋭角に駆け込む。勢いよく走ってボールを受け取ったり、その背後に立つ味方のために敵をひきつけたり…。

「今回はFL、NO8のリザーブになると思いますが、NO8に入れば、この新しい役割を遂行したい。慣れ、不慣れはありますが、自分の練習の映像を見返しながら復習しています」

 HOにもNO8と同種の動きが課されるとあって、徳永は、HOの堀江翔太の動きなどを参考にしているという。

「前のギャップ(防御の隙間)を見て、そこに走り込まなくてはいけない。スペースに走り込んだ後は(構造上、周りに援護が少ない場合が多いため)孤立するんです。だから、そこ(タックラーに捕まった場所)で立っておかないといけない。そこでのボールの活かし方、身体の使い方がうまくないといけない。そういう部分では、堀江さんから学ぶことがある。堀江さんは、うまく(タックラーの芯から)ずらして(コンタクトして)立っておける。ゲームの流れも理解していて、チームに勢いがある時とそうでない時でランニングコースが違ったりしていて、深いな…と」

 日本代表のFW第3列は、リーチ マイケル主将ら海外出身選手がひしめく激戦区だ。さらに昨季は、帝京大卒のルーキーとしてトヨタ自動車の主将を務めた姫野が台頭。徳永は厳しい立場に置かれるが、周りに流されずに自己研鑽を積む。能力を示す。(文:向 風見也)