チョン・ヒョン(韓国)は、今年の「全豪オープン」から退いたが、すぐに別のメジャー大会の出場選手になると固く信じていることが、その楽天的な雰囲気から明らかだった。チョンは金曜日の夜、ロジャー・フェデラー(スイス)を相手にした準決勝で足のマメの…

チョン・ヒョン(韓国)は、今年の「全豪オープン」から退いたが、すぐに別のメジャー大会の出場選手になると固く信じていることが、その楽天的な雰囲気から明らかだった。

チョンは金曜日の夜、ロジャー・フェデラー(スイス)を相手にした準決勝で足のマメの痛みのため棄権を余儀なくされた。メルボルン・パークでの予期せぬ快進撃は、悲惨な終わりを迎えることになった。チョンはもう歩けなかったと後で語った。

しかし、21歳のチョンはすでに大局を見ており、メルボルンでの成績がいかに素晴らしいものだったかに目を向けている。チョンは、第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と、6回優勝を果たしたノバク・ジョコビッチ(セルビア)を負かし、男女問わずメジャー大会の準決勝に進出した初の韓国人テニス選手となった。

新しい年になり1ヶ月も経たない今、チョンは自身の目標を見直さなければならなくなっている。

「すでに目標をいくつか達成したと思う。韓国では最高ランキングになり、4大大会でも最高の結果を残すという、2つの目標を達成した」とチョンは語った。

「次の目標は、怪我なしにシーズンを終えたい。きちんと回復しなければならない」

チョンの台頭がいかに速いものかを広い視点で見ると、去年の今頃、チョンはランキング上位100位外にいた。そして「全豪オープン」はかろうじて予選を通過しメインドローに出場するというものだった。

チョンは、2010年の全豪オープンに出場したマリン・チリッチ(クロアチア)以来、4大大会の準決勝に達した最も若い男子選手でもあり、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)が2009年の全米オープンを制して以降で最も若いメジャー大会決勝進出選手になることを目指していた。

「自信はかなりあると思う。ここ2週間で多くの優れた選手と対戦した。ロジャー (・フェデラー) のように偉大な選手たちとコートで心地よくプレーできた。次はもっといいプレーができると思う」とチョンは語る。

フェデラーもチョンの未来は明るいと信じている。ただし、若くして将来1位になり複数の4大大会を制する選手になるとレッテルを貼られつつランキングを駆け上がった際の自身の経験を考えると、そう予測することに躊躇いもある。

「ある意味ではおもしろいしすごいことだが、後になって思えばさほどすごいことではないんだ」とフェデラーは語った。「後になると、どんなことを達成してもそれが当たり前のことだと思えるが、それは残念に思う。1位になる、4大大会で優勝する、マスターズ1000の大会で優勝する、それは当たり前のことじゃない。並外れたことだ」

しかし、メジャー大会を19回制したフェデラーはチョンの驚くべきスピードとコート上での対応範囲に強く感銘を受けており、自身のライバルであるジョコビッチを彷彿とさせると言う。しかし、ハードコートで滑るように動くクレーコートのスタイルを特徴とするチョンの試合は、負担になるかもしれないと述べた。

「問題は、そのような試合では体、そしてスケジュールによく気をつけなければならないということだ」とフェデラーは言った。

また、試合で怪我に対応しようとした中でチョンが精神的な強さを見せたとフェデラーは考えている。

「間違いなくチョンは足に相当の痛みがあったのだと今は思う」とフェデラーは言った。「試合の時はほとんどわからなかった。対戦相手に対して問題を隠すという考えは好ましいものだ。正直に言ってとても感銘を受けた」

チョンのランキングは来週、上位30位以内に浮上することになる。もう一人の憧れの選手であり、過去「全米オープン」の決勝に進出した錦織圭(日本/日清食品)の僅かに下の順位だ。このまま進んでいけば、間もなくアジア最高位の選手になり、若きキャリアの節目がもう一つできるかもしれない。「ここまでの2週間、本当に楽しんだ。コート上もコートの外でも。本当に幸せだ」とチョンは「全豪オープン」を振り返ってこう言った。(C)AP(テニスデイリー編集部)※写真は準決勝を棄権し、コートを去るチョン・ヒョン

(AP Foto/Vincent Thian)