エディンバラのマレーフィールドで行われたカルカッタ・カップ(シックネーションズのスコットランド対イングランド戦と、その勝者に与えられるトロフィー)は、スコットランドが10年ぶりにイングランドを25-13で破る番狂わせを起こした。 この結果…

 エディンバラのマレーフィールドで行われたカルカッタ・カップ(シックネーションズのスコットランド対イングランド戦と、その勝者に与えられるトロフィー)は、スコットランドが10年ぶりにイングランドを25-13で破る番狂わせを起こした。
 この結果、同節でウエールズを下したアイルランドが唯一全勝を守り単独首位、1敗で並ぶイングランドとスコットランドは、ボーナスポイントの差でイングランドが2位に付ける結果となっている。

 試合は、立ち上がりからイングランドが猛攻を見せた。幾度となくスコットランド陣に攻め入る。しかし、度重なるターンオーバーと反則で、トライに結びつけることができなかった。
 この試合最初のトライは16分に生まれた。スコットランドのグレイグ・レイドロー(SH)と、イングランドのオーウェン・ファレル(CTB)がともにPGで得点した後だった。スコットランドのフィン・ラッセル(SO)がイングランド陣内で、ディフェンスの裏にグラバーキックを転がし、ヒュー・ジョーンズ(CTB)が上手く拾ってトライ。ゴールも決まり、10-3とリードした。

 その後もスコットランドは、イングランドBKのディフェンスを再三に渡り切り裂いた。32分にはショーン・マイトランド(WTB)、38分にはジョーンズがこの日2つ目のトライを挙げる。22-6とリードを広げて、前半を終了した。
 大方の予想を裏切る形で前半を大きなリードで折り返すスコットランドのジョン・バークレー主将(FL)は、ハーフタイムに「前半の勢いを保ちながらも、後半はキックを交えてバランスよく戦おうと話した」と試合後に振り返った。

 後半に入ると、ハーフタイムでエディー・ジョーンズ監督にゲキを飛ばされたか、イングランドは早速猛攻を見せた。43分に魅せたのはファレルだ。スコットランド陣22メートルライン付近で、ミスマッチを突く。ディフェンラインに並ぶFWの間を見事に抜け、そのままトライまで持っていき、22-13と反撃を開始した。
 その後もイングランドは、果敢な展開から再三に渡りスコットランド陣に侵入した。しかし、チャンスの場面でのブレークダウンで反則やミスを繰り返し、得点に結びつけることができない。さらに65分には途中出場のサム・アンダーヒル(FL)が、ノーバインドのタックルでイエローカードを受け、反撃の勢いを削いでしまう。このPGをラッセルが決め(62分)、25-13とリードを広げた(それまでのキッカー、SHレイドローはアリー・プライス)。

 終盤に必死の攻撃を見せたイングランドだが、この日トータルで13を数え、特にチャンスでのラックで目立った反則は最後まで改善されなかった。そのままノーサイド。ホームでの大観衆を前に宿敵イングランドを倒したスコットランドは、歓喜の雄叫びを挙げた。
 スコットランドのグレガー・タウンゼント監督は、「この試合がどれほど大きな意味を持つかは、皆よく分かっていた。選手たちはプライドを持って、素晴らしい強度と正確性でプレーする事ができた」と振り返った。
 一方で、この試合で就任以来2度目の敗戦を喫したイングランドのエディー・ジョーンズ監督は、「今日は前半の立ち上がりがよく無かったが、人間である以上こういう時もある。スコットランドは素晴らしいプレーを見せた。なぜこんなにもペナルティを取られたかについては、じっくりと分析する必要がある。このゲームからは、多くの事を学んだ」と口惜しさを滲ませた。

 本命とされたイングランドが敗れ、全勝のアイルランドを、1敗のイングランドとスコットランドが追う展開となった、今年のシックスネーションズ。
 残りの2試合で、どのようなドラマが待ち受けているのだろうか。(文/竹鼻智)