「ここ数年、ほとんどツアーでプレーしていなかったことを考えれば、この4日間はとてもいいプレーだった。フェアウェーの真ん中にはなかなか打てなかったけど、グリーンに乗せることはできた。全体的にはとてもポジティブだったし、(自らのプレーに)満…
「ここ数年、ほとんどツアーでプレーしていなかったことを考えれば、この4日間はとてもいいプレーだった。フェアウェーの真ん中にはなかなか打てなかったけど、グリーンに乗せることはできた。全体的にはとてもポジティブだったし、(自らのプレーに)満足している」
そう語ったのは、PGAツアーのファーマーズ・インシュアランス・オープン(1月25日~28日/カリフォルニア州)で、1年ぶりにツアー復帰を果たしたタイガー・ウッズ。何とか予選通過を決めると、最終的には通算3アンダー、23位タイという成績で4日間を戦い終えた。
ウッズは昨年も、この大会でおよそ1年5カ月ぶりにツアー復帰。その際は、あえなく予選落ちを喫したことを思えば、上々の結果である。ウッズ本人も、今回の結果と内容には納得している様子で、今後に向けてかなりの手応えを得たようだった。
そんなウッズの復帰戦はメディアからも注目を集めていたが、それ以上にすごかったのは、ファンの熱気だ。ウッズの地元開催の大会とあって、会場には連日多くの観衆が詰めかけた。決勝ラウンドに入ると、メジャー大会並みのギャラリーが集結。とりわけウッズの組は、常に人垣が連なっていた。
その中で、ウッズは堂々とラウンド。心許ないプレーが目についた、これまでの復帰戦とは明らかに違った。
「今週のファンは素晴らしかった。とても騒がしかったし、興奮していたけれども、(自分のことを)とても尊敬してくれていた。彼らの前でプレーできたのは本当にうれしかったし、自信を持って次の大会でもプレーできる」
そう語るウッズの姿を見て、メディアはもちろんのこと、多くのファンが、今後の彼の活躍に期待を膨らませたのではないだろうか。
まさに”ウッズ・フィーバー”に沸いた今大会だったが、その喧騒の中で、日本注目の松山英樹も静かに奮闘していた。
最終日に同組でラウンドした松山英樹とタイガー・ウッズ。photo by Kyodo News
初日はウッズと同じ「72」のイーブンパーで回って、84位タイと出遅れたものの、2日目に盛り返して予選突破。ウッズと同組となった最終日には「69」と、その日のベストスコアをマークして、通算5アンダー、12位タイでフィニッシュした。
「下の順位で回っている分、プレッシャーというのは少ないので何とも言えないですけど、そういう意味では(最終日は)タイガーと一緒だったので、ギャラリーがたくさんいる中でプレーできたことは大きかったと思う。(全体的なプレーの)内容は少しずつよくなっているので、それを次につなげられればいいなと思います」(松山)
初日はショットが乱れて、松山はかなり苛立っていた。距離の短いパー5の10番スタートで、ティーショットをいきなりバンカーに入れてパー発進。13番、14番と連続ボギーを叩くと、厳しい表情が一層険しくなった。
後半になって、ショットがやや復調。スコアを取り戻して、どうにかイーブンパーにまとめたが、思わぬショットの乱調ぶりには、松山も不満を漏らすしかなかった。
「うまくしのげたホールもあったので、そこら辺は評価したいと思うけど、今日は、ショットが話にならないくらいよくなかった。(自らの調子自体も)思ったより悪かった。ショットもパットも? そうですね……。全体的に、ですね」
2日目は前日のラウンド後の調整がうまくいって、ショットは初日よりも好調だった。前半と終盤にバーディーを重ねて「69」をマーク。スコアを3つ伸ばして順位も33位タイまで浮上し、決勝ラウンドに駒を進めた。
「(2日目は)よかったところもあるし、悪かったところもある。最初と最後のほうがよかったと思います。途中は昨日と一緒で(ショットの)曲がり幅は減ったけど、あまりいい内容ではなかった。ちょっとしたことでうまくいかなかったり、(途中で)意識しているところを忘れてしまったりして、(ショットが)乱れてしまった。そういう状況の中、よくアンダーパーで回れたなと思います」
3日目は、10番スタートの出だしから3連続ボギーを叩いて、まったく流れに乗れなかった。特に予想を上回る速いグリーンに苦しんだ。ショットも低調だったが、グリーン上でもトータル34パットと冴えず、44位タイに後退した。
「(今日は)話すことが何もない内容。練習場ではいい感じで振れているんですけどね……、思ったようにはいかないですね。『できた』と思ったことが、なぜか(球が)曲がっているということが続いている。どこが悪いのか、わからない状況なので……。それがわかればすぐに修正できると思うので、その悪いところを早く見つけるようにしたい」
ウッズと同組でラウンドした最終日は、「サンタアナ・ウインド」と呼ばれる強風が吹いて、非常に難しいコンディションだったが、松山はウッズ目当ての大ギャラリーが見守る中で圧巻のプレーを披露。ティーショットは曲がる場面があったものの、小技でしのぎ、この日冴えわたったパットでスコアを伸ばして、12位タイと大幅に順位を上げた。
「(今日は)パッティングに助けられました。(スイングの感触も)フェアウェーにはいっていませんが、内容的にはよくなっているかなと思います。今日(の感触)が一番今後につながりそうな雰囲気があった。明日になったらどうなっているかわかりませんけど、(次に向けて)ちょっと楽しみが増えた」
次戦は、2連覇中のウェイストマネジメント・フェニックスオープン(2月1日~4日/アリゾナ州)。最終日のプレーは、大会3連覇に向けて大きな弾みとなった。
「(次週は)3連覇がかかっているけど、そこまでのレベルにはまだいっていない。月、火、水で(調子を)戻していければいいな、と。少しよくなりかけたショットが修正できて、パッティングがこのままうまくいけば(3連覇の)チャンスはあるかなと思う」
ショットが「不調」という中でも、年明け初戦のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズで4位、そして今大会も12位と、まずまずの結果を残してきた松山。得意舞台で今季ツアー初勝利を飾るとともに、大会3連覇という快挙を遂げてもおかしくない。