合格点のデビューだった。
 2月24日に秩父宮ラグビー場でおこなわれたサンウルブズ×ブランビーズ。その試合でサンウルブズの背番号12を与えられたのが中村亮土だった。

 2017-2018年シーズンの国内シーンを制し、2年連続で頂点に立ったサントリー。その中で、クライマックスに近づくにつれ入社4年目のインサイドCTBは充実したパフォーマンスを見せた。
 その男が、サンウルブズの開幕戦でも12番を背負う評価を受けてピッチに立った。4週間に渡るキャンプでも、心身ともに充実している現状を周囲に感じさせた結果だった。

 快調な立ち上がりで前半をリードしたものの、25-32と敗れたブランビーズ戦。中村はディフェンスで先頭に立って飛び出し、アタックでもボールを前に運んだ。
「ゲームは悔しい結果に終わりましたが、(交代するまでの)60分、楽しんでプレーできました。準備してきたことをやっただけ。それをゲームの中でいかせた」

 特に序盤、サンウルブズのペースを作り出せた。
「ボールをスペースに運ぶのが自分たちのスタイル。ワイドワイドに散らして、相手の足を動かし続けたのがよかった。全員で同じ考えを持ってプレーするのが大事。攻守にコミュニケーションがとれていた」
 狼らしく戦った時間帯を、そう分析する。

 組織の中で光も放てた。
防御時、まっ先に飛び出して前進をはかる相手を仕留めた。
「チームがやる(防御の)中での自分の役割があれ、です。だから、僕のタックルでもあるけど、チームのタックル。 責任を果たすだけでした」
 アタックではゲインラインを勝ち取る役目だった。
「そこに集中しました。それに加え、ゲームコントロールを10番と一緒にやることも自分の役割。空いているスペースを見ながら、そこへボールを運ぶ」

 最近の振る舞いには自信が感じられる。
その理由については「いい準備をしてきました。自分に合った準備ができていると思います。積み重ねてきたものが、自分のプレーに結果として表れているので手応えはあります」と話した。

 言葉や態度から内面の充実が感じられる。
 試合前日のやりとりでも、こんなことがあった。
ブランビーズのコーチには、サントリーで指導していたピーター・ヒューワットがいる。そのため、日本の情報はあちらに多く伝わっているのではないか。報道陣が、そう言ったときだった。
「ヒューイの考えもこちらにダダ漏れですよ。プレシーズンマッチ(の映像)も見て、やって来ることは把握できています。僕らは低さと速さで勝負。そこを活かす。フィットネスとスピードでは負けません」

 どこのチームもやっていないトレーニングを4週間のキャンプでやってきた自信がある。練習の質にも量にも胸を張れる。その中で積極的に声を出し、リードしてつかんだ開幕先発の座。現在の勢いをさらに高め、BKのフロントラインに立ち続けたい。
 妻・恭子さんとの間に、1歳になる愛娘・美藍(みらん)ちゃんがいる。家族の存在は責任感を刺激し、それも背中を押してくれるパワーのひとつだ。
「娘と一緒にいるとすごく癒されます。そういう時間を持つことで、オンとオフをしっかり分けられる。家族の支えは大きい。そう感じています」
 今季2試合目のレベルズ戦は3月3日(土)。ピッチに立って活躍し、愛娘のひな祭りを祝いたい。