山田章仁が、2シーズンぶりにサンウルブズのジャージィをまとう。

 3月3日、東京・秩父宮ラグビー場。国際リーグのスーパーラグビーは第3節を迎え、日本から参戦3シーズン目のサンウルブズはレベルズとぶつかる。初年度以来の参戦となる山田は今季チーム2戦目にして初先発する。

 対するレベルズには、2015年に在籍したウェスタン・フォースからの移籍組が多く並ぶ。当時出場機会のなかった山田は「試合でインパクトを残して、思い出してもらえるように」。2日、会場での前日練習後にテレビカメラの前に立つ。意気込みを明かす。

「会場が沸くようなプレーはしたい。それはチームも盛り上げられて、試合の流れも引き寄せられるプレーにもなると思うので」

 これまで日本代表23キャップ取得の32歳だが、立場は安泰とは言えなかった。
 
 ブランビーズとの第2節で今季のスタートを切った2月24日は、秩父宮のスタンドにいた(●25-32)。WTBの定位置をレメキ ロマノ ラヴァ、ホセア・サウマキに譲り、直前練習でも控えチームで過ごした。

 折しも24日は、企画チケットの特典として自身の顔写真が載ったジャージィが配布される日だった。営業的側面でも出場が大きく期待されたなかでの、メンバー落選。プロ選手として口惜しさを覚える瞬間だったのではないか。

 違った。

「直接、(そのジャージィを着ているファンを)見られてよかったです。ちゃんと、お顔も見られましたし。試合に出ちゃうとなかなか見られないのですが」

 こう話したのは、ブランビーズ戦から3日後のことだった。とにかく、他者が思い描く仮説と絶妙な距離を置くのがこの人の流儀だった。

 その傾向は、個人タイトルについての意見を聞かれた時にも明らかとなる。

 山田は前年の国内トップリーグでのトライ王だったためか、ファンやメディアはスーパーラグビーでの個人タイトル取得、およびそれを目指しているかのような発言を心待ちにする。しかし当の本人は、「自分からトライ王を獲りに行くと言うことはないです」と一貫している。大目標を掲げて迎えたシーズンが低調に終わった経験などを踏まえ、慎重な態度を貫く。

 第三者がイメージする成功事例を安易に肯定しないことで、自らの手で真の成功をつかみたい。その第一歩が、レベルズ戦のファーストプレーとなる。(文:向 風見也)