「BNP パリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(東京都・有明コロシアム、有明テニスの森公園)/5月23〜28日/ハードコート)の大会2日目は、日本の男子チームが初登場。スウェーデンに2勝1敗…

 「BNP パリバ ワールドチームカップ 車いすテニス世界国別選手権」(東京都・有明コロシアム、有明テニスの森公園)/5月23〜28日/ハードコート)の大会2日目は、日本の男子チームが初登場。スウェーデンに2勝1敗と勝利し、白星スタートとなった。  車いすテニス世界国別選手権は、各カテゴリーで予選リーグを戦い、その後、順位決定トーナメントを実施して順位を確定する。シングルス2本、ダブルス1本を行い、2勝以上したチームに1ポイントが与えられ、獲得ポイント数で順位を決定する。  試合方式は、シングルス2→シングルス1→ダブルスの順に行う。また、男子(1、2部)と女子のリーグ戦は、それぞれ3ヵ国ずつの4リーグ。クアード、ジュニアは4ヵ国ずつの2リーグに分かれて試合を行う。 ◇ ◇ ◇ ◇

 日本の男子初戦の相手はスウェーデン。シングルス2で出場した世界ランク9位の眞田卓(フリー)は、格下のダン・ワーリンを6-2、6-2と危なげないプレーで退け、まずは日本が先勝する。

眞田卓

 そして、大会2日目の注目は、日本のエースとして出場する国枝慎吾(ユニクロ)の右肘の状態だろう。4月上旬、国枝は同箇所にメスを入れ、当初出場を予定していた飯塚ジャパン・オープン(5月17~22日開催)は大事を取ってスキップし、世界一を決める国別選手権を復帰戦に選んだ。

 対戦相手はスウェーデンのエース、ステファン・オルソン(世界ランク7位)。国枝は、自身から始まった第1ゲームでネットミスを重ね、相手にすぐさまブレークを許す苦しい立ち上がりとなった。

 プレーに固さが見られる国枝は安定感を欠き、その後、ゲームカウントを5-3とリードした場面でもアンフォーストエラーを重ねた。ゲームカウント5-5の場面からオルソンのミスもあって、国枝がなんとか第1セットを7-5でものにする。

 日本のエースは2セット目に入ると、各所に実力を発揮してみせる。得意とするバックハンドのトップスピンでエースを奪う展開も増え、第2セットを6-3で取って見事に復帰戦を勝利で飾った。

 試合後の会見で国枝は自身のプレーについて「(術前の)普段の試合とかけ離れ過ぎた内容だったが、その点はコーチ(丸山弘道・男子コーチ)とも『仕方のないこと』だと割り切った」と語った。

 スウェーデン戦の勝利を確定した日本は、ダブルスでも国枝を起用。「試合直前まで出るかわからなかった」国枝だが、日本男子の丸山弘道コーチと話し合い、試合勘をとり戻すために出場することを決めた。

 眞田とダブルスでスウェーデンのオルソン/ワーリン組と対戦。試合はファイナルセットのスーパータイブレーク7-10で惜しくも落としたが、国枝は「復帰戦ということもあり、まだダブルスをプレーするところまで気が回っていなかったが、今日の試合でどう動けばいいか少しわかってきたし、日に日によくなると思う」と前向きなコメントを残した。

 日本は25日(水)の試合で世界ランク2位のヨアキム・ジェラード擁するベルギーと対戦する。決勝トーナメント進出をかけて、厳しい戦いは続く。

スウェーデンのオルソン(手前右)/ワーリンと対戦した日本ダブルス

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 クアードは、今年の全豪オープン覇者で世界ランク1位のディラン・アルコット擁するオーストラリアと対戦した。

 日本チームは、第1試合に出場した川野将太(シーズアスリート・世界ランク9位)がヒース・デービッドソンを6-4、6-1で下し、幸先のよいスタートを切ったが、続く諸石光照(フリー・世界ランク6位)はアルコットに2-6、4-6に完敗。決着はダブルス勝負となった。

 オーストラリアのアルコット/デービッドソン組は、前日の対アメリカ戦で「世界最強」と称されるニコラス・テイラー/デビッド・ワグナー組から勝利を収めた勢いあるダブルス。日本の川野/諸石組もなんとか食らい付きたかったが、1-6、3-6の完敗。明日はともに予選リーグ1勝1敗のアメリカと決勝トーナメント進出をかけて戦う。

川野将太(左)と諸石光照

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 ジュニアはベルギーに1勝2敗で敗れたものの、大会2日目に入り、本来のプレーも出るようになった。今日の試合では、世界ジュニアランキングを持たない清水克起(愛媛県立しげのぶ特別支援学校)が、同23位のジャスティン・ペローを6-1、6-4で下す活躍を見せた。

 ジュニアクラスの遠藤義文コーチは「昨日(対オランダ戦)のダブルスの第2セットでタイブレークまでもつれたことで“ダブルスで競る実力がある”“絶対に勝てるぞ”と伝えた。今日はその結果が出た」と話す。明日はイギリスとの対戦となる。

左からジュニアの細井誠二郎、船水梓緒里、清水克起、高野頌吾、遠藤義文コーチ

(テニスマガジン/ライター◎酒井朋子)