姫野和樹は、前年の同じ時期とは立場が変わった。

「そうですね。すべてが変わったような1年でした。ジェイクにもたくさんチャンスを与えてもらって、それをつかめたことは自分にとっても自信になっていると思います。これからもたくさんチャンスはあると思うんですけど、それを逃さずにやっていければ、これからの自分のラグビー人生はもっともっと良くなるんじゃないかな…と」

 身長187センチ、体重109キロの23歳。昨季は帝京大の一員として大学選手権8連覇を果たし、2017年に入社したトヨタ自動車ではジェイク・ホワイト新監督になんと主将を任される。同年11月には日本代表デビューも飾り、国内最高峰のトップリーグでは新人賞を獲得した。そしてこの2月、国際リーグのスーパーラグビーに加わるサンウルブズの開幕前キャンプに参加中だ。

 話題が昨年のスーパーラグビーに転じると、「開幕戦、観に行きました」。東京・秩父宮ラグビー場でサンウルブズがハリケーンズに17-83と屈した2月25日のゲームをスタンドで観戦したと話し、こう思い返す。

「この舞台でやってみたいと思いました。ハリケーンズのスキルの高さは素直にすごいと感じましたし、自分がグラウンドに出たらどうなんだろうな、やってみなわからんな…と」

 念願の「舞台」は、2月24日に迫っている。秩父宮でおこなわれるブランビーズとの第2節が、今季のサンウルブズにとってのオープニングゲームだ。LO、FLで出場が期待される姫野だが、直近まで国内外でフル回転した身でもある。体調面を踏まえてか、当の本人はあえて「開幕戦が全てではない」と話す。

「3列、ロックはいい選手がたくさんいる。ただ、長い目で見て自分の成長につなげられればと思います。スーパーラグビー全体の試合のなかで、いかに活躍できるか…。開幕戦にとらわれずにやっていきたいです」

 課題を問われれば、「このレベルになると、自分のリーダーシップが出せないと感じます。それはあまりよくない」と話したり、「受けるタックルではなく、前に出てハードにタックルできたら」と自身の課題を挙げるなど、まっすぐな向上心を明かす。

 日本代表とサンウルブズでは、FLが両タッチライン際に立ってその他のFWがグラウンド中央部に位置取り。それと並行し、HOとNO8が要所で攻防の境界線上に鋭く駆け込む。相手防御ラインの横幅を引き延ばしながら個々のタックラーをかく乱させようとしている。

 ランが得意な姫野は、このような複層的なアタックを「好き」と話す。

「ディフェンスに的を絞られにくいアタックで、スペースもたくさんできます。自分の持ち味を活かせる」

 トニー・ブラウン アタックコーチの唱えるシステムに沿ってラインブレイクをする機会は、2018年のスーパーラグビーを通して何度でも作りたい。そのためのいまを過ごす。(文:向 風見也)