いよいよ間近に迫った東京マラソン。誰もが本番で高いパフォーマンスを発揮したいと考えていることでしょう。それなら是非、直前の過ごし方にも少し気を配ってみてください。

 前回は、大会前日の食事についてはご紹介しました。しかし食事以外にも、当日のパフォーマンスに栄養を与える事柄は山ほどあります。ここでは大会前日と当日朝に絞り、経験から見たおすすめの過ごし方についてご紹介しましょう。

《筆者プロフィール》
三河 賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。またトレーニングサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室、ランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。3児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表。
【HP】http://www.run-writer.com

大会前日に最後の追い込み! は避けよう

 マラソン大会前になると、緊張感などから「動いていないと落ち着かない」という声がよく耳に届きます。特に毎日のようにトレーニングを重ねてきた方にとっては、動かない(=休む)ことで走力が低下してしまうのではないかと、不安を抱いてしまうのでしょう。

 しかし大会前日は、基本的に「できる限り動かない」ことをオススメします。特に走ったり筋トレしたり、筋肉を酷使するような運動は控えましょう。その理由は翌日、つまり大会当日に疲労が残ってしまうから。多少のジョギングでも、それによって伴う疲労を一晩で100%抜ききることは困難です。

 逆に1日程度であれば、運動しなくても走力にはほとんど影響しません。むしろ休むことで筋肉が回復に専念できるため、当日に高いパフォーマンスを発揮できる可能性は高まるでしょう。どうしても不安ならば、緩やかなランニングドリルで動きを確認したり、ストレッチで身体を解したりすることをオススメします。

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 私の場合、ファンランと決めている大会以外は基本的に前日を完全オフとしています。前日受付などでやむを得ないケースを除けば、ほとんど外出しません。音楽や読書など、室内でリラックスした時間を過ごすようにしています。夜はお風呂に入ってからストレッチとマッサージ。マッサージは翌日に“もみ返し”が伴わない程度に軽く行い、十分な栄養を摂って早めに就寝するのがいつもの流れです。

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スタート時間から逆算して十分な睡眠時間を確保

 夜はしっかり睡眠時間を確保しましょう。ベストな睡眠時間は人によって異なりますが、例えば私なら8時間。目覚まし時計はセットしますが、「目覚まし不要で自然と起きる」くらいの時間を意識しています。

 この際、大会本番のスタート時間から逆算して考えると良いでしょう。就寝、起床、朝食、準備、移動、そしてスタート。スタートの瞬間には身体が目覚め、食事も消化されている状態を意識します。食事はスタート3時間前には食べ終えたいところ。ある程度の準備を前日に終えておけば、4〜5時間前に目覚めて十分といったところです。

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 もちろん、女性ならお化粧の時間が必要かもしれませんし、シャワーを浴びたいという方もいるでしょう。朝起きてからスタートするまでの流れをイメージし、それぞれ必要な時間を算出したうえで起床時間を決め、十分に睡眠時間の確保できるタイミングで眠ります。睡眠不足の状態では思うように身体が動かず、走りのパフォーマンスにも影響してしまうもの。また、睡眠は疲労回復にも大切ですので、疎かにしないよう注意してください。

ウォーミングアップは“やり過ぎ”に注意

 マラソン大会の会場へ行くと、皆さん思い思いにスタート前の時間を過ごされています。このタイミングで気になるのが、ウォーミングアップの方法ではないでしょうか。会場周辺をジョギングしたり、仲間と会話しながらストレッチしたり。中にはダッシュしている人など、ウォーミングアップの仕方は実にさまざまです。

 ウォーミングアップの目的は走ることではなく、身体を温めて動ける状態を作ること。ここで走り過ぎ、疲労してしまっては意味がありません。前列からいきなり全力でスタートするシリアスランナーを除き、スタート直後は思うようなスピードで走れないでしょう。特に東京マラソンとなれば、スタートまで10分以上かかる……なんていうことも。これでは事前にジョギング等で身体を温めても、走る頃にはもとに戻ってしまいます。

 私の場合、スタート前はほとんど走りません。ウォーミングアップはランニングドリルなど、比較的ゆるやかな運動で少しずつ身体を温めます。肩甲骨や股関節などを大きく動かしておくだけで十分なウォームアップになるほか、筋肉がほぐれることで動きが良くなるはずです。走る場合でもウィンド・スプリント(流し)を軽く2〜3本、調子を確認するために行います。あとはスタート直前まで、定期的に筋肉を揉んだり擦ったり。あるいは関節部を動かしながら、温まった身体が冷えないように努めるといった具合です。

 前述の通り、スタート直後は思うように走れません。集団で混雑し、周囲に合わせざるを得ないでしょう。実力より速いグループに入ってしまわない(実力以上のタイム申告をしない)限り、2〜3kmはかなりゆったりとしたペースで走ることになります。そのため、わざわざウォーミングアップで走らなくても、この2〜3kmがその代わりを果たしてくれるはずです。

 もう1つ、走る前のストレッチは個人的にオススメしません。ストレッチは筋肉を伸ばしますが、伸び切った筋肉は伸縮せず、かえって走りにくくなるためです。ウォーミングアップはいくつかパターンを考え、事前にトレーニングで試してみると良いでしょう。どんなウォーミングアップを行った後が、もっとも走りやすく感じるか。検証のうえで決めたウォーミングアップなら、気持ちのうえでも自信を持って走り出せるものです。

 大会前日や当日朝は緊張するもの。それは仕方のないことですし、無理に緊張を鎮める必要はありません。ただし緊張のあまり、食べ過ぎたり寝不足になったり、直前に動き過ぎたりしないように注意しましょう。

 ここでご紹介したポイントを参考にしながら、最高の状態でスタートの瞬間を迎えてください。

《東京マラソン完走HOWTO》
・ランニングやマラソントレーニング後に!効果的な疲労回復法│東京マラソン2018 完走HOW TO #1
・マラソン大会前に"疲れる練習”は禁物!コンディションを整える「調整トレーニング」のポイント│東京マラソン2018 完走HOW TO #2
・【マラソン大会前の食事法】前日は炭水化物を多く摂るべき?お酒はOK?経験者が語る!│東京マラソン2018 完走HOW TO #3

<Text:三河賢文/Photo:Getty Images>