別府市役所を表敬訪問。前列左端が長野市長。名産の竹を使って職人が手編みしたラグビーボールがジョセフHCに贈られた(撮影:森本優子) 1月28日から大分県別府市でプレシーズン合宿を張ったサンウルブズ。2月2日で第1クールを終了し、北九州市に…

別府市役所を表敬訪問。前列左端が長野市長。名産の竹を使って職人が手編みしたラグビーボールがジョセフHCに贈られた(撮影:森本優子)

 1月28日から大分県別府市でプレシーズン合宿を張ったサンウルブズ。2月2日で第1クールを終了し、北九州市に移動した。

 ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が日本代表と兼任する最初のシーズン。過去2年と比べると格段に練習量が増えた。これまではスタート合宿も調整的なメニューが中心だったが、今年はガラリ変化。選手たちは早朝に市内の実相寺多目的施設に到着すると、朝8時から夕方までの3部練習。午前の練習が終わるとクラブハウスで昼食をとり、休憩して再びグラウンドと、終日ラグビー漬け。通常練習の後にもフィットネスメニューが課されるなど、エディー・ジョーンズHC時代の日本代表宮崎合宿をほうふつとさせた。
 トップリーグの選手はシーズンを終えたばかりで、フィットネスはまだこれから。新しく加わった外国人選手も多いことから、ジョセフHCは「この3週間はチームビルディングに充てる」と、厳しい練習を共有することで、チームとしての一体感を養っていくようだ。

 練習の合間に普及活動やファンサービスを多く組んでいるのも、今季の特徴。1月31日の午後には、選手たちが市内の小中学校を8か所訪問。ジョセフHCとリーチ マイケル、田中史朗は別府市役所に長野恭紘市長を表敬訪問した。
 ジョセフHCは別府を選んだ理由を「半年前、合宿候補地の視察に来ましたが、別府は何より、人が温かかった」と説明。「6月にまた戻ってきます」と、日本代表合宿をおこなうことも示唆した。
 別府市は来年のラグビーワールドカップの公認チームキャンプ地にも立候補しているが、今回も「おんせん県」の強みをいかんなく発揮。連日、7トンのタンク車で70度の源泉をクラブハウスに輸送。選手たちの交代浴に温泉を提供している。
 市役所を訪れたリーチも「毎日、グラウンドまで温泉を運んでもらって助かってます。ぜひ、入っている選手の顔を見てほしい」。田中も「交代浴で温泉に入れるところは他にない」と感謝を述べた。
 リーチはホテルでも朝5時半から入浴。「練習がハードなので腰が固まるけど、温泉に入るとほぐれる」と、効果を実感していた。

 別府市は2月10日から18日まで姉妹都市のロトルア、バースから高校生チームを招き、市内の別府鶴見丘、明豊高の合同チームとの3か国対抗国際親善マッチを開催するなど、ラグビー熱も上昇中だ。
(文:森本優子)
温泉を輸送するトラックは、以前震災で被害を受けた際、各地の援助に対しての感謝として温泉を輸送したもの。70度の源泉は輸送しても60度と温度は保たれる(撮影:森本優子)