V・ファーレン長崎が、初めてJ1の舞台に挑む。 昨シーズン、J2で2位という成績を残してJ1への自動昇格を決めた長…
V・ファーレン長崎が、初めてJ1の舞台に挑む。
昨シーズン、J2で2位という成績を残してJ1への自動昇格を決めた長崎。高木琢也監督のもと、これまで継続してきたことに一層の磨きをかけて、J1で戦う準備を着々と進めている。
その中で、際立った存在感を示しているのが、FC東京から移籍してきたDF徳永悠平である。34歳のベテランながら、アグレッシブな動きを見せて、早くも3バックの右のポジションを確保。高木監督も、「(徳永は)攻守に能力が高く、チームの土台を支えてくれている」と、多大な信頼を寄せている。

FC東京から地元クラブのV・ファーレン長崎に移籍した徳永悠平
徳永の長崎移籍は、正直驚きだった。FC東京での出番が減っていたとはいえ、十分に必要とされる選手だった。契約条件も決して悪くなかったようだが、それでも長崎を選んだ。
「これからの、自分の残りのサッカー人生を考えていたときに、長崎が(J1に)昇格してきた。そこで、自分の地元のチームに何か還元して力になりたい、と思った。それが、移籍を考えたきっかけです。(移籍については)長崎以外は考えていませんでしたから、(長崎の昇格がなければ)たぶんFC東京に残ってプレーしていたと思います」
チームでは、同学年のDF高杉亮太、GK徳重健太らとともに最年長となる。ふたつ下には国見高校時代の後輩となるMF中村北斗などもいるが、彼ら以外は比較的若い選手が多い。そうしたチームの中でプレーしている徳永の姿を見ていると、オーバーエイジ枠で代表入りした2012年のロンドン五輪を思い出した。
「そうですね、(長崎は)若い選手が多いですからね。(彼らは)これからどんどん成長していけると思うし、その成長を見ながら一緒にやれることには、すごくやりがいを感じています。あの(ロンドン五輪の)ときも、清武(弘嗣)や(山口)蛍などが成長していく姿を見るのは楽しかったですから。それに、若い選手たちは初のJ1で『やってやろう』といった空気を出しているので、すごく楽しみです」
長崎の特徴と言えば、やはり堅守だろう。昨季J2でも41失点と、36失点の湘南ベルマーレとアビスパ福岡に次いで3番目に少なかった。守備面で計算が立てば、J1昇格後もそれなりに戦えることは、過去に残留を果たしたチームを見ても明らか。一昨年のJ2で堅守を誇ったコンサドーレ札幌も、J1昇格後の昨季、守備重視のスタイルで残留を実現した。
高木監督はそうした事実を踏まえたうえで、「(J1では)ちょっとしたポジションミスが勝負を分けるポイントになる。そこは試合中でも、できるだけ(選手に)気づかせる問いかけをしていく」と、さらなる守備強化に余念がない。
徳永もキャンプから長崎の堅守を身体にしみ込ませてきた。
「(守備に関して)監督からは細かいポジションについての指示がありますけど、そこまで難しさは感じていないです。開幕までにやらなければいけないことがあるとすれば、(選手個々が)お互いの細かい特徴を理解して、すり合わせをしながら整えていくことぐらいかな。開幕までには、連係も含めて100%近くまで持っていきたいですね」
徳永のポジションは、3-4-2-1布陣の3バックの右。高木監督からはどんなプレーを求められているのだろうか。
「役割として求められているのは、試合の流れを読んで、相手の細かい特徴を味方に伝えて(相手の攻撃を)しっかり抑えること。そして、ビルドアップのところで、前にボールを運ぶこと、ですね。対戦相手などによって、フォーメーションは変わるかもしれませんが、基本はそこをきちんとやることです」
ただ、単純に守るだけでは勝てない。点を取るために、FW鈴木武蔵(アルビレックス新潟→)やMFベン・ハロラン(ハイデンハイム/ドイツ→)など、今季は積極的な補強も行なった。そうした新戦力を加えた攻撃の構築も急務となるが、その点については、徳永は少し物足りなさを感じているようだ。
「攻撃については、もうちょっとレベルアップしないと点が取れないですね。特に最後の精度のところ。強いチームとやるとチャンス自体が少なくなるので、ひとつのチャンスをどうゴールに結び付けられるか、だと思うんです。そのためには、シュートも、クロスも精度が大事。個々のレベルアップが必要だと思います。
あと、少ないチャンスを生かすという意味では、うちにはセットプレーが武器としてあります。そこは、昨季からの強みとして、より点が取れるように生かしていきたいです」
どのくらいの得点パターンを組み立てられるか。そこは、長崎がJ1に生き残るための大きなポイントとなるだろう。
課題や、やるべきことはまだまだある。それでも長崎は、チームのムードが明るく、”戦う集団”として非常にまとまりがある。
「確かに、全員サボらない。全員守備、全員攻撃のチームですね。監督はよく『ハードチェイス』っていうんですけど、前線の選手からすごく守備をするし、選手みんながハードワークする。チームに対する忠誠心が高くて、泥臭く戦うチームです」
ピリッとした徳永の表情から、チームに対する自信が垣間見えた。
チームの目標は、まずはJ1残留。だが、J1で初めて戦うチームが、その舞台に生き残ることは決して容易なことではない。序盤戦から勝ち点を積み重ねていかなければ、夏の終わりには先が見えてしまう場合もある。徳永もその点はよくわかっている。
「(J1で生き残るには)最初が肝心ですし、スタートが勝負だと思っています。そのために、チームの始動を早くして、練習試合もたくさんこなしてきました。
ポイントになるのは、W杯開催による中断の前までに、どのくらいの位置にいられるか。10位前後にいれば、残留の可能性も見えてくると思うので、まずはそのラインを目指して、スタートからしっかり勝ち点を稼げるように集中して戦っていきたい。ひとつ勝てば『いける』ってなると思うので、早く1勝を勝ち取りたいですね」
J1の舞台でどれだけやれるのか――徳永の表情から不安は感じられなかった。むしろ期待感のほうが大きく、やる気がみなぎっていた。
初のJ1に挑む、長崎の戦いぶりに注目だ。