ラグビー日本代表の渡邉隆之は、その口元に必須のツールを隠し持っている。今春から、歯形だけでなくかみ合わせまで調整して作ったマウスガードを入手。最高の使い心地に喜んでいる。 札幌山の手高を経て、現在は東海大4年でFWリーダーも務める。身長1…

 ラグビー日本代表の渡邉隆之は、その口元に必須のツールを隠し持っている。今春から、歯形だけでなくかみ合わせまで調整して作ったマウスガードを入手。最高の使い心地に喜んでいる。

 札幌山の手高を経て、現在は東海大4年でFWリーダーも務める。身長180センチ、体重118キロのPRで、機動力と突進力を長所とする。エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチ(HC)から将来性を買われ、昨秋のワールドカップイングランド大会時は開幕直前までチームに帯同。バックアップメンバーに登録された。

 今春も、中竹竜二HC代行率いる若手中心の代表に参加。アジアラグビーチャンピオンシップではここまで全3試合に出場し、5月28日、東京・秩父宮ラグビー場での香港代表との最終戦を迎える。

 助け舟は、昨季終了後の帰省時に出された。オーダーメイド型マウスガードを開発する小樽市の株式会社レッドロックが、渡邉の特注品の作成を提案したのだ。

「僕にとって、マウスピースはラグビーに一番必要な防具。つけることによって呼吸がしやすくなって、歯で口を切らないで済むので」

 かねてこう考えていた渡邉は、同社の諸岡亮さんの申し出に感謝。完成したものを今大会中に使えば、ますます満足できた。いざ、大会ラストゲーム。愛用のひとかけらを右手に持ち、腕をぶす。

「最初はそれぞれの個人の能力でやっていたところがあったけど、徐々にチームとしていいラグビーができるようになってきた。会話量が増えました。いいチームなので、集大成を見せられたら」(文:向 風見也)