「オプトアウト」を行使せず「スローなオフシーズンを完全に回避」 今オフ、メジャーリーグのFA市場は前代未聞の停滞ぶりを見…
「オプトアウト」を行使せず「スローなオフシーズンを完全に回避」
今オフ、メジャーリーグのFA市場は前代未聞の停滞ぶりを見せている。NO1評価を受けているダルビッシュ有投手をはじめ、J・D・マルティネス外野手、エリック・ホズマー内野手、ジェイク・アリエッタ投手ら、トップクラスの選手たちですら未所属のまま。1月も残り少なくなり、2月中旬からのキャンプインが迫っているだけに、まさに“異常事態”とも言える状況だ。
そんな中、残りの契約を破棄してFAになれる「オプトアウト」の権利を持ちながら、昨季終了直後に残留を決断したヤンキースの田中将大投手は「勝ち組」だと米メディアが評価している。FAとなれば、田中もいまだ去就未定となっていた可能性が高いだけに、その判断は賢明だったというのだ。
「スローなオフシーズンを完全に回避することでタナカは2017-18オフシーズンの勝者となった」
このタイトルで報じているのは「リバー・アベニュー・ブルース」。米CBSスポーツ(電子版)の記者らも寄稿している米メディアだ。記事では、ここまでのFA市場のスローな動きを指摘しつつ、「思いもよらないところではあるが、現時点での勝者はマサヒロ・タナカである。大金を獲得し、今オフシーズンのスローな動きに巻き込まれていない彼は、天才かのように思える」と“絶賛”している。
2014年からヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約169億円)の大型契約を結んでいた田中は、4年目の昨シーズンが終了した時点で、契約を破棄してFAとなれる「オプトアウト」の権利を持っていた。
「この29歳の先発投手と彼の代理人にとって選択肢はシンプルだった:向こう3年で6700万ドル(約73億円)を受け取るか、1億ドル(約109億円)の契約を結ぶ可能性のある不確定な事に突き進んでいくかのどちらかだ」
FAを選択すれば「3番手」の評価「選択肢を求め続けることになっていただろう」
レギュラーシーズンは不安定な内容だったものの、ポストシーズンでは圧巻の投球を見せたことで、評価は“再上昇”。3年73億円という残りの契約を全うするか、5年総額109億円など総額での金額上乗せを目指してFAとなるか――。シーズン終了直後は、田中がより大きな契約を求めてFAを選択する可能性が高いと見られていたが、「ヤンキース愛」などを理由に残留を決断した。
記事では、田中がFAとなった場合、先発投手としてはダルビッシュ、アリエッタに続いて「FA戦線の3番手」になっていたと分析。その場合、ヤンキースは他の選択肢にシフトし、トレード市場での動きを活発化させていただろうと指摘している。結果的にアストロズに移籍したゲリット・コール(前パイレーツ)の争奪戦にも、より力を入れていた可能性が高いというのだ。
そうなれば、田中がヤンキースと再契約に至った可能性は低く、ダルビッシュやアリエッタのように、現在も未所属のままだったかもしれない。記事では、結果的に当初の3年総額6700万ドルよりも低い額でヤンキースに戻ることすら考えられたとの見解を示している。
「タナカは選択肢を求め続けることになっていただろう。そして、ダルビッシュやアリエッタを獲得し損ねたチームがタナカに狙いを変えることになりえた。彼にとってのベストシナリオは、3年6000万ドル(約65億2000万円)に迫る契約でヤンキースに戻ってくることだったのかもしれない。タナカがもしオプトアウトするとなった後に、キャッシュマンが彼との再会を検討していたかなんて、誰にもわからなかった」
「オプトアウト」を行使せずに残留という決断は、まさにファインプレー。ヤンキースでワールドシリーズを制覇したいという田中の純粋な気持ちが、好結果をもたらしたとも言える。
記事は「FA市場に加わらないことで、マサヒロ・タナカはスローな動きを見せる今オフシーズンにおける大きな勝者であるように思える」と結論づけている。歴史あるピンストライプのユニホームで悲願の世界一へ――。田中は今季も明確な目標を持って、スプリングトレーニングへと入っていく。(Full-Count編集部)