昨年、全日本デビューを果たし、元バルセロナ五輪で”日本の壁”と呼ばれた大竹秀之さんの長男としても注目を集めた大竹壱青(中央大4年)。現在はドイツ・ブンデスリーガのユナイテッド・バレーズ・ラインマインでプレーしており、同じくドイツでプレーする柳田将洋(バレーボール・バイソンズ・ビュール)との日本人対決も実現した。

 身長202cmの高さとブロックを弾き飛ばすパワーがあり、全日本のオポジット(セッター対角で、攻撃専門のポジション)を担う存在として期待を寄せられている大竹は、初の海外リーグをどう見ているのか。同じく海外でプレー中の、中央大の同期である石川祐希や、全日本への想いなどとあわせ、ドイツの大竹を直撃して胸中を聞いた。



ドイツ入りしてすぐに、柳田将洋(左)との対決が実現した大竹壱青(右)

――海外でプレーしようと思ったきっかけは、やはり昨年のイタリア留学でしょうか?

「そうですね。去年の経験がなかったら、『いつか行けたらいいな』くらいで止まっていたと思います。それが、イタリアで1カ月過ごして、『次は本格的に試合に出たい』と気持ちが変わったんです」

――イタリア留学では、プレー時間があまり多くありませんでしたね。

「もともと練習生として1カ月間という契約でしたから、仕方のないことだったんですけどね。でも、もし次があったら絶対に試合に出たいと思っていました」

――なぜドイツを選んだのでしょうか。

「選んだというよりは、チームを探している中で、声をかけてくれたのがドイツのチームだったので。それまで行ったことがなかったし、どんな国なのか興味もあったのでドイツに決めました」

――昨年の5月には、柳田将洋選手が先にドイツリーグ行きを決めていましたが、その影響は?

「そうですね。『柳田さん、ドイツに行くんだな』と思っていましたし、一緒のリーグでやれるのは嬉しいですね。それがドイツ行きの決め手になったわけではありませんが(笑)。でも、昨年のクリスマスは、柳田さんから12月に入って声をかけていただいて、自分も予定がなかったので一緒に過ごしました。楽しかったですよ(笑)」

――昨年10月のリーグ開幕戦では、いきなり日本人対決が実現しましたね。

「久々に柳田さんに会えたこともあるんですけど、面白かったです。日本人対決として、ドイツでも盛り上げてくれていたので、ありがたいです」

――海外でプレーすることについて、中央大の同級生である石川祐希選手には相談しましたか?

「しましたね。祐希は、イタリアではどんな練習をするのかといったことを話してくれて、『行けるなら行け』と背中を押してくれました。祐希とは大学の同期なので、バレー以外の日常会話もよくします」

――石川選手とともに戦った最後のインカレを振り返っていかがですか?

「(準決勝で敗れた)筑波大には勢いもあったし、最後の大事なところで自分たちが決めきることができなかった。それで、相手の勢いに飲まれてしまいました。僕と石川がいない間チームを作ってくれたチームメイトには、本当に申し訳ないことをしてしまったと思います。大学リーグで一生ものの仲間と4年間過ごしてきて、もちろん優勝を目指していましたから、勝てなかったのはとても悔しいです」

――昨年は全日本デビューも飾りましたが、9月に行なわれたグラチャンでは5戦全敗という悔しい結果となりました。

「グラチャンの最初の2戦は、戦う以前に気持ちに問題がありましたね。3戦目以降は、高いブロックにつかれたときのスパイクの打ち方が、まだ世界と戦えるものではありませんでした。いかにブロックがないところに打つかを考えていかないといけません。ドイツ行きはグラチャンの前から決まっていましたが、世界と戦うために、海外でプレーしたいという気持ちがより一層高まりました」

――高さに慣れるという点では、長身の選手が多いブンデスリーガは適していますね。

「試合に出る機会はまだ少ないですが、練習でも高いブロックとパワーのある攻撃が経験できるので、それに早く慣れたいです。リーグのレベルは(石川がプレーするセリエAに比べると)落ちるかもしれませんが、その中で揉まれながら実力を伸ばしていきたいです」

――ドイツに来てよかったこと、逆に困ったことはありますか?

「よかったのは、日本とはまったく違う環境に、ひとりで入ることができたことですね。言葉がネックですけど、イタリアよりも英語を話せる人が多い、というかほとんどの人が話せるので、そこは生活するうえでも安心しました」

――チーム内でのコミュニケーションは問題なくできていますか?

「コミュニケーションは、ドイツ語から英語に通訳してくれるチームメイトがいます。あとは、自分で簡単な英語を話したり。英語もですけど、ドイツ語も勉強中です。日本に戻るまでには、ひと通り話せるようになりたいですね」

――今よりも出場機会を増やすために、何が必要だと考えていますか?

「レシーブなどでも貢献し、決めるべきところで決めるのがオポジットの大事なところなので、そこを強化していきたいです。現在レギュラーで出ているオーストラリア代表のオポジットと自分とでは全然タイプが違うので、いつも出られる準備はしています。

 自分の一番の”売り”はパワーで、そこはドイツでも通用していると思うので、やはりレシーブを頑張らなきゃいけない。ブロックについても、まだ上から打たれるケースがあるので、もっと高さを出せるようにしなきゃいけないですね」

――日本に戻った後はパナソニック・パンサーズに合流しますが、同じポジションの清水邦広選手が好調ですね。

「チームの先輩になる清水さんの、いいところを盗んでいきたいです。出耒田(敬・できた たかし)さんにも負けたくないですね。自分は自分なりの戦い方で臨んでいきたいです」

――今年9月の世界選手権は、開幕戦でホスト国であるイタリアと当たることになりました。

「日本ではありえない屋外の会場でやりますけど、そういう会場でもいいプレーを出したいです。その前に、まずは自分が代表に呼ばれるために準備していかないといけない。(残りのブンデスリーガでは)出られるセットがどれくらいあるかわかりませんが、出たときはどんなときでもアピールしていきます。

 それが全日本につながると思いますし、東京オリンピックに向けて成長していきたいですね。そこまでの過程は長いですが、どんな状況でも100%の力を出せるようにしたいです」