「プロ野球の三軍とは何なのか?」を大道コーチに聞く前編はこちら>> 昨年12月半ばまで、台湾で開催されたアジアウイン…

「プロ野球の三軍とは何なのか?」を大道コーチに聞く前編はこちら>>

 昨年12月半ばまで、台湾で開催されたアジアウインターベースボールリーグ。参加国は日本からはNPBイースタン選抜、NPBウエスタン選抜、JABA選抜(社会人)の3チーム、これに海外の米国&欧州混成、CPBL(台湾選抜)、KBO(韓国選抜)を加えた計6チームが、約1か月にわたるリーグ戦を繰り広げた。
 
 この大会でNPBウエスタン選抜監督を務めたのが大道典良氏(現福岡ソフトバンク二軍打撃コーチ)だ。アジアの逸材たちが集う大会において、果たして将来の日本球界を背負うような有望な選手はいたのだろうか? 大道氏を訪ね、現場で抱いた印象を聞いてみることにした。



若手のことを楽しそうに話す大道典良ソフトバンク二軍打撃コーチ

──まず、ソフトバンクの三軍コーチからウエスタン選抜監督に就任することになった経緯を聞かせてください。

大道 昨年の10月に突然、球団から呼び出しがありました。まさか”戦力外通告”ではないよな?……と一瞬、心がざわつきましたが(笑)。球団に行ってみると、職員から「台湾で行なうウインターリーグで、ウエスタン選抜監督をしていただけませんか」との打診を受けました。

 僕は間髪入れず、「もちろん、いいですよ。アメリカでコーチもしていましたし、どこに行くのも苦になりません。きっと、僕の野球人生における財産にもなります、是非ともお願いします!」という感じで喜んで引き受けました。

──参加メンバーのセレクトやチーム編成は、大道監督が行なったのでしょうか。

大道 いえ、あらかじめ関係者から「メンバーはこういう選手たちです」とリストを手渡されました。最初に見た時には、なかなか充実した戦力で手応えを感じていたんです。ところが、緊急事態が発生しまして……。

──なにごとでしょう?

大道 秋季キャンプで、選考された選手の多くがケガをしてしまい、出場を断念せざるを得なくなったのです。結局そのリストから8人のメンバーが入れ替わって大会に臨みましたよ。セレクトするどころの話ではありません。

 そもそも、あの大会では高卒のプロ1年目の選手は参加を控える傾向があるのです。それなのに今回は、なんと5人もメンバーになってしまった。ウエスタン選抜はレギュラー9人中、半分が高卒ルーキーでした。戦力的にはしんどいです。それでも現実は現実として受け止め、フレッシュな気持ちで戦いました。

──大会前には監督として戦術を練ったと思いますが。

大道 いやいや、各球団からは勝敗に関係なく、選手みんなを平等に出してくださいという条件が提示されました。そこで私は、投手なら、先発、中継ぎ、抑えを経験させ、野手なら、サードしかできないなどというのではなく、すべてのポジションを守らせて可能性を大きく持たせながら、個々の対応力に期待する方針を打ち出しました。

──その目的は達成できたのでしょうか?

大道 監督に就任して最初に僕が選手たちに言ったのは、「ミスはどんどんしなさい。ただし、それを君たちが日本に帰って二軍や一軍でしちゃだめだよ」ということ。そうしたら、選手たちはそれを真に受けてしまったのか、本当にミスのオンパレードだったんです(笑)。17試合でエラー26個ですよ。まあそれでも、みんないい経験をしたんじゃないですかね。

──では本題ですが、大会中に大道さんの印象に残った注目株の選手を教えてください。まずはウエスタン選抜から。

大道 オリックスに2人いました。投手で一昨年、仙台育英から入った佐藤世那君ですね。2回登板させて、いずれも結果は出せませんでした。そこで、投げ方を横に変えたんですね。そうしたら、ビックリするほど内容がよくなったんですよ。以来、彼は横から投げるようになりました。進化したと思います。今年は期待できるんじゃないでしょうか。

 もう1人は、根本薫君といって、昨年9月までピッチャーをやっていたらしいんですけど、10月から野手に転向して頭角を現したと聞きました。当初は宗佑磨という選手が来る予定だったんですけど、急きょ彼が来て、最初は大丈夫かな? と思って見ていたのですが、なかなかの野球センスがあります。パワフルながら足も速いんですよ。3年後は楽しみな選手です。T-岡田みたいな存在になりそうですね。

──自軍の選手もいましたよね?

大道 ホークスからは九鬼隆平ですね。彼は高校時代から甲子園をはじめ、大舞台に場馴れしています。輝かしい球歴の持ち主で、そこが甲斐拓也とは違います。打てるキャッチャーとしては城島健司以来の長距離砲になると思いますよ。

──イースタン選抜の注目選手は?

大道 投手はヤクルトの寺島成輝君。いい球を投げていましたね。投げっぷりが最高です。
それからDeNAの笠井崇正君。彼もいいですよ。球が速いんです。さっそく1月に育成から支配下登録されましたよね。

 巨人では高井俊君が光っていました。投げ方が、あの野茂英雄さんを彷彿とさせるトルネードなんです。”平成の野茂”になる予感がします。

 野手ではDeNAの佐野恵太君です。ダイナミックな打撃ですよ。ラミレス監督が彼に大いに期待している理由がわかりました。

──挙がったなかには、すでに一軍キャンプに抜擢されている選手もいますね。社会人選抜にドラフトでほしくなるような選手はいましたか。

大道 ピッチャーは全体的にまとまっていました。その中でもイチオシは東芝の岡野祐一郎君ですかね。現時点では”ミスター社会人”です。間違いなく今年のドラフト1位候補です。プロのスカウト陣もみんな見に来ていました。

──選手たちを語る声が楽しそうに弾んでいますが、最後に大道さんが将来、NPB球団の監督として采配を振るうという野望はありますか?

大道 ないこともないですが(笑)。はっきり言って、監督業は激務でありました。コーチの時はバッティングだけ見ていればよかったんですけど、監督になると守備やピッチャーも全部見て采配をしないといけないんで……。それでも、やりがいのある仕事なのは間違いありません!