南アフリカラグビー協会は3月1日、同国代表“スプリングボックス”の新ヘッドコーチにヨハン“ラシー”・エラスマス(45歳)が就任すると公式に発表した。これまで務めてきたディレクター・オブ・ラグビーの仕事も兼任する。
 約6年の長期契約を結び、2023年のワールドカップが終わるまでスプリングボックスを率いることとなった。

 2015年のワールドカップ後から指揮を執ってきたアリスター・クッツェーは先月、成績不振により契約途中で解任され、昨年末から南ア協会のディレクター・オブ・ラグビーとなっていたエラスマスが新ヘッドコーチに就任するのは既定路線だった。

 エラスマスは2月上旬、ロンドンへ飛んでシックスネーションズのイングランド代表×ウェールズ代表戦をチェックし、ヨーロッパを拠点としている複数の南ア代表選手たちとも面談したといわれている。同月中旬には来日して2019年ワールドカップの試合会場やトレーニング施設などを視察していた。

 すでにスーパーラグビーの南ア勢各チームの指揮官とも会い、彼らのプランを聞いて、自分のプランも伝えているという。ライオンズのスワイス・デブライン ヘッドコーチは、タックル、ラインアウトなどトップクラスの運動量がありスピードも兼ね備えるLOフランコ・モスタートについて、フランカーへの転向をエラスマスと話し合ったことを認めている。

 エラスマスは選手時代、主にフランカーとして南アフリカ代表で36キャップを獲得し、スーパーラグビーではフリーステート(チーターズ)やキャッツ(ライオンズ、チーターズなどが合体したスーパークラブ)でも活躍した人気選手だった。
 2004年から指導者としてのキャリアをスタートさせ、チーターズのヘッドコーチ時代には国内最高峰大会のカリーカップで連覇を達成、ストーマーズでも采配を振った。ビデオ分析などにも熱心で、国内屈指の理論派として知られ、スプリングボックスでも2007年にテクニカルアドバイザーを、2011年のワールドカップ時はテクニカルスペシャリストを務めている。2012年から2016年にかけては南ア協会のゼネラルマネージャー。2016年からマンスター(アイルランド)でディレクター・オブ・ラグビーとヘッドコーチを兼任し、プロ12(現 プロ14)でリーグ1位通過、プレーオフ決勝に導くなど手腕を発揮して2016-17シーズンのプロ12最優秀コーチにも選ばれたが、昨年12月、スプリングボックスのディレクター・オブ・ラグビーに就任するためマンスターを退団していた。

 南アフリカ代表として127キャップを重ね主将も務めたレジェンド、ヴィクター・マットフィールドは、「技術的に、ラシー・エラスマスより優れたコーチは南アフリカにはいない。彼は世界で最もすばらしい指導者のひとりだ」と語っている。また、コーネ・クリカ元主将も、かつてチームメイトだったエラスマスについて、豊富な知識とスキルがあると敬意を払い、「彼は信じられないほどのラグビー脳を持つ抜け目のないコーチであり、指導してきたどこのチームでも結果を出してきた。彼は南アラグビーのすべてを解決することはできないだろうが、スプリングボックスを良い方向へ導くと思う」と期待している。

 アシスタントコーチには、ディフェンスのスペシャリストで、マンスター時代を含めてエラスマスと一緒に10年以上も仕事をしてきたジャック・ニーナバーが就任。南ア出身のフランス代表プロップだったピーター・デヴィリアーズがスクラムコーチを任され、元セブンズ南ア代表のスターでU20南ア代表などを指導してきたムズワンディー・スティックがバックラインを担当する。3人とも、過去にスプリングボックスのコーチングスタッフとして経験がある。

 エラスマス新体制のスプリングボックスは、6月2日にアメリカの首都ワシントンDCで開催が予定されているウェールズ代表とのテストマッチが初陣となる。その後はホームで、イングランド代表とテストシリーズ3戦をおこなう。
 12年ぶりの栄冠獲得を狙う来年のワールドカップでは、ニュージーランド代表、イタリア代表、アフリカ地区予選1位チーム、敗者復活最終予選1位チームと一緒のプールBに入る。

 エラスマス新ヘッドコーチは、「スプリングボックスのコーチはたいへん大きな仕事であり、私は非常に恵まれている。我々は、物事を変え、来年のワールドカップで頂点を目指し真剣に挑戦するための選手とラグビーIP(知的財産)を持っていると信じている。ジャパン2019まで600日を切り、それまでに我々はテストマッチ18試合を計画している。ワールドカップに向けてすでに多くの準備が進んでいるが、6月にはウェールズ、イングランドとの試合があり、徹底的に準備することが非常に重要だ」とコメントした。