クリスマスイブの試合を前に、姫野和樹は身体の異変を感じていた。

「僕、7年間ひいていなかった風邪をひいてしまって…。あまり疲れているとは思いたくなかったのですけど…」

 トヨタ自動車の新人主将として、国内最高峰トップリーグには開幕からほぼ出ずっぱり。中断期間の11月は初めて選ばれた日本代表としてテストマッチ3試合などをプレーした。新しいステージで休みなく戦うなか、徐々に身体は悲鳴を上げていたのだろう。

 結局、愛知・春日丘高への入学前以来となる風邪は「2日で治した」のだが、38度の熱で一時的な練習回避を余儀なくされた。顔には吹き出物があふれた。

 準決勝進出をかけた2017年12月24日の神戸製鋼戦は39-33で制し(愛知・パロマ瑞穂ラグビー場)、どうにか安堵できた。

 帝京大時代は大学選手権8連覇を達成(現在9連覇)も、常時出場が叶ったのはラストイヤーのみだった。身長187センチ、体重112キロのランナーは、今季、従来にはない負荷と戦ってきた。

 そのハードワークが報われたか。トップリーグの新人賞を受賞した。もっとも大事な時期にトレーニングを休んだことや、最後のプレーオフを4位で終えたことなどを受け「50点」と厳しい自己評価を下す。

 準決勝では、一昨季まで3連覇していたパナソニックに11-17と惜敗(1月6日/大阪・ヤンマースタジアム長居)。相手が反則をした際のプレー選択などで、勝敗を逆転させられたのではと悔やんでいる。13日の3位決定戦では、モチベーションの置き所が難しくヤマハに10-28で屈した(東京・秩父宮ラグビー場)。

 自身入社前のシーズンを8位とするなどやや低迷気味だったクラブの歴史を鑑み、こう語る。

「主将として、勝負の綾のところでいいチョイスができなかったことを感じました。トップチームとは、経験の差が違いました。プレーオフを経験していない選手があの場に多かったことにも敗因があると思いました。準決勝では気持ちが前に出過ぎてしまったり、3位決定戦では落ち込んでしまっていたりと、気持ちに波があった。逆にパナソニックさんやヤマハさんは落ち着いていました」

 2月からはサンウルブズの一員としてスーパーラグビーに挑むが、トヨタ自動車では来季も主将を続投しそう。少なくとも、自分はそのつもりで過ごす。ひと足早く、2シーズン目のトップリーグを展望した。

「チームにいない時間は多くなるのですが、僕がいなくてもキャプテンのできる選手はたくさんいる。心配はしてないです。ただ、ジェイク(ホワイト監督)が言っていたのが『来年は周りのお前への見方が変わる』ということ。もうルーキーでもなくなるし、前年にプレーオフに進んだ主将と捉えられる。そういう意味では、来年はもっと頑張らなきゃいけない」

 今度の頂上決戦までに、ぶれない身体と心を作り上げたい。(文:向 風見也)