昨年まで上昇曲線が今季は前年比7%ダウンの見込み メジャーFA市場は史上例を見ない“氷河期”を迎えている。その影響は顕著…
昨年まで上昇曲線が今季は前年比7%ダウンの見込み
メジャーFA市場は史上例を見ない“氷河期”を迎えている。その影響は顕著で、今季開幕時における30球団の年俸総額は、2009年開幕時以来初めて前年より減少する見込みだという。米「ヤフースポーツ」が特集記事で伝えている。
今オフは各球団が再建モードもしくは財政緊縮モードに突入。FA選手との契約に積極的に資金を投入しようとしないため、2月を迎えてもなおダルビッシュ有投手(ドジャースFA)やエリック・ホズマー内野手(ロイヤルズFA)ら注目選手を筆頭に100人以上のFA選手が未契約のままだ。記事では、「史上例を見ない」という枕詞が単なる誇張ではなく事実であることをデータで証明している。
それによれば、2月1日現在、30球団の開幕時年俸総額は37億8000万ドル(約4159億円)に達する予定だが、これは40億ドル(約4401億円)を超えた昨年に比べると7%も減少している。実はメジャー30球団の年俸総額は、2010年以来年平均5.5%の上昇曲線を描いていたが、今回は前年より1.3%減少した2009年以来の9年ぶりの減少となるようだ。記事では、ダルビッシュやホズマーら注目選手が契約すれば、今季の年俸総額は「40億ドルに近づくと見られる」としてはいるが、これまでのような上昇曲線は描かず、よくても横ばい、さもなければ減少になると見ている。
1日現在、16球団が昨年開幕時よりも年俸総額が減少する見込みで、その筆頭はタイガースの7720万ドル(約84億9400万円)減。これにフィリーズの4820万ドル(約53億300万円)、レンジャーズの4330万ドル(約47億6400万円)、オリオールズの4310万ドル(約47億2300万円)、ドジャースの4010万ドル(約44億1200万円)と続く。さらに、ロイヤルズ、ヤンキース、マーリンズ、ホワイトソックスが、前年に比べて3000万ドル(約33億100万円)以上の支出を“緊縮”したという。
FA選手に一銭も投じていない球団も
一方で、1月末にマーリンズからイエリッチをトレード獲得、ロレンゾ・ケインとFA契約を結ぶなど活発な動きを見せたブルワーズは、前年比3020万ドル(約33億2300万円)の増加が予測。これにアストロズが2990万ドル(約32億9000万円)、ダイヤモンドバックスが2760万ドル(約30億3700万円)、レッドソックスが2560万ドル(約27億1700万円)、ナショナルズが1380万ドル(約15億1800万円)と続く。
FA選手に一銭も投じていないのは、レイズ、ブレーブス、オリオールズ、マーリンズ、パイレーツ、レイズと6球団もあり、30球団の中で最も年俸総額が低いのは、レイズの7980万ドル(約87億8000万円)だそうだ。
MLB機構としての収入は上昇し、各球団はその分配金を手にしているが、ぜいたく税の対象となる年俸総額1億9700万ドルを超えないために、その利益がまったく選手に還元されていない。これに懸念を示す選手会は、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが提唱する試合の時短策を巡る交渉を楯に取り、各球団が積極的に選手と契約を結ぶのであれば、話し合いに応じてもいいという“受動攻撃的”な態度を見せているという。
ドジャースで守護神を務めるケンリー・ジャンセン投手は、選手が犠牲になりかねないシステムの不備を指摘し、選手会にストライキの提案をすることも示唆している。今回の問題は単なる厳冬で終わるのか、あるいはストライキという大問題にまで発展してしまうのだろうか。(Full-Count編集部)