男女各12カ国で競う「チームワールドカップ2018」<2月22~25日/イギリス・ロンドン>が22日、大会初日を終えた。3チームずつ4グループによる第1ステージ(グループラウンド)を行った結果、日本代表チームは男女とも2試合全勝。グループ1位通過で23日の決勝トーナメント準々決勝に駒を進めた。


対戦相手の心理作戦にはまり猛省の張本

 開幕前日、「調子のいい選手を出す」と馬場美香監督が話していた女子はエースの石川佳純(全農)、伊藤美誠(スターツSC)、早田ひな(日本生命)が試合に出場し、平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)は控えに回った。その結果、1本目のダブルスは「みまひな」こと伊藤/早田ペア、2本目のシングルスは石川、3本目は1試合目のアメリカ戦が伊藤、2試合目のエジプト戦が早田というオーダーで、いずれも3-0のストレート勝ちを収めた。

 これに対し男子は丹羽孝希(スヴェンソン)、張本智和(JOCエリートアカデミー)、大島祐哉(木下グループ)、上田仁(協和発酵キリン)の全員が試合に臨み、1試合目のエジプト戦はダブルスが丹羽/大島ペア、シングルスは張本と大島が出場してストレート勝ち。2試合目のイギリス戦はダブルスの丹羽/上田がフルゲーム(5ゲームマッチ)を制したものの、シングルスは張本がまさかのストレート負けで落とし、それを上田、丹羽のシングルがカバーして、地元開催のイギリスを3-1で下した。

張本智和 Photo:Itaru Chiba


 今大会が真の意味での日本代表団体戦デビューとなる張本は弱冠14歳にしてエース起用されているが、そのプレッシャーは想像に難くない。本人は「どの相手にも勝つつもりで臨んでいる」と気を吐くが、初戦で対戦したエジプトのアーサルには、のらりくらりとしたプレーにリズムを乱され、ゲームカウント2-0でリードしていたにもかかわらず、フルゲームに持ち込まれた。

 結果的には勝ったが、試合後は本人も猛省。「アーサル選手とは2回目の対戦で、実力は自分の方が明らかに上なのはわかっていたけど、やる気のないようなプレーにイライラしてしまった。やはり試合で大事なのは実力だけじゃない。次はしっかりメンタルをコントロールしたい」と反省を口にした。

 張本が指摘する相手選手の「やる気のないプレー」というのは、ヨーロッパの特にベテラン選手に時々見られる一種の心理作戦のようなもので、わざとやる気のないふりをして相手を油断させようとしたり、やたらとクレームをつけて揺さぶりをかけてきたりする。現在26歳のアーサルも張本に対しこの作戦に出てきたようで、ベンチで一部始終を見守っていた丹羽も、「いつもはもっと声を出して頑張る選手なのに、今日は出足から諦めているかのような試合ぶりだった。それだけ張本が強いということだと思う」と話していた。

張本智和 Photo:Itaru Chiba


「早く点を取りたい」と焦る気持ちが配球ミスに

 2試合目のイギリス戦は相手チームにとって地元開催であると同時に、日本とは「世界卓球クアラルンプール2016」(団体戦)のリベンジマッチの意味もあり燃えていた。当時、イギリスは準決勝で日本に敗れ銅メダルに甘んじた経緯がある。そのイギリスは体格を生かしたパワープレーで日本人選手を圧倒。エースの張本も中陣からフォアハンドの強打を浴びせてくる長身のピッチフォードにラリー戦で勝てず、ストレート負けを喫した。

 今や世界的に大きな注目を浴びマークされている張本だ。相手チームも万全の対策を敷いてきたのだろうが、張本も張本で第1ゲームをゲームポイントから逆転されて以降、得意のバックハンドやチキータレシーブからの攻撃が冴えず、昨年から磨きをかけ威力を増したフォアハンドの強打も鳴りをひそめた。



 試合後、「いい流れだった1ゲーム目を取れなかったのがダメだった。中陣で打ってくるやりづらい相手ではあったが自分の問題」とした張本は、敗因について「相手のフォアハンドに簡単にボールを集めすぎた。もっと冷静にバック側に打つべきだった。早く点を取りたいと焦る気持ちがあり、確実に入れられるクロスに打ってしまった」と配球ミスを悔いた。

 また張本の試合について、日本代表チームの倉嶋洋介監督は次のように話している。

「今日は張本の良くないところが出た。フルゲームに持ち込まれたエジプト戦もそうだったが、思い切って振り切ってくる相手に慌ててしまって、冷静に頭で考えながら対応できない。決勝トーナメントではそこを修正していきたい。ただ、それは織り込み済み。こういう大舞台で経験したことを反省して、少しずつ選手は強くなっていくもの。ポジティブに捉えたい」

 大会プログラムにも注目選手として、大きく見開きで記事が掲載されている超新星の張本だが、その一方で大会最年少の14歳であることも忘れてはならない。ただその分、吸収力の速さも大会随一かもしれない。さらなる激戦が待ち受ける決勝トーナメントでは初日の経験を糧に、持ち前の精神力と果敢なプレーで世界を圧倒してくれるはずだ。

(文=高樹ミナ)