ラグビーワールドカップ2019日本大会の開幕まで600日を切ったが、南アフリカラグビー協会は2月2日、同国代表“スプリングボックス”を率いてきたアリスター・クッツェーHC(ヘッドコーチ)の即時退任を発表した。
 2016年からクッツェー体制となったスプリングボックスは、2年間のテストマッチ計25試合で勝率44%(11勝12敗2分)、3大会ぶり3回目の世界一を狙うチームの成績としては許されるものではなく、更迭を求める声が強まっていた。任期満了まで約2年を残し、契約解除で合意したと発表されたが、事実上の解任となった。
 南ア協会のユリー・ルーCEOは、情熱をもって2年間献身的に取り組んできた代表チーム指揮官に感謝しながらも、「まず第一に、スプリングボックスにとって最も利益となるのは何かを我々は判断しなければならなかった」と声明を出し、関係解消を説明。クッツェー氏は、「チームと私が新しい方向に打ち出すときだと思う。私はいつも心からスプリングボックラグビーを大切に思ってきたし、これからもスプリングボックスの成功を願っている」とコメントした。

 前回のワールドカップでスプリングボックスは最終的に3位となったものの、プールステージで格下と思われていた日本代表に屈辱的な敗北を喫し、痛烈な批判を受けた当時指揮官のハイネケ・メイヤーHCが退任。そこで、2007年ワールドカップ時にスプリングボックスのアシスタントコーチを務めて優勝に貢献し、ストーマーズとウェスタン・プロヴィンスの指揮官だった2010年に南アの年間最優秀コーチに選ばれたことがあるクッツェー氏に白羽の矢が立った。
 当時日本にいた同氏は神戸製鋼コベルコスティーラーズでの職務を1シーズンで辞めて帰国し、母国の代表チームの再建に取り組んだが、2016年11月にイタリア代表に初めて敗れ、昨年9月にはライバルのニュージーランド代表に0-57と歴史的大敗、同11月にはアイルランド代表相手に35点差(3-38)で敗れるなど次々とワースト記録を更新していた。

 南ア協会はスプリングボックス史上2人目の黒人ヘッドコーチであるクッツェー氏を守ると思われていたが、南アメディアの『EWN』によると、1月18日にルーCEOと会った際に契約解除を伝えられたという。解雇が差し迫ったクッツェー氏は南ア協会に手紙を送り、「無能の印象を作られ、人種差別に関する論争を避けるための駒として使われた」などと書いて経営陣を批判したと言われている。

 スプリングボックスの新しいコーチングチームは今月下旬に発表される予定。
 指揮官後任には、かつて南ア代表FL/NO8だったヨハン“ラシー”・エラスマス(45歳)氏が有力視されている。選手時代の晩年からビデオアナリストや所属クラブの2軍コーチを務めて多角的にラグビーを精察してきたエラスマス氏は、理論派として知られ、チーターズのヘッドコーチ時代に国内最高峰大会のカリーカップで連覇を達成している。スプリングボックスのテクニカルアドバイザーや、ストーマーズのヘッドコーチなども務めた。2016年からマンスター(アイルランド)で指揮を執り、プロ12(現 プロ14)でリーグ1位通過、プレーオフ決勝に導くなど手腕を発揮して2016-17シーズンのプロ12最優秀コーチにも選ばれたが、昨年12月、スプリングボックスのディレクター・オブ・ラグビーに就任するためにマンスターを退団していた。