冬の移籍市場がクローズして最初の試合で、ドルトムントはその成果を見せつけることに成功した。 ブンデスリーガ第21節…
冬の移籍市場がクローズして最初の試合で、ドルトムントはその成果を見せつけることに成功した。
ブンデスリーガ第21節ケルン対ドルトムント。最下位のケルンが相手とはいえ、ドルトムントは2-3で勝利を収め、4試合ぶりの、そして2018年に入ってから最初の白星をあげた。
ドルトムントの3点のうち2点は新加入のミシー・バチュアイが決めたもの。勝ち越しゴールはアンドレ・シュールレが決めたが、アシストはバチュアイだった。チェルシーから加入してまだ3日目の期待のフォワードが、早くも結果を出したのだ。
フル出場した香川真司と新加入のミシー・バチュアイ(右)
ドルトムントにとって、今回のオーバメヤンのアーセナルへの移籍劇は痛しかゆしだった。
オーバメヤンは、例えばミラノでのパーティに参加して週明けのミーティングに遅刻し、試合メンバーに入れてもらえないことがあるような選手だった。よくいえばマイペースなのだが、どう見ても規律を乱すタイプではあった。今回の移籍前も、移籍の希望が叶えられないからといって練習参加を拒否したり、バルセロナに移籍した仲のいいウスマン・デンベレのユニフォームを着て友人らと楽しんでいる姿が写真に収められたり、お騒がせ男ぶりを発揮していた。
その一方で、ピッチではドルトムントのエースとして圧倒的な存在感でチームに君臨していた。昨季のリーグ得点王であり、今季も前半戦は16試合で13得点と、得点ランクでロベルト・レバンドフスキ(バイエルン)を追っていた。この快足のエースがいるといないとでは、ドルトムントのサッカー自体も変わってしまう。そんな自分の価値を自覚していたからこそ、わがままな行動に出られたのかもしれない。
そのオーバメヤンが念願叶って、ドルトムントを出ることになった。雰囲気を壊す選手がいなくなった反面、点獲り屋がいなくなる不安は大きい。そこを埋めたのが、このバチュアイだ。
バチュアイは1993年生まれの24歳。ブリュッセルで生まれたコンゴ系ベルギー人で、リエージュでプロとしてのキャリアをスタートさせた。マルセイユを経由しチェルシーで1年半プレー。ただし今季は先発がわずかに3回で、2得点にとどまっていた。ちなみに昨季も出場時間こそ短かったが、プレミアリーグ優勝を決めたWBA戦で決勝ゴールを決めている。
そのバチュアイは、ユーモアたっぷりの台詞とともにドルトムントに加入した。
「ドルトムントでバットマンの席が空いたって聞いたから、僕が引き継ぐことにしたよ」
バットマンとは、2015年2月、シャルケとのダービー戦でオーバメヤンが行なったゴールパフォーマンスのこと。スマートで、ファンの心にも響くバチュアイの挨拶だった。そしてデビュー戦ではしっかり結果を出したのだから、文句のつけようがない。
「準備期間がなく、試合中にどんな選手か把握しながらプレーした」と言う香川真司は、新しいチームメイトをこう分析する。
「コンビネーションがいいですね。(ボールが)収まるし、体が強い。簡単にやることはやるので、感覚も(一緒にプレーを)できるところがある。ああいうタイプはなかなかいなかった。そういう意味では楽しみにしてるし、また違った色を出していけたらいいかな、と。周囲と一緒に崩していくタイプだと思うし、プラス、万能型でなんでもできる印象。こっちとしては、生かすところも生かされるところもある」
オーバメヤンは他の追随を許さないほどのスピードが最大の特徴だった。だからこそドルトムントはカウンターを得意としたのだが、周りが同じスピード感を持たない限り、周囲との関係性でゴールに迫ることが難しかった。
それに比べると、バチュアイは香川にとってやりやすい選手なのかもしれない。また、精神的にもチームに大きなものをもたらしてくれるだろう、と香川は見ている。
「やっぱりチームにはエースが必要。オバ(オーバメヤン)が抜けたぶん、そこは絶対的に必要だった。彼中心のサッカーになってもおかしくないと思うし、それくらいの影響力が、強いチームのストライカーにはあるので。それをうまく活かしながら、違った色、形を生み出していけるんじゃないかな」
本来であればこの試合は、12月にケルンをクビになり、すぐさまドルトムントの監督に就任したペーター・シュテーガーの”リベンジ”で盛り上がるはずだったが、バチュアイの活躍でそんなムードはどこかへいってしまった。
ブンデスでバイエルンの独走を止めるのは事実上、難しくなってきたが、2位であればまだ十分に可能性はある。そんなことを思い出させてくれるほど、バチュアイのインパクトは大きかった。
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